見出し画像

シャボン玉が黄色いテープを飛び越えていくよ。(2020/5/4)

薄黄色の可愛い木香バラのね、咲き乱れる路地をキックボードで抜けたら、昨日も来たんだ、小さな森みたいな児童公園です。そこは新緑。子どもたちは腕を振りすぎる下手な全力疾走に切り替えて、タタタタと園内飛び込めば、思わず立ちすくんじゃった。

ブランコはぐるぐる巻きにされて届かない高さに結び付けられています。ジャングルジムは何か赤い英語が書かれた黄色いテープで何重にも囲われています。テープの隙間なんてカンタンにくぐり込めるけれど、ボクだってわかる。入っちゃいけないんだ。遊んじゃいけないんだ。きのうの夜、暗い場所で、公園のおじさんかな、誰かがひとつひとつ全部にテープを巻いていったんだ。全部。

なんだか初めて来た公園みたい。たぶん新型コロナウイルスのせいなんだ。新型ね。いろいろ触っちゃいけないって言われるから。

それは数秒ほどの沈黙。何もしゃべらず見上げていた小さな兄弟に、今度は柔らかい緑の風が吹きます。視界の上の方を、いくつものシャボン玉が飛んでいきます。揺るぎない青空に、好奇心は移ろって、丸い透明の下で子どもたちはみな踊ります。