100分の1×100分の1×100分の1
企画の元を正せば、それは「思いつき」に過ぎないわけです。
ですが、それだけでは不十分で、「新奇性」「実現可能性」のある『思いつき』でなければなりません。
それゆえ、思いついてしまったことについて、新奇性があるのか否か、実現可能性があるのか否かを十分に検討することが求められます。
当たり前のことを言っているようですが、これが企画を難しくさせてしまっている大きな原因だと私は考えます。
まず、新奇性。一体どの範囲内で「目新し」ければ、「新奇性あり」と言えるのでしょうか?
新奇性の基準となる範囲は、
✔ビジネス市場全体でしょうか?
もっと狭めて、たとえば、
✔アフィリエイト市場全体でしょうか?
もっともっと狭めて、たとえば、
✔PPCアフィリエイト市場全体でしょうか?
全て正解ですが、これから企画づくりを始める方にとっては、より狭い範囲内での新奇性をまずは狙うべきでしょう。
自分だけしか知らないようなマニアックなネタとか、レアな体験は使えないか?と思いつく、そこから新奇性を検討するという流れです。
このようなマニアックすぎるネタ、経験は、その特殊性のゆえに企画化できないのではないか?と考えてしまう人が多いようですが、私はまったく逆に考えます。
そのようなネタのほうが圧倒的に企画化しやすいのです。
たとえば、PPC アフィリエイトの実績がほとんどない人が、それでも PPC アフィリエイトの企画をつくろうとして、PPC アフィリエイト市場全体の中で新奇性を求めてもなかなかうまくいきません。
ところが、仮にその人が今は実績がないだけで、YahooやGoogle の広告審査についてやたらと詳しい人だったとしましょう。
これだけで、その人は企画で稼げる可能性があります。
なぜなら、PPC アフィリエイト一本で生計を立てているレベルの人ですら、広告審査の実情について詳しい人はほとんど居ないからです。
つまり、「PPC アフィリエイト市場」という範囲内では企画化できない人でも、「PPC アフィリエイト審査市場」と範囲を狭めることで、いくらでも新奇性のある企画を構築できるということです。
ここで問題となるのは唯一つ。それは、中途半端な知識や経験ではダメだということに尽きます。
PPC の審査に詳しい。そこから企画化を検討するのであれば、その点についてだけはプロ顔負けの知識と経験を積むべきです。
「知識」については、ネット上に溢れる PPC 広告審査関連の情報を漏れなく毎日チェックすることで、ほぼ網羅することが出来るでしょう。
「経験」については、広告が停止となったり、審査に通らなかったりしたら、あきらめることなくその原因をとことん突き詰めることです。
とことん突き詰めるには、Yahoo や Google に直接問い合わせ、しつこく対策を練っていくということです。
大手のアフィリエイト法人などは、広告運用と審査対応のスタッフを分けていたりするので、それぞれのスタッフにはどんどん専門性が集積されていきます。
でも、そこそこ稼いでいるレベルの個人のプロアフィリエイターなどは、たくさんの広告の中でたった一つが停止になったからといって、いちいちかまってられませんから、審査対策の経験をたいして積むことなく、流されていたりします。
このレベルの人を「審査の知識・経験」で凌駕するのは、きわめて簡単です。
Google、yahoo では範囲が広すぎるなら、Yahooの審査だけ、Googleの審査だけに絞り込んで専門性を極めても良いでしょう。
専門性を究められる程度に集中してそのことに取り組んでいると、後から「そのこと」が好きになっていきます。
好きになれば、ますます「そのこと」を深く掘り下げていくようになりますから、気づいたときには、その狭い市場の中では競合不在のスペシャリストになれるかもしれません。
ここまでくると、その専門性を「企画」にすることで十分に稼げます。
企画の条件は新奇性+実現可能性ですが、その狭い市場の範囲内で専門性を持った人というのは、その時点で既に「どこに新奇性を求めたらよいか」が分かっています。
たとえば、数年前にGoogleアドワーズで、アフィリエイト広告を排除しているかのような動きがありましたが、当時の広告掲載ガイドラインに精通した人からすれば、そのような悪条件の中でもいくつかの対処法を見つけることができていたはずです。
たとえば、私もそのうちの一人であったわけですが、私以外のGoogle アドワーズの審査に詳しい人と私には明確な違いがありました。
それは、彼らが純粋なアフィリエイターであるのに対し、私は企画屋だという点です。
だから、審査対策の要点を、企画屋の視点(新奇性、実現可能性)でとらえ直すことが、私には出来ます。
このとき、私自身が見い出した審査の抜け道は、「オプトインアフィリエイト」でした。
結果的に、Google の広告掲載ガイドラインに適合したオプトインページを LP とすることで、ほぼ 100%の確率で審査に通すことができるようになりました。
もちろん、オプトイン形式であれば何でも良いというわけではありませんが、Googleの審査に適合したオプトインページの構成が私には手に取るようにわかったのです。
私以外の審査に詳しい純粋なアフィリエイターは、そのオプトイン形式には気づきませんでした。
なぜなら、彼らはメルマガをやったことがないからです。
元々私は PPC をやる前からステップメール(メルマガ)を専門的にやってきたので、勝手がわかっていたのです。
つまり、このときの私は、Google アドワーズの審査に関する知識・経験が豊富にあったことに加え、ステップメール(メルマガ)の専門性があったので、アドワーズにメルマガを組み合わせることで容易に審査を攻略できるイメージを持てたのです。
加えて、そもそも PPCやメルマガで飯を食うつもりなどさらさらない単なる企画屋でしかない私は、「Google アドワーズ×メルマガ」という、それまでは誰も語っていないテーマを見つけたことで、一気に新奇性を獲得しました。
あとは、【実現可能性】です。
実際に、Google アドワーズ特化型の LP(オプトインページ)を作ってためしに広告出稿してみると簡単に審査にパスし、それ以降も安定して広告が稼動し続けたので、どんどんメルマガ読者が増え、アフィリエイト報酬も安定して獲得できる程度に仕上がっていきました。
ここまでくると、あとは【コンセプト】です。
つまり、新奇性+実現可能性を備えたこの経験を、どんな【企画】にすべきか?です。
では、コンセプトはどう打ち立てたらよいか?
コンセプトとは、大雑把に言うと、(1)誰に(2)何を(3)どうやって、という3つの要素の組み合わせのことです。
(1)誰に、というのは、自分自身が「最も伝えたい相手」のことです。
(2)何を、というのは、自分自身が「最も伝えたい価値」のことです。 (3)どうやって、というのは、伝えたい相手にしっかりその価値を伝えるには、どのような「伝え方」が最適か?という提供方法の問題です。
その当時、考えたコンセプトが以下の通りです。
(1)誰に・・・Google アドワーズの厳しい審査にまったく対応できていないアフィリエイター、Googleで PPCアフィリエイトを続けるのは絶対に無理だ!とあきらめかけている人
(2)何を・・・・何度も Google とやり取りをしたうえで、「これなら審査はまず大丈夫」と言えるレベルに仕上げた Googleアドワーズ特化型のオプトイン型ランディングページとその使い方を、
(3)どうやって・・・審査対応やオプトインページの導入方法が丸分かりの動画コンテンツと解説マニュアル(PDF)を適宜配布する会員サイトにて提供する。
こんな感じになりました。
この企画は、後日「競合不在のアドワーズ戦略オプトインPPC」という名称で販売することになりました。
当時の募集レターには、私のPPCアフィリエイトの実績などは示しておらず、ひたすら Googleアドワーズの審査に関するマニアックな取り組みと、そこから導き出した「メルマガとの組み合わせ」というアイデアについて語っています。
この企画に関しては、私をまったく知らない人にも響くと予想していていましたので、積極的に広告を打って販促につとめました。
すると、実績をうたっていないのにもかかわらず、この企画の新奇性に惹かれたけの(私を知らない)お客さんがどんどん増えていったのです。
おそらく、私ではなく誰がやってもこの企画は売れたと思います。
たとえ実績がなくても、新奇性と実現可能性さえ示すことができれば間違いなく企画は成立します。
ところで、この企画(オプトインPPC)に新奇性をもたらしたものは何だったのか?
すでに述べたように、それは「Google アドワーズ」と「オプトインアフィリエイト」の組み合わせに他ならないわけですが、ではそこにたどりき着いたきっかけは何だったのか?
これまた既に述べたとおり、PPCアフィリエイトの審査の真相を探ることに私自身全く苦痛を感じなかった(むしろ好きだった)ことに加え、そもそもPPC以上にメルマガを配信することが好きだったことに尽きるのです。
好きだからこそ、無理なく専門性が養われます。
いや正確には、狭い範囲内でよいからとことん究めていこう!という姿勢を継続する中で、「好き」という感覚を持てるようになるのかもしれません。
話をまとめますと、
(1)専門性を持つと、新奇性を見つけやすい。
(2)好きなことを究めると、自ずと新奇性も見つかる。
(3)知識・経験を積んでいくと、好きだと気づいていないことですら好きになっていく。
(4)はじめは範囲を広くとらない。狭すぎるくらいの市場でよい。
(5)その狭い市場で TOP の専門性(好き)を目指す。
(6)さらに、複数の狭い市場で専門性を持つと、その組み合わせから新奇性を支配できる。
ということになります。
最後に、企画屋が肝に銘ずべき良い話があったので原文のまま記します。
教育改革実践家で元リクルート社フェローの藤原和博氏は、「100万分の1のレア人材になろう」というお話をよくされる。レアな人材には価値があるから、AI に代替されることもない。
とはいえ、一般的に考えて、100万分の1なんてオリンピックの金メダリスト級の確率だ。普通に暮らしていても到達できっこない。
だが、「100分の1」だったらどうだろうか?学校のクラスで考えると、2~3クラスくらいだろう。好きなことに夢中になっているうちに、100人の中で1番になるのはできる気がする。
あとは、まったく違う2つの分野で「100分の1」を目指せばよい。そうすれば、合計3分野を掛け合わせて、「100分の1×100分の1×100分の1」で、「100万分の1」の人材になれるというわけだ。
以上は、『10年後の仕事図鑑 』(堀江貴文×落合陽一 著 SB Creative)のという本の中で語られた堀江貴文さんの話ですが、「人材」をそのまま『企画』に置き換えても通じるところがあります。
そう読み解くと、「集客の企画つくろう!」とか、「アフィリエイトの企画をつくろう!」などという発想が、いかにナンセンスであるかはすぐにわかりますよね?
まずは、狭い範囲内で TOP レベルの「好き」かつ「専門性」を見つけ出すことです。
そうすれば、100人程度の人に注目される新奇性を見つけることに成功するでしょう。
一つそのレベルの「好きなこと」を見つけてしまうと、それに取り組み中でまた別の専門性を究めたい好きなことが新たに見つかります。そこでまた100分の1になれば良いのではないでしょうか?
こうして、100分の1が3つ程度仕上がったとき、おそらく企画屋として一生食いっぱぐれのない基盤が出来た、そう確信できるのではないかと思います。
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