遥雷


完成「遥雷」

遠くから声がする

呼ばれたように人々がそちらに目を向けた

威勢のいい怪物は

僕らに

見せつけようとしている

しかし

人々は呆れ

めんどくさそうな顔をして

下を向いて歩いていく

威勢のいい怪物は少し近づくと

遠のいて行った

去り際の言葉がとても寂しかった


僕には、例えばこんな風に、雷が見えていました

最初は遠雷というタイトルだったのですが

遠雷には瞬間性を感じます

遥雷には時間の経過をなんとなく文字から読み取ることができるし今回この作品に込めたものにより合致していると感じました

遠くの雷に変わりはありませんが

遥かという字には距離だけでなく時間をも超える力があるというのが気に入りました

こうする事で次は瞬間を切り取った遠雷を描いてみるのもまた一興というわけです

僕にとっては文芸と絵画はセットです、これは絵を始めた当初からの僕のスタイルです

スタイルというと僕しかやっていないことのように感じるかもしれませんが、もともと人間たらしめる言語の発明とそれによって対話をより円滑にそして複雑にした人間性には切っても切り離せないのが言語化だと思われます

僕の芸術は文章からの着想もあれば、制作を始めてから頭の中に文章が浮かび、絵画をより詩的にし、絵画の中に入り込む手助けとなっているのは間違いありません

けれど、言葉にならないから絵にするというのも僕の持つ考えの一つです

矛盾しているのですがこれは正しい

僕の芸術に文章を添えるのは補うためでは無いですから

今回の新作「遥雷」のように

この雷の去り際の言葉を僕は聴いています

けれどあれは言語ではなかったです

僕にはそう感じ取れたという感覚です

皆さんにはどう聞こえるのか?

僕の置かれた環境、生きてきた経験、生きていく上で大切にしている事、感受性、が導き出した答えを自分の中からすくい上げたにすぎません

皆さんの置かれた環境、生きてきた経験、生きていく上で大切にしている事、感受性、が聴いた言語はなんと言っていたのか?

ここは非常に重要な事です

僕の思う事や、見たもの、聴いたもの、感じたものが、人によって全く違う答えを引き出すという事があるのです

言葉にならないから絵に描くとはそういう側面もあります

絵を前に話さなければ発見できないものが沢山あります

ぜひ、僕の個展に遊びにきて欲しいです

話さなくてもいいです、本来言葉にするのが難しい事なので

けど

安心してもらいたいのは僕は人見知りでは無いという事です🤣笑

2019.10.07〜2019.10.12

銀座一丁目 ギャラリーSOLにて

飯田大輝「醒め方を知らない夢」展

よろしくお願いします。

まだ始まってもいない個展なのですが、既にここまでやって来れたことに、心から感謝いたします

今はこんな底辺画家なのですが、あの時のあの画家がまさか、と言う日が来ます

そんな気が実はもう何年も前からしてるので、もしかしたら気のせいかもしれませんね。笑

けれど確かに聴こえます、言語では無いです、僕にはそう感じると言う以外に言葉が見つかりません

まさに遥雷の去り際の台詞の様にです。

綺麗に着地しましたので寝ます💤

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