世界中のリモートワーカー/テレワーク900名と働く メリービズのリモートワーク術
会社のオフィスに出勤せず、自宅にいながら仕事ができるリモートワーク。
メリービズでは、現在900名※ほどのリモートワーカーが世界中で働いています。(※ 2020年11月情報に更新)
新型コロナウイルスや地震・台風などの災害。様々な状況も乗り越えて、多くのリモートワーカーと一緒に仕事をしてきて見えてきた、新しい働き方としてのリモートワーク術をご紹介したいと思います。
リモートワークの効果
多くのワーカーにとって、自宅で育児や介護をしながらでも仕事ができる、通勤にかかる時間を有効利用できる、ストレスがたまりにくいといったメリットは大きく、意義あるものです。
企業側にも経費節減や生産性の向上、人材確保などのメリットがあり、企業ブランドのイメージアップなどにつながることも考えられます。
最近では、新型肺炎などの感染防止という点から注目されている働き方でもあり、他にも大雨や暴風雨などの災害時、怪我などで移動が難しい時などにも仕事が滞ることなく行えるので大変便利です。
A. リモートワークで使用しているツールやハードウェア
まずは、メリービズがリモートワークで使用しているツールを紹介していきます。
チャットツール
チャットツールは社内のコミュニケーションが圧倒的にとりやすく、メールの何倍も速く連絡を取り合えるので、リモートワークに必須のツールの一つです。
Slack、Microsoft Team、Line for Business、Skype、Chatworkなどがあります。
メリービズではSlackを主に使用しており、他社とのコラボレーションや顧客とのコミュニケーションにも活用しています。
Webミーティングツール
離れた場所にいるワーカーが集えるWebミーティングツールもまたリモートワークに欠かせません。
メリービズではWherebyを使っています。
アプリケーションをインストールする必要がなく、ホスト以外はアカウント登録も不要、パソコンとインターネット環境だけで利用できるので大変便利です。
何人で同時利用するか、通話時間制限はあるかといった点や、セキュリティ面や費用面なども考えて、自社に適したツールを選ぶのがポイントです。
クラウドストレージ
仕事に必要なファイルなどを保存、他のワーカーと共有して編集するなど作業の効率アップに必要なのがクラウドストレージサービスです。
メリービズでは主にBoxとGoogle Suite(Google Drive)を利用しています。
Boxはセキュリティ面での評価が高く、アクセス権限設定も細かくできることに定評があります。
Google Suite(Google Drive)も、Google Drive形式ファイルなら容量無制限、Drive上でのファイルの変換が容易、セキュリティも万全など、こちらも使いやすいクラウドストレージです。
他にはDropbox、OneDriveなどもよく使われています。
セキュリティソフトウェア
メリービズではセキュリティソフトウェアではNortonを採用、パスワード管理には1Passwordを使っています。
セキュリティは企業にとっては要ともいえる大切なポイントです。
セキュリティソフトを選ぶ際は、セキュリティの性能だけでなく、容量が重くならないか、コスト面はどうか、サポート体制はといったことも判断材料になります。
Nortonはウイルス情報が常に最新状態に保たれており、サポートも万全、ユーザー数も多く人気のあるセキュリティソフトウェアです。
料金プランも選べて値段もさほど高くないので、導入しやすいといえるでしょう。
1Passwordはマスターパスワード一つでいくつものサービスにログインできたり、パスワードの自動生成もできたりと使い勝手が良いのでお勧めです。特に多くのウェブサービスを利用されている企業では1Password Businessプランをご利用されると便利です。
電話
電話をとるために出社するという話を聞きます。
いまはクラウドPBXという仕組みがあります。内線をクラウド上におく仕組みです。これを利用すると自分の携帯に内線が転送されたり、自分の携帯から会社の代表番号を相手の着信に表示して電話をかけることもできます。
メリービズでは Cloco のサービスを利用していますが、他にもいっぱいあります。
FAX
FAXはかなり前のコミュニケーション手段ですが、業種によってはFAXを利用しているところがあります。メリービズではほぼ使わないのですが、やはりたまに使いたいという企業があるので一応FAXはあります。ただし、eFAXです。
eFAXは受けたFAXをメールアドレスに添付文章として送ってくれます。またFAXを送る場合も添付文章をつけて送るだけで送れます。簡単です。
メリービズではfaximoというサービスを使っていますが、他にもいっぱいあります。
次に、メリービズがリモートワークで使うハードウェアをご紹介します。
PC
リモートワークとしては当然ノートPCが必要です。
Webミーティングを行う場合はウェブカメラとマイクがついており、持ち運びが現実的な軽いものが良いでしょう。
ただ、性能だけでなく、セキュリティ面でも仕事に適したものを選ぶ必要があります。
例えば顔や指紋などの生体認証が可能なものなら、他人が勝手に使えないので安心です。
また、暗号鍵や認証情報などの重要な情報を保護する機能を持つTPMセキュリティチップ搭載PCであれば、盗難や紛失時にデータの流出を防ぐ効果もあります。
ウェブカメラ
メリービズでは「BUFFALO ブラック BSW200MBK」を使っています。
ほとんどのPCにカメラがついていますが、大人数で会議を行う場合、付属のウェブカメラでは全員を映すことができません。
「BUFFALO ブラック BSW200MBK」を含め、広角レンズがついたものを選べば参加者が一目瞭然、表情やリアクションまでしっかりと見えるのでミーティングがしやすくなります。
ワイヤレススピーカーフォン
PC付属のマイクとスピーカーではハウリングしたり、PCのマイクでは大きいミーティングでは声をうまく拾えなかったりするので、メリービズでは「Jabra SPEAK 510(会議用)」を使用しています。
B. リモートワークの向き不向きの判断をする
リモートワークは便利ではありますが、向き不向きのある働き方でもあります。
その判断をするポイントとしては、「コミュニケーション量と質」の問題、そして「チームの状態がどんな段階にあるか」という問題の2点が考えられます。
a. コミュニケーション量と質
すでに仕事の形式や進め方、内容や目的が明確である場合、業務内容は定型的になり、コミュニケーション量は比較的少なくてすみます。
例えば、すでに決められた文書やプログラム、画像の作成といった業務や、売り上げや給料の管理業務などは新たにコミュニケーションをとる必要が少なく、一人一人がリモートワークしやすいと言えます。
しかし、コラボレーションが必要な業務がメインの場合、業務内容が非定型的になり、コミュニケーションを密にとることが求められます。
例えば、クリエイティブ関連の仕事でまだコンセプト状態にあるならば、具体的にどのような形を目指すのか、そのために何が必要かといった諸々の事項を決めるためにコミュニケーションも頻繁にとらなくてはならず、臨機応変に業務内容も変えていく必要が出てきますので、リモートワークで進めていくにはかなりの工夫が必要になるでしょう。
b. チームの状態がどんな段階にあるか
チームの状態は、仕事の進捗に大きな影響を及ぼします。
仕事を進めるチームには「形成期」「混乱期」「統一期」「機能期」という4段階があるとするのがタックマンモデルです。
「形成期」はチームが結成されたばかりで、緊張感が高く、不安や遠慮を抱いている状態で、まだチームワークが生まれていません。
次の「混乱期」はそれぞれの意見や主張の衝突が起きてくる時期で、それぞれがメンバーの考え方や行動の仕方に関心を持ち、資料の作り方や発言の仕方など細かいことが気になり、まだまだ成果へ向けて一致団結するところに到達しません。
その後、お互いを理解しあい、チームとしてのルールが定着する「統一期」を経て、「機能期」にはチームがチームとして機能し、一人一人のメンバーが自分のすべきことを積極的に果たしていくことで高い成果をもたらしていきます。
この4段階のなかで、「形成期」「混乱期」にあるチームは、特にコミュニケーションに気をつける必要があります。
メンバーがいがみ合ったり不満や不信が蔓延したりすると、チームとしての機能すら果たせなくなってしまう可能性もあるからです。
リモートワークにおいては今チームがどの段階にあるのかをしっかりと把握し、もしまだ「形成期」「混乱期」にあるならば、コミュニケーションをとる方法に工夫をする必要があります。
a, bの二つのポイントを総合的に考え、リモートワークとして難易度が高い業務である場合はコミュニケーションにかなり気をつけなくてはなりませんし、場合によっては直接会って話す機会も設けながら進めていくと良いでしょう。
上手くリモートワークを進めていくためにできる簡単な工夫としては、以下のようなものがあげられます。
お互いに声掛けをしたり、気遣いを文字や言葉に表したりすることで、意思疎通をしっかりとはかり、チームの安心感をつくる
読んだらスタンプを押したり、何らかのリアクションを取ったりといったコミュニケーションのルールを決めることで、お互いに考えや意見をくみ取ったことを示す
対面ミーティングでも行うように、ウェブミーティングの場合も簡単な議事メモを書くようにし、大切な議事内容の共有を目指す
このあたりはソニックガーデンでエンジニアのフルリモートチームをマネージしている倉貫さんが書いています。
C. リモートワークでの心得
メリービズでは創業から10年近くリモートワークを活用しています。そこで学んだ心得をまとめます。
a. 自発的なコミュニケーションができる
多くの言語が飛び交い、たくさんの人種や文化が交錯する世界とは異なり、似た文化や環境に育った日本人同士では「察する」ことが大切とされてきました。
相手の表情やしぐさ、態度などから言いたいこと、考えていることを「言わなくてもわかってあげる」という慣習が育ってきたのです。
しかし、リモートワークを行うにあたっては、一人一人の表情や態度は見えず、わかりにくいため、困っていたり悩んでいたりしても言葉にしない限り理解してもらえません。
つまり、「自分が発信しない限り、誰も自分の状況に気づいてくれない」のです。
リモートワークをする際は自発的なコミュニケーションを心掛けましょう。
b. 相手にわかるようにコミュニケーションする
話をしている時でも、文章に書く時でも、「あれ」「これ」という指示語が多いとわかりにくくなります。
会話で伝える際にも端的に、要点を伝える効率的なコミュニケーションを意識しましょう。Webミーティングでも電話でも、普段の会話に比べて聞き取りにくいことがあります。話が長いとどうしても聞いている側はストレスになります。
また、きいている側としてはテンポよく、相槌やオーバー気味に頷きながら、相手が話しやすい状況をつくりましょう。以下はヤフーで実施している1on1の様子の例を「1分で話せ」「0秒で動け」「やりたいことなんて、なくていい」著者でもある伊藤羊一(@youichi_itou)さんが部下に対してやっている様子です。うまく会話を進めていたり、考えることを促していることがおわかりになると思います。
まして、デザインについて話す場合は、百聞は一見に如かず、画像や動画を見せるのが一番分かりやすいものです。
常に相手に分かりやすい方法を考え、コミュニケーションの方法を工夫することが必要です。
リモートワークに役に立つ画像や動画の提示の仕方をご説明したいと思います。
・画像
画面等をキャプチャして相手に送ると、自分の今の状況や困っていることなどが一目でわかります。
〈Windowsの場合〉
画面全体をキャプチャするには、PrtScnキーを押します。
指定したウインドウをキャプチャするには、AltキーとPrtScnキーを同時に押します。
指定した範囲をキャプチャするには、WindowsキーとShiftキーとSキーを同時に押します。
撮影した画像は、ペイントソフトに張り付けて編集できます。
〈Macの場合〉
画面全体をキャプチャするには、CommandキーとShiftキーと3キーを同時に押します。この際、Controlキーを同時に押せばクリップボードに直接コピーされます。
指定したウインドウをキャプチャするには、ControlキーとShiftキーと4キーを同時に押し、スペースキーを押すとカーソルがカメラに変わりますので、撮影したいウインドウの上に持っていきクリックします。
指定した範囲をキャプチャするには、Commandキー、Shiftキー、4キーを同時に押し、+カーソルをドラッグして撮影範囲を決め、マウスのボタンを離します。
Macでは、そのまま画像を開いて編集することができます。
・動画
音や動きがはっきりわかる動画は、文章に言い表せない細かな点を相手に伝えるのに便利です。
画像録画やストリーミング動画のキャプチャが簡単に出来るDebut等の画面録画ツールを使い、YouTubeにアップロードすれば、複数の人に同時に動画を見てもらうことができます。
Google Chromeの拡張機能の一つ、Loomを使えば、ブラウザの特定のタブや開いたアプリ、デスクトップ全体を録画、音声やカーソルの動きも収録でき、簡単にアップが可能です。
画像や動画を相手に提示して説明すれば、相手に内容をしっかりと伝えることができ、仕事をスムーズに進めることができるでしょう。
c. 疑いは何も生まない
オフィスで仕事をする場合は、見渡せばだれがどこにいて、どんな仕事をしているのか、だいたいの感じはつかめるものです。
いざとなればすぐに声をかけられ、困っていれば様子で分かることもあるでしょう。
もちろん、怠けていれば見ればわかるので管理がしやすいのがオフィスワークのいいところの一つです。
一方、リモートワークを行うとなると、きちんと働けているのか、仕事の進捗状況はどうかなど管理側はワーカーが見えないだけに気になる所かもしれません。
しかし、しっかりと監視しようとすればそれなりにコストもかかりますし、信用されていないとワーカーが感じればモチベーションが下がってしまうこともあります。
つまりは、監視してもきりがなく、効果も薄いのであまり意味がない、ということになるでしょう。
疑うのではなく、相手の仕事ぶりを信じて待つことも、リモートワークを進めるうえで管理者には必要なことなのです。
d. とにかくお互いに安心!信頼!を深めよう
オフィスワークであっても、リモートワークであっても、相手の意見や考えを理解しているよ、きちんと聞いているよというアピールは仕事をするうえで重要です。
せっかく説明や、書類の提出をしても、伝わったかどうかわからなかったり、今一つ反応が薄かったりすると「あれ?通じてないのかな?イマイチだったのかな…」と不安に思ってしまうものです。
対面なら表情やうなずく動作などで分かる様子も、リモートワークではわかりません。
Webミーティングで相手と話し合うことができるなら、普段以上に笑顔を大きく、うなずきや相槌も見聞きしやすい大きさで行いましょう。
普段なら返事をせずに済ますタイミングでも、チャットでは相手に伝わるよう、こまめにしっかりと返事をする、気持ちを表現するためにスタンプやアイコンを意識的に利用するなどしてコミュニケーションを取りましょう。
ただ、反対意見を述べたい時や注意をしたい時などはチャット上で否定的な表現を使うと、必要以上に相手に冷たい印象を与えがちですので、特に気を付ける必要があります。
「ここはすごく良かったけど、もっと良くするのにこうしてはどうでしょう?」というように、相手を尊重しつつ改善点を述べるなど、受け取る側がどう感じるかを考えながら文章化するといいでしょう。
D. 最後に、「小さな工夫」を
仕事でコミュニケーションをとる時のシチュエーションとしては、「1人 対 1人」「複数 対 1人」「複数 対 複数」といった形があります。
「1人 対 1人」の場合は割と意思疎通しやすく、お互いに相手の受け取り方を考えやすいのでスムーズに進みがちです。
しかし、複数でのコミュニケーションをとるときは、発言が少なかったり、会話についていけなかったりする人が出てくることがあります。
特に、リモートワークに不慣れなメンバーだと孤独感につながってしまいます。
ですから、例えばWebミーティングでは、カメラもなるべく使って互いの表情を見えやすくする、大人数で行うミーティングでは少数のグループに分けて発言しやすくするなどの工夫をするといいでしょう。
また、家族とプライベートな会話をする時、周りの雑音が多いとき、席を立つときなどでは音を遮断するミュート機能を使いましょう。それ以外はマイクやスピーカーをずっと繋ぎっぱなしにしておけば、他の人の仕事の様子が音を通じて感じられますし、誰かに話しかけたい時や質問したい時にもさっと使えます。
チャットのスタンプも非常に大事です。「読んでもらったのかな?」と不安になるところをスタンプを押してもらえると安心できます。またスタンプを工夫すると楽しい雰囲気や気持ちとかも伝えられます!Slackなどでは自作スタンプもつくれるので良いスタンプが無い場合は作れます。
こうした小さな工夫を重ねれば、オフィスにいるような感覚で孤独を感じることなく仕事を進めていけるでしょう。
リモートワークを成功させるには、さまざまなソフトやハード面の整備だけでなく、「相手に伝えたいという気持ち」や「相手の受け取り方まで考えた表現の仕方」「孤独感を生まない工夫」などが大切であるということがお分かりいただけたでしょうか。
これからリモートワークを導入したいとお考えの方々に、メリービズのリモートワーク術をぜひお役立ていただき、それぞれに合ったリモートワークの形につなげていただければと思います。
結局..
今回リモートワーク術について書いていますが、「あれ?これオフィスで仕事しているときも一緒では?」と気づいた方も多いと思います。
コミュニケーションの方法は、電話からFAX、email、WebミーティングそしていずれはVRでのアバターミーティングという形で進化していくでしょう。ただ、コミュニケーションの本質は変わりません。だって、人間だもの。