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出版原稿#24 視力2.0のデメリット

 私は裸眼視力2.0ですが、実は目が良すぎてもデメリットもある、というお話です。

 視力2.0は遠くも見えるし近くも見えるし、解像度も高くて細かいものが見え、メガネもコンタクトも必要ないし、将来の眼病リスクも少なく、定期的な検診以外、眼科に行ったこともありません。

 いいことばっかり、ですが、実は色々と支障もあるのです…今日はそんな投稿です。

 編集でカットされた原稿を、フルバージョンでお送りします。
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視力は高すぎないほうがいい?
 視力が2.0もあったら生活しにくい、と勘違いされる方もおられるようです。例えばメガネを作る際に、矯正の度数を上げれば視力の計測値は良くなるわけですが、いわゆる度の高い分厚いメガネになってしまいます。

 この場合、視界の中心ばかり大きく見えて、周辺視野は狭まります。あまりに細かく見えると、情報処理する脳に負担がかかるため、やめたほうがいいですよ、と言われるようです。
 そういわれると、視力は高すぎると困ったことになる、という印象を持つことになるのです。

 実際は裸眼視力2.0だと視界も広く、好きなように見たいものを見れるので、全然不便ということはないですが、しいて言えば窓の外の虫とか見えて「最近は外来種のカメムシ(キマダラカメムシ)が増えたな」とか仕事中に気が散ります。

 この原稿を書いているパソコン画面のカラードット(青緑赤)も何となく見えます。見なくてもいいような無駄なノイズが見えるので、効率が悪いのかもしれません。

 見なくてもいいものは関心を向けなければいいだけなので、そんなに負担にはならないのです。
 でも、見たくなくてもどうしても関心が湧いてしまうものが、確かに集中力を阻害しますね…。

視覚良好者は少数派

 現代日本では視力(遠見視力)が高いほうが少数派です。視覚良好者は多数派が見えないものが常時見えてくるので、何年も視力がいい状態で生活していると、年齢を重ねるうちに、少し変わった人になる、という可能性はあるかもしれません。

 個人的に裸眼視力が1.5の方を何人か知っていますが、そうそうたるラインナップです。

・マイクラの世界に没頭する大学教授
・海洋性哺乳類を追う映画監督
・ヨガを極め竜脈を探る人
・往年のアイドルを崇拝する俳優
・赤ちゃんの動作サインのメッセージ性を研究する人

 皆、なかなか普段はお目にかかれない人ばかりでした。

 彼らは私のことを「アイツは本物のモンスターや」とか「宇宙人みたいな人」と言うのです。お前らに言われたくないわ、と思うのですが、まあ、変人同士でドングリの背比べをしているということでしょう。

視力が良いデメリット 見たくないものも見えてしまう
 視力が良すぎると見えなくてよいものが見えてしまうことがあります。裸眼視力が2.0だと、遠くを見ることのほか、解像度が高いので、近くの細かいものもよく見えるのです。

 話している相手が、隠したいであろう、シミそばかす、シワ、化粧ムラなど、どうしても見えてしまうので、なるべく見ないように、ピントをずらして相手の顔に焦点を当てないようにする努力が必要です。

 しかし、歯周ポケットの青のりや鼻毛に支えられて中空に浮いた鼻くそなどはどうしても笑ってしまうので、目線を落して見ないようにしています。目が良くて楽しそうな私ですが、実はいろいろ気を使って生きているのです。

 お好み焼きっておいしいですよね。何派ですか?とか、言っていいものか悪いものか…いつも下を向いています。
 結果として、平賀はあまり人と目を合わせない、陰気で内向きな人、という印象もできてしまいます。

やばい人にも遭遇しやすい

 遠くもよく見えますので、思いがけず変な体験をすることもあります。

 数年前、まだ会社勤めをしていたころ、平日の朝に通勤電車に乗っていた時のことなのですが、遠くのビルで窓を全開にし、全裸を披露する肥満体型の50ー60代と思われる男性が見えました。

 満員の通勤電車に向かって股間をペチン、ペチン、と叩いているのです。

 かなり遠いビルだったので、私以外には誰も見えていなかったようです。

 私は研究者ですので、「お!希少な個体発見!あの行動は何の意図があるのだろうか…それとも自由意思ではない?」と思考を巡らせていました。

 帰宅後に嬉々として妻に話したら、「気持ち悪いからその話しないで」とのことでした。そりゃそうですよね…

 一般的に、この個体は露出狂と分類され、遭遇したら「ギャー」となるものです。遠見視力が高いと、見たくないものも見えてしまうことがあります。

 希少なペチペチマンも、視力2.0の研究者に見られ、書籍に残されるとは想定していなかったでしょう。人間の高度に発達した前頭葉から創造される奇抜な行動は、いつしか詳細が解析されその意味付けが決定される日が来るかもしれません。

変質者と視力2.0の研究者という希少な二人が織りなすハーモニーを、本書に残してみようと思います。(アスコム様、残す必要が無い場合、カットしてください)

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 原稿は予想通りにカットされました。今回出版いただいたアスコム社の担当様は、推定30代前半の女性だったので、なおさら受け入れにくかったのかもしれません。提出後以下のコメントがございました。

 すみません。本当に申し訳ないです。調子に乗りました。
 そしてペチペチマンは、本屋さんに並ぶことはできませんでしたが、noteの中で、この世界に残り続けるでしょう。

 発売された拙著には上記のような内容はなく、きわめて健全な内容ですので、どうぞお手に取っていただけますと幸いです。


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