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週末に考える人生戦略の話(2)

サッカー界のレジェンド、イブラヒモビッチ氏の自伝『I AM ZLATAN ズラタン・イブラヒモビッチ自伝』を読みました。同氏は、500ゴールを超えた史上3人目の選手としても有名です(2023年に現役引退)。

自伝の中に、イブラヒモビッチ氏の人生を劇的に変えた出来事が語られていました。代理人のミーノ・ライオラ氏との出会いです。

オランダでプレーしているとき、イブラヒモビッチ氏は自身のキャリアを変えるべく、新しい代理人を探していました。そこで紹介されたのが前述のミーノ氏です。

イブラヒモビッチ氏は、最初の会談で自分をよく見せようと、高級ブランドのジャケット、高級腕時計、高級スポーツカーのポルシェに乗ってホテルに到着します。しかし、辣腕代理人ミーノの反応は意外なものでした。

ミーノ氏はすぐに資料を取り出し、数字を見せます。

『クリスティアーノ・ヴィエリが27試合中24ゴール、フィリッポ・インザーギが25試合20ゴール、ダビド・トレゼゲが24試合で20ゴール、そして最後に、ズラタン・イブラヒモビッチが25試合で5ゴールだ』

『こんな数字でアンタが売れると思うか?』


ミーノ氏は、最初の会見でこうまで言ったのです。

この言葉に戸惑ったイブラヒモビッチ氏も、負けずに言い返します。

『俺が20ゴールもしてたら、うちの母ちゃんだって俺を売ることはできるぜ』

ミーノ氏は返答します。

『おまえは自分がカッコいいとでも思っているのか?』
『どういう意味だ?』
『おまえのその時計とジャケットとポルシェで、俺に好印象が与えられるとでも思っているのか?俺にはアホタレにしか見えないぞ』

なかなか強烈な問いかけです。しかし、次の質問がイブラヒモビッチ氏の目を覚まさせることになります。

『それが何なんだ?』
『おまえは世界一のプレーヤーになりたいのか?あるいはくだらない装飾品で着飾った世界一の金持ちになりたいのか?』
『世界一のプレーヤーだね』

混乱しながらも、イブラヒモビッチ氏は新代理人に、自分の現状を変えてくれるように、今すぐ協力して欲しいと伝えます。ミーノ氏は以下のように答えます。

「わかった」
「まずは車を売りな。時計もだ。そして今までの3倍練習しろ。おまえのデータはクソみたいなもんだからな」

イブラヒモビッチ氏は、ほんの一瞬怒りますが、

『彼の言うことも一理あると思った』

のです。後日ポルシェの鍵をミーノ氏に預け、高級腕時計を外し、ナイキの安い腕時計をつけた。その日から、精魂尽き果てるまで練習をする新たな日々を始めます。

新代理人から受けた、辛辣かつストレートな指摘を正しく受け止めた。このきっかけで、イブラヒモビッチ氏はサッカー選手として大きく覚醒し、のちに移籍するイタリアの名門ACミランで伝説的な活躍をします。

厳しい練習を始めたイブラヒモビッチ氏はこう書いています。

『「こうあるべきだったんだ」とやっと自分で気づき、その事実が衝撃的だった。自分をカッコいいと勘違いして満足し、自分への要求が低くなっていた。俺はまるで間違っていた。実際、ゴールは少なかった。ファン・バステンの意見は正しかったよ。ミーノも正しかった。頑張りがまだ足りなかった』

悪童と呼ばれるほど、自己主張が強いサッカー選手として有名なイブラヒモビッチ氏。しかし、サッカーの歴史に残るほどの成績を上げた彼の転機は、ミーノ氏の強烈な指摘を受け止めた謙虚さが生み出したのです。

成果を上げる中で「自分への要求がいつの間にか低くなっていないか?」、週末にぜひ、一緒に振り返ってみませんか。

※引用元 I AM ZLATAN ズラタン・イブラヒモビッチ自伝



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鈴木博毅  / あなたを応援する!ビジネス戦略コンサルタント
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