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道を聞かれる体質。
なぜか。めちゃめちゃ道を聞かれるんです。
自粛も開けて、少しずつ外に出始めて、マスクをしていても、人通りが少なくても、1週間に3回聞かれて思い出しました!
自分は「道を聞かれる体質」なんだということを。
なんなら皆んな自分くらい聞かれてると思ってました。
でも友人に話したりすると「人生今まで聞かれたことないよ」って言われたり、東京という人口と、観光客の多さのせいかと思っても「いや全然ないけどwww」と都内在住の友人たちに言われて、異常性に気づきました。
10代の時はそうでもなかったのに成人してからの頻度がすごい。
月1回はあります。2ヶ月聞かれてないな〜と思うと、1日に2回聞かれたりします。それで帳尻合う。とにかく月1ペース。年12回は聞かれてる。
結果、理由や原因はわかりません。
友人らに相談しても「道を知ってそう顔」とか「道聞きやすいオーラ」とか「道聞いていいですよ感出てる」とか抽象的な答えが出る。
わからないけど、自分で、「道聞かれる体質」ということにしました。
ちなみに自分は方向音痴で、地図もうまく見れません。初めて通る道は後ろを振り返ると別の道に見えます。
ですが本当にどんなシチュエーションでも聞かれます。
道で、電車で、居酒屋で、施設の中で、初めて行く街で、イヤホンしてようが、電話してようが、スマホでNetflix見てようが、一人でも、友人といても、知らない人に声をかけられて、一瞬ビクッとなって、道案内する。
「〇〇病院をご存知?」とおばあさんに聞かれたが、その病院は目の前にあったり、
家から2、3分のコンビニに行った行きに「〇〇駅ってどっちですか?」とお兄さんに聞かれ、帰りに「〇〇駅ってどっちですか?」とおばさんに聞かれたり、
人の多い原宿や表参道で待ち合わせとかしてるとめちゃめちゃ話しかけられる。自分がスキンヘッドでサングラスでそんなにポップな人相ではないと思っていたけど、関係ないみたいです。
わざわざ店のシャッターを開けて道を聞いてきた人もいました。
ショッピングモールとかで店員さんに間違われることもよくあります。フツーなトーンで女性に「これ試着していいですか?」と聞かれたりします。
ああいう時「えっ?」って2秒くらい固まります。
反射で「すいません、、自分店員さんじゃなくて、、」と謝ったりしちゃいます。
そんな道聞かれエピソードは山ほどありますが、
とにかく強烈で忘れられないのが、
❇︎
あれは30歳になる誕生日の日。
その時は飲食店に勤めていて、深夜まで仕事の日でした。
節目の日も仕事だけして終わっちゃたなー、どんな30代に何だべなー、なんて思いながら帰路につき、
元々電車が苦手かつ自転車が好きで、仕事が終わる時間も終電を過ぎる時もあるので、自転車で通勤していました(愛車のピスト)。
その日も仕事を終え、原宿方面から世田谷方面へ自転車で帰っている時です。
途中長めの上り坂を上がっていると、(ピストなのでのんびりスイスイ上がれます)確か、vitzかnote、一台の車が後ろから来ました。追い越すかと思ったら、車は減速し自分と並走してきました。
「んっ?何だこの車?」と思ったら、
「お兄サーーーーーーン!!!!!!道玄坂ってどこーーーー!!!?」
と車内から話しかけてきました。
そこで初めて車と運転者を目視しました。
ハード目のオカマさんです。
はるな愛さんやIKKOさんのように綺麗ではありません。
小太りのおじさんです、輝きのないはちみつ二郎さん、もしくは奥行きのない六角精児さんがベースです。
ボサボサの金髪ボブのウィッグにノリが見えてるつけまつげ、青ヒゲを隠しきれてない濃いめのファンデーション。ランジェリーのようなピンクのキャミソールをお召しです。
オカマさんに抵抗はないし、トランスジェンダーの知人もいるので理解はあるつもりでしたが、道を聞かれたシチュエーションと突然のビジュアルにインパクトは抜群です。
そのまま数メートル並走中、「道玄坂は逆方向ですよー」と自分が伝えると、
「えーーーーっ!!!ウソーーーーっ!!!」
と言って自分を抜き去って行きました。
抜き去ったと思った束の間、10m程先で車を寄せて停車しました。
自分を待っています。
案の定、車に追いつくと
「お兄さんごめんねー、ちゃんと教えてもらっていい!?」
と深夜の大通りで道玄坂への道を説明していると、
車内で六角二郎さんが何かと話しています。
「良かったー、優しいお兄さんに出会えました〜」
「ヨカッタネ!」
「オニイサンハイケメンデスカ?」
「オニイサンノカオミターイ」
とロボットの声と喋っています。
車内には六角二郎さんが映っているモニターがあり、画面横から文字が流れ、その画面から視聴者のコメントが合成音声となって喋りかけてきます。
どうやら生配信をしています。
二郎さんは続けます。
「お兄さんは顔出しオッケー?」
いえ、オッケーじゃないです。
「えー冷た〜い、でも道教えてくれたのは優し〜」
「オニイサンドンマイ」
「フツーイヤデショー」
「カオミタカッタナー」
あのー、道分かったようだったら、もういいですか?と話を切り上げようとすると、
「あーーごめんなさい!じゃあ握手しよ!」
あっ、嫌です。
「えーーー冷たーーい!!でも、道教えてくれたから優しい♡」
「アクシュシテアゲテー」
「ソリャイヤダヨネー」
もういいですか?
「あーーーごめんなさい!!じゃあハグしよ!!」
あっ、嫌です。
「えーーー、じゃあ、、、」
嫌です。
「まだ言ってないーーー!!!!!」
「オニイサンワラ」
「オニイサンノミニナレヨ」
「オニイサンヤサシクシテアゲテー」
画面に文字が流れます。
あのーもう本当にいいですか?
「ハヤクドウゲンザカーイカナイトー」
「そう!道玄坂!お兄さん待って!」
道は説明した通りですよ?
「違うの。」
はい?
「一緒に道玄坂行かない?」
行かないです。
「ゴー、ヨン、サン、ニー、」
「ヒヅケカワッタヨー」
「タイムオーバー」
「えっウソーーーーー!!!思い出残せなかったーーーー!!!」
あのー、道にお困りなら説明しますが、あなたの催しに付き合うつもりはないので、これで失礼しますね。
「えっ行っちゃうの!?」
「オニイサンセイロンー」
「オニイサンアリガトー」
「オキヲツケテー」
「オニイサンバイバイ」
合成音声に見送られながら逃げるようにその場を後にします。すると、後方で六角二郎さんが猛スピードでUターンして渋谷方面に向かって行きました。
道を教えている時に自己紹介を受けていた自分は、後でその名前を検索してみました。
三重在住のオカマさんで、定期的に動画配信をし、たまに東京に来るらしい。その日は、誕生日に出会った人と道玄坂で思い出を残す。という企画で、三重からのドライブを配信していたらしい。
んっ?ってことは六角二郎さん自分と同じ誕生日じゃないか。
自分は元モーニング娘。の辻希美さんと生年月日が一緒だ。月日だけなら嵐の二宮さん、RIP SLYMEのイルマリさんと一緒だ。自分はズバリ世代で、皆大好きで、ただ誕生日が同じなだけで嬉しくなったものだが、
ここに六角二郎さんをエントリーさせると思うと気がひける。
ましてや自分の30歳の誕生日に起きたことだから忘れられないだろう。
自分の方が思い出に残ってしまった。
夏の思い出、手は繋がないで、並走した井の頭通り。
今時期は県またぎづらいけど、二郎さん旅してんのかなー。
まあこれからも、
老若男女、国籍も性別も超えて、それがロボットでも、道に困ってる人が助かるなら、自分は今日も道を聞かれたら答えるんだと思う。