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「スノースマイル」のセカイをアルク

大人になって口吟む曲は、中学生の頃にハマったものが中心らしい。雪が積もる世界になって私は、BUMP OF CHICKENの「スノースマイル」を口遊むようになった。単純なものだ。

特にウインターブーツではないので

キレイなままの 雪の絨毯

を刻む勇気はないのであるが、そうはいっても、朝の会社へと続くショートカットを通過するには避けられない時がある。

遅刻する、か、足がかじかむ、か、を選択しなければならない。

仕方ないので、勇気をもらいに「スノースマイル」を口にする。

遅刻する、か、オーケストラを奏でる、か、に選択が変わる。

もう迷うことはない。

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それでも被害を最小限にしようと、大人になった入れ知恵が働く。足をなるべく垂直に上げ下げするほうが靴に侵入してくる雪が少ない。こうしたコツは雪国で生活するには必須だ。。。と、この瞬間、初めて「スノースマイル」のセカイをアルイタ、気がした。説明させてほしい。

足を垂直に上げ下げすると、自然と歩幅は狭まる。両立するには“スキップ”するしか無いと思うのだが、そうするともはや歩いていないので歌詞と矛盾する。歩幅は“二人とも”狭いはず。なのに、

君の歩幅は狭い

と歌詞にある。

もしこれが、この君が「子ども」なら、、、

中学生の時に見えた世界とは違うセカイが広がる。

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冬が寒くって 本当に良かった
君の冷えた左手を
僕の右ポケットに お招きする為の
この上ない程の 理由になるから

右ハンドルの国にとって、特別な助手席である左側、あるいは心の臓の左側に女性を置くことが通常なら、例外がある。ガードレールのない歩道の場合だ。この場合、男性が車道側を歩く(私は古いタイプの人間なので、そう信じている)。すると「君の左手」となる。

「雪が降ればいい」と 口を尖らせた
思い通りにはいかないさ
落ち葉を蹴飛ばすなよ 今にまた転ぶぞ
何で怒ってるのに 楽しそうなの?

「また転ぶぞ」とあることから、君は転んだのだろう。滑ったからだろうか?いいや、このセカイに雪はない。あるのは落ち葉だけで雪が降る季節にはまだなっていない。

君は愚痴って口を尖らせ、雪がないことに怒っているのに、なんだか楽しそうなのは、しばらくぶりの外の世界だからかな。まだ落ち葉を蹴飛ばすほどの元気がある。でも、もしかしたら、雪が降る季節までは続かないかもしれない。

まだキレイなままの 雪の絨毯に
二人で刻む 足跡の平行線
こんな夢物語 叶わなくたって
笑顔はこぼれてくる
雪の無い道に

雪の絨毯になら、生きた証の足跡がくっきり残るのに。これまで二人で歩いてきた平行線が振り返れば続いているのに。目の前に広がるキレイな、自由なキャンバス。たとえ春が来て雪が溶けてしまったとしてもいいじゃないか。

少なくとも雪の無い道では、いっときの証さえも刻めないのだから。

なんて、僕の憂いをよそに、君は笑っている。

二人で歩くには 少しコツがいる
君の歩幅は狭い
出来るだけ時間をかけて 景色を見ておくよ
振り返る君の居る景色を

僕らの子も、歩けるほど大きくなったよ。まだまだよちよち歩きだから少しコツがいるけど。今度君と会う時のために、しっかりと成長していくあの子の景色をしっかりと見ておかないとね。

まだ乾いたままの 空のカーテンに
二人で鳴らす 足音のオーケストラ
ほら夢物語 叶う前だって
笑顔は君がくれる
そんなの わかってる

僕らの音楽は天国まで聞こえているだろうか。雪の絨毯はこんな音がするんだ。楽譜のようにキレイな平行線は、走る回るあの子のおかげでシッチャカメッチャカになっちゃったけど、きっと色んな音が聞こえていると思う。

「そんなの、オーケストラじゃない」って君は口を尖らせながら、きっと笑っているんだろう?知ってるさ。

まだキレイなままの 雪の絨毯に
二人で刻む 足跡の平行線
そうさ夢物語 願わなくたって
笑顔は教えてくれた
僕の行く道を

ほんとうはあの時、僕もすぐに逝こうと思った。なんの足跡もないキレイな雪の絨毯を1人で踏みしめていくことなんて、あまりにも残酷だった。

でも、君は、最後に君は僕の行く真っさらな“未知”を示してくれた。

男手ひとつは大変だけど、けっこううまくやれてるよ。

君と出会えて 本当に良かった
同じ季節が巡る
僕の右ポケットに しまってた思い出は
やっぱりしまって歩くよ

君の居ない道を


コーヒーをご馳走してください! ありがとうございます!