オンボーディングしてもらう人の心構え
春ですね。
出会いと別れの季節。新しい挑戦をする人も多い。
近年では、スタートアップのみならず多くの企業で「オンボーディング」と称し、組織になじみ、成果を上げる準備期間が良いされていることも少なくない。
かくいう私も昨年末に転職をし、オンボーディングが完了した3ヶ月後には成果を評価され、社内表彰を受けるなど直近で実際に体験した。
その過程で「オンボーディングを受ける側の心構え」によってその質が大きく変わることを感じた。
今日は、その時感じたポイントを共有することで、この春に新たな挑戦をする人の背中を押したい。
また、テキストより動画でサクッと確認したい方は、動画版も用意しているので、そちらを確認してもらいたい (2倍速で約5分)
0. 備えておきたい基本姿勢
新しい挑戦は不安が多い。
採用時の期待値がプレッシャーになり、「すぐに活躍しなくては!」「成果を出さなくては!」と思うのは当然のこと。
その思いが強い故に「舐められたらどうしよう」「今の問題・課題を自分の力で解決しよう」という防衛本能が働くことも。
その結果、「高飛車で強気な粗探しをする人」が誕生する。
そんな人、一緒に仕事がしたいだろうか?
そこで持っておきたい基本姿勢を3つあげたい。
その組織には形成してきた文化がある。大切にしている想いがある。まずはそれを受け止め、尊重すること。
これができないものに組織に参加する権利はない。
人の家に土足で入っていくようなものだ。
一方で、組織の「当たり前」に溶け込むことでいつの間にか「当たり前を疑う心」が失せていく。
いつの間にか自分への期待値も薄れていき、成果からも遠ざかる。
そうならないために尊敬と謙虚な心を持ち、自分の芯を失わないことが大事だ。
では、具体的にどんなアクションをとるべきか考えてみよう
1. 全体を最速で把握する
まずは状況把握が大切だ。
状況を理解せずに、動き出し、無鉄砲な提案をしたところで、空振りするだけだ。
球筋を見極めずにただただバットを振るだけでは、チャンスを作ることも、チャンスで得点をあげることもできない。
まずは人と事業を理解しよう
まずは人を知ること。
その事業におけるキーマンは誰か。
この分野で困ったら誰が詳しいか
この人の得意分野は何か
というチェス盤の配置を把握することが大事だ
それだけならみんなやるだろう。
さらに気をつけておきたいのはその人が好むコミュニケーションスタイルは何か。
黙々と進め、成果で示して欲しいのか
こまめな共有が欲しいのか
みんなの声を持って率いて欲しいのか
リーダーシップを示してほしいのか
良い / 悪いではなく、好むスタイルが必ずあるはずだ。対話を繰り返してここを理解することで言語化できないやりやすい雰囲気を作ることができるだろう
一方、ビジネスの理解は優先順位とやらないことが大切だ。
目標(Objective) > 目的(Target) > 戦略(Strategy) > 戦術(Tactics) という順番で把握することで、目の前のタスクの位置づけが前後左右含めて立体的に捉えることができる。
目の前のタスクを解像度高く捉えることで、本質を捉えることができ、必要なこと、不要なことを見極めることができる
2. 組織・ビジネスの状況と自身の経験、強みを照らし合わせる
球筋が見えたら、自分のできることが見えてくる
直球は自分の力で打ち返せる
カーブは自分よりチームメンバーの方が得意だろう。伸び代だ。
オンボーディングに置き換えるとこのように表現できるだろう。
自分の中で差分が見えてくると活躍できる領域がわかる。
期待されている内容 と 自身の経験と自信の差分をとる = 必修科目
期待以外の内容 で 自信がある部分を把握 = 高得点が目指せる選択科目
自身の経験 で足りない、学習するべき部分をリストアップ = 伸び代
ただ、この時点では、自分の中でしかこれらの状況は見えていない。周りにも理解してもらい、自分をうまく活用してもらう必要がある。
「便利にこき使われるのはごめんだ」と思うかもしれない。
だからこそ、自分の得意と苦手、やりたいとやりたくないを表明することで、在るべきところで活躍できるようになる
3. 3つの"しこう"を共有する
自分をうまく活用してもらうためには3つの"しこう"を理解してもらうことが必要だ。
3-1 . 思考を共有する
考え方を共有することで視野の高さ、視座の広さを感じてもらう。それにより、どのレベルの仕事を任せることができるかが見えてくる
3-2. 嗜好を共有する
好きなこと、やる気が出ることこと一番のパワーが生まれる。
「好きこそ、モノの上手なれ」
仕事以外でも趣味や嗜好品を共有することで雑談の種が生まれる。
コミュニケーションの頻度が増えると、心を許せる相手になり、信頼が生まれる。
3-3.試行を共有する
結果や成果は見えやすいが、その過程は見えてこない。
どんなアプローチでどんな仕事のスタイルをするのか。それが見えてくるとその人の癖や働き方が見えてくる。
これにより、どんな工夫やチャレンジをしているのか、確度やエビデンスの集め方などが伝わる。
4. やること / やらないことを決める
組織や事業の全体像の中で自分のできることみんなに見えてくると、地震で気付くやるべきことや他者からの依頼事項が増えるだろう。
そして待っていることは圧倒的な忙殺。
そもそも、誰かを雇うということは、1人分以上の仕事が存在しているということだ。
全ての期待に応えようとすると自分のキャパシティーを超え、いつの間にか肝液性を構築する前に「あの人、忙しそうでいつもピリピリしてるな」「いつも仕事が遅いな」という印象が生まれる。
そうならないためにもやらないことを決めることが大切だ
インプットが多いと、全部やりたくなる。だからこそ、優先順位を決める。オンボーディング中は 知らない歴史や文脈が多い。だからこそ、独りよがりではなく、“こまめな期待値調整”をもと優先順位を決める。
その上で、まず必要なことを選択し、集中することで、特定の分野での成果を最速で出すことができる。
5. 日単位でのふりかえりとカイゼン
オンボーディング期間は優先順位を決めなくてはならないほどやることが多い。そして、何よりインプットの量が膨大だ。
そのためには"ふりかえり"と"カイゼン"を高速で回すことが最適だ。
具体的には、
毎日感じたことを、書き留める。そしてそれを 自分のメモではなく、見えるように (思考と試行の共有)することがポイントだ。
そして、とにかく、思ったらやってみる。言ってみる。意見の相違が毎日あるのは当たり前で時には「おや?」と思うこともあるだろう。ただ、Respect & Encourageを持っていれば、むしろ歓迎される
その上でアドバイスには積極的に耳を傾ける「違うんじゃないかな」と思ってもまずやってみて判断するのだ。経緯(思考)も共有した上で、フィードバック/フィードフォワードを求めよう。
特に「(アクションだけに対して)どうですか?」ではなく「自分は〇〇とを持ってXXをしたが、あなたから見てどうですか?」と聞いてみることで具体的なアドバイスや背景の説明を引き出せることが多い。
期待値を把握した上でその少し上を狙うことで、それが達成されると「お!期待値を超えて成果が出せる人だ!」という評価も生まれるだろう。
最後に
まとめると、以下のようになる。
とはいえ、オンボーディングのなかで苦しい時や、難しいこともあるだろう。その時は率直にその気持ちを伝えよう。
企業における採用はお互いのどちらかが得をするものではなく、双方の幸せを実現できないと成功とは言えない。
今日紹介した心構えを持った上で、尊敬の念を持った上で、新しい挑戦に臨んでほしいと思う。
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