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"うまく伝えられない"そんなモヤモヤを整理する4つのヒント

自分の意見や提案をうまく相手に伝えられず、モヤモヤした経験はありませんか?また、伝わらなかった時に、何をどう改善したらいいか悩んだことはないでしょうか?

私も同じように悩みながら、日々試行錯誤しているのですが、"伝える力"の改善に向けて、何かしらのヒントになりそうなものを整理できたらと思い、noteで文章にしてみることにしました。

"伝える力"は仕事だけではなく、自分以外の誰かと共に生活しているすべての人にとって、必要な力だと考えています。

もし、同様に悩まれている方がいれば、読んでもらえると嬉しいです。


どういう時に"言葉"はうまく伝わらないのか?

中国の古典に次のような言葉があります。

進言に四難有り。人を審らかにし、己を審らかにし、事を審らかにし、時を審らかにす。一も不審有れば、事必ず済らず。
*つまびらかにする: 詳細を明らかにする

(呻吟語/著: 呂新吾)

簡単に説明すると、"言葉を伝えるには、4つの難しいポイントがある。"人"(相手)、"己"(自分)、"事"(内容)、"時"(タイミング)の4つの内、1つでも詳細が明確でなければ、言葉は伝わらない"という意味です。

私も短気でせっかちなので、"なんで伝わらへんねや"と思うことが度々あります。しかし、そんなときに落ち着いて、4つのポイントを振り返るだけで、次はどう改善すべきかが少しずつ見えてきます。

この4つのポイントを順に見ていきましょう。

"人": 相手をどう理解するか?

「相手のことを理解することは大切」と分かっていても、なぜ失敗してしまうのでしょうか?

①"伝えていることが正しければ伝わるはず"と考える

私もつい油断しがちなのですが、自分なりの"正しさ"にかまけて、相手を知ろう・理解しようとする努力を怠ってしまうことがあります。

②相手が受け止める状況にないのに、伝え続ける

「この人を一生懸命理解して、伝えたい」という思いが、時として独りよがりになることもあります。相手がその言葉を受け止められる状況になかったり、信頼関係がまだ築けていない場合は、一度立ち止まって状況を見直しましょう。

"どうすれば相手が言葉を受け止められる状況になるのか?"、"誰の言葉であれば受け止められるのか?"、"今回は難しそうなので一旦見送るべきか?"、など、次の対応を考えることができます。

③人間の本質的な性質を理解する

少し抽象的な話になりますが、"人"とはどういったものなのか?という前提を理解することも大切です。

例えば、"人"はめんどくさがりだったり、変化に抵抗感があったり、直接"No"と言いづらかったり、集団の中では周囲の意見に影響されやすい、などの性質があります。

こういった性質を理解せず、表面的なコミュニケーションだけで理解したと思い込むことは失敗の原因となりかねません。

"己": 自分をどう理解し、理解してもらうか?

①借り物の言葉では伝わらない

まず最初のステップは"自分自身をどう理解するか?"ということです。
このステップが必要な理由は、自分自身に合っていない言葉は、たとえ正しくても、借り物の言葉になってしまうからです。

自分の価値観を無理に合わせ、思ってもいないことを言ったり、苦手なことを分かったふりをして語ったりしても、相手の心に伝わる言葉になりません。

②周りの人に自分がどう理解されているか?を理解する

例えば、ユニクロの柳井会長がビジネスについて語れば、多くのビジネスパーソンが興味を持って耳を傾けます。また、サッカーのテレビ中継で著名な解説者が起用されるのも、視聴者がその人物を知っているからこそ、解説に説得力が生まれるのです。

これほど大げさでなくても、学校や職場などで、自分が他者にどう見られているのか、どう理解されているのかを客観的に考えることが重要です。

例えば、遅刻常習犯の人が、「ルールを守りなさい」と注意しても、その言葉は正しくとも、伝わりません。

③周りへの自己開示も大事

自分がどういう人間かを知ってもらうための努力も大切です。自己紹介のような形でなくとも、日頃の言動や行動を通して、自分を表現することが、上記の①や②の理解にも繋がっていきます。

また、自己開示をすると、相手も自分について話してくれるようになり、お互いの理解が深まるきっかけになります。

"事": 伝えたいことを明確に理解し、シンプルに整理できているか?

4つの要素のうち、"事"を苦手とする人が比較的多いように思います。それは、"①伝えたいことを明確に理解すること"、"②理解した上でシンプルに整理すること"の2つが、それぞれ継続的な努力と実践を必要とするためだと考えられます。

①伝えたいことを明確に理解するには?

例えば、私自身、noteを書く際にいつも苦労します。理解していると思っても、いざ書き始めると、思うように書けないことが多々あります。その理由は、多くの場合、十分にインプットができていないからです。

不十分なインプットをそのままにせず、"あと一歩の努力をできるか"ということが重要です。

一例として、”あと一歩の努力”には、以下のような方法があります。
1. 自分との対話による理解の確認(根拠、具体例、異なる視点からの反論は?、要約して説明できるか?など)
2. アウトプットの試行(箇条書きでの要点書き出し、図式化)
3. 理解の穴を埋める(説明しづらい部分や自信のない箇所はどこか?)

②シンプルに整理するための努力を継続的にできるか?

私自身、直感派で、思考を整理して、人に伝えることが苦手でした。そのため、簡単なことの説明に30分も時間がかかり、怒られたこともあります。

5分から10分程度でもいいので、自分の文章や思考をより良くできないか?と継続的に取り組むだけで、改善は可能です。苦手意識があっても、根気強く取り組み続けることが重要です。

例えば、プレゼンの整理が上手な人のフォーマットを参考にしたり、ChatGPTに自分の文章を整理してもらい、自分の文章との違いを分析したりするだけでも、効果的な改善につながります。(*私もnote作成時はClaudeとChatGPTによる校正を活用しています)

③届ける相手を想定し、アウトプットを作る。

”人"のパートの補足になりますが、
"相手をどう理解するか?"を考えた上で、
アウトプットを作ることも重要です。

例えば、仕事で上司に報告する場合、
その上司はどのような人物なのか?
方向性・サマリーのみを求めているのか?
実行の詳細まで確認したいのか?
あるいは数字ベースでの確認を好むのか?
どれぐらい報告内容の背景を理解しているのか?など
相手の性格、価値観、理解度を考慮します。

必要な情報を適切に整理し、アウトプットの量と質を調整することで、より効果的に伝えることができます。

時: 伝えるタイミングは合っているか?

①"人"/"己"/"事"の3つを明確にできているか?

「進言に四難有り。人を審らかにし、己を審らかにし、事を審らかにし、時を審らかにす。"一も不審有れば、事必ず済らず"。
とあるように、この3つのうち、1つでも明確になっていない場合は、まだ伝えるべきタイミングではありません。ただし、時間が限られている状況でどうしても伝えなければならない場合は、努力を尽くして臨みましょう。

②伝えたいことが伝えられる信頼関係が築けているか?

例えば、初対面で信頼関係がない人から突然何かを頼まれても、受け入れるのは難しいでしょう。①の延長線上にはなりますが、日々の取り組みを通して少しずつ信頼関係を築いていくしかありません。

③相手の状態を丁寧に考慮し、適切なタイミングを選んでいるか?

当たり前のことのように思えますが、意外と無頓着になりがちです。私自身も、思いついたらすぐに話してしまったり、感情的なまま反論してしまったりすることがあります。そのため、一呼吸置いてから臨むことを心がけたいと思います。

おわりに:"モヤモヤ"を成長の機会に

ただ"伝わらへんなー"で終わるのではなく、もう一歩踏み込んで思考を整理することで、モヤモヤは少し和らぐのではないでしょうか?

私は現在タンザニアに住んでいますが、どうにもならないことがたくさんあります。それでも自分自身についてはコントロール可能な部分があると感じています。

私も時に、伝わらないモヤモヤを相手にぶつけてしまうことがあります。しかし、その矢印を自分に向けて、整理し、コントロールする努力をすれば、少しづつ改善し、それが自身の成長の機会になると実感しています。

また、この努力が互いを理解し、思考を伝え合える架け橋になれば、自分自身も周りの人たちもポジティブで前向きな姿勢で、共通の課題に向き合っていけるのではないでしょうか?

もし少しでも前向きな方向に進む一助となれば、嬉しいです!


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