40歳からサッカーイラストを描き始めて8年後に日本サッカー協会に辿り着いた話vol.6【オファー編(後編)】
イラストレーターになるために必要なものは何ですか?
と聞かれたら、
世界観やタッチや技術は各々の個性の部分なので、
そこの正解はわからないけど、
「縁」と「タイミング(運)」と「準備」はすごく必要
と答えるようにしています。
(個人の見解です)
自分が描いた作品が世の中に出るまでには
クライアント〜制作会社〜印刷会社や映像会社〜販売店舗やメディアなど、
消費者、閲覧者、視聴者に届くまでに
たくさんの企業や人が関わるので
どんな案件でも手を抜かずに
期待に応えて信頼を得れば人脈が広がって
お仕事との「縁」が生まれます。
また、
時代や流行によって
求められる絵柄や作風は
目まぐるしいスピードで変わるため、
自分らしさやタッチを活かせる時もどこかで巡ってきます。
その「タイミング(運)」を掴むのも必要です。
「縁」が多ければ多いほど
「タイミング(運)」は増えます(多分)。
そして、
思いがけない「縁」や「タイミング」が
突然やって来た時に(大体突然やってきます)
物怖じしないために、
普段から描いたり考えたりする
手と脳の「準備」が必要だと思います。
僕自身も
vol.2【投稿編】の時に書いていた↓
は、仕事の速度をアピールする訳ではなく、
考えることに慣れる、描くことに慣れる、情報(ニーズ)を把握する
ための準備という意味で一番大事なルールに据えています。
(今はだいぶサボっています)
ということで
この「準備」があったからこそ、、
いつも前置きが長くてごめんなさい、
<vol.5 オファー編 前編の続きです>
●大宮アルディージャ
初めてのサッカーのお仕事がJリーグチーム公式案件!
しかもJ1昇格シーズンの日程ポスター!!
超責任重大!!!
大丈夫だろうか、、、
・
・
・
・
全然大丈夫!
嬉しい!やったー!!
大宮に向かう気満々の提案に
担当者様からご快諾頂き、
一月下旬に大宮のクラブハウスへ打ち合わせに向かうことになりました。
■オレンジキューブ
初めて訪れた埼玉県にドキドキしながら西大宮駅で降車し、
前日の大雪の影響で凍ったアルディロードを歩き、
クラブハウス「オレンジキューブ」に到着しました。
担当のKさんにご挨拶後、施設の中を案内して頂いたのですが、
この日はなんと
2016シーズンのための選手のプロフィール写真の撮影日で、
新しいユニフォームに袖を通したアルディージャの選手が
勢揃いしていました。
試合以外で間近でサッカー選手を見るのは初めてです!
と興奮していたら
「せっかくなので打ち合わせ前に、撮影も見学していってください」
と、
撮影風景を見学させて頂けることになりました。
撮影されているカメラマンさんの真後ろに、
正体不明の挙動不審なおじさんが
パイプ椅子に座ってキョロキョロしている姿を
選手たちも不思議に思っているだろうなぁと感じながらも、
「あ、本物の金澤慎選手だ!」
「加藤順大選手ノリノリだなぁ」
「ムルジャ選手でかッ!」
(ちなみにムルジャの通訳は現在アビスパ福岡でスペイン語の通訳をされているマルコさんです)
「元日本代表の播戸竜二選手だー!」
みたいな感じで撮影を楽しんでいると、
「ご紹介します」と、
隣の部屋から入ってきたKさんの横に立っていたのは
キング オブ アルディージャ『家長昭博選手』!!
■家長昭博選手
アルディージャからオファーを頂く半年前くらいのある日、
普段サッカーを観てる層とは違う雰囲気の方々から
突然一斉にフォロー頂いたことがあり、
何が起こったんだろう?と思っていたら
インスタにアップしていた家長選手のイラストを
奥様の家長晶さんがリツイート&ご紹介してくださっていた
ということがありました。
その経緯があったので、
と、
試合中継などで観るクールなイメージとは違って
気さくに接していただき、
和やかな雰囲気でご挨拶させて頂きました。
(心臓はバクバクしていました)
家長選手とは
川崎フロンターレに移籍した後も、
アビスパ福岡戦の試合終了後に
何度かご挨拶させていただいたりと、
(フロンターレ通訳の金さん&ゴンさんいつもありがとうございます)
一方的にご縁を感じています。
■NACK5スタジアム
選手全員の撮影が終わり、
ラフスケッチやアイデアを元に
ポスターの打ち合わせをさせて頂きました。
打ち合わせはスムーズに進み
方向性と構図も決定しました。
手前に向かって駆けてくる選手たちの背景に
スタジアムのイメージを敷くデザインになる予定なので
資料を頂けると助かります。とお願いしたところ
せっかくなのでスタジアムに案内しますよ!と
Kさんからまたまた嬉しいご提案を頂き、
アルディージャのホームスタジアム、
「NACK5スタジアム」へ連れていって頂きました。
Kさんと一緒に大宮駅からスタジアムへ向かう道中、
オレンジの街灯バナーがはためく商店街で
偶然出会ったサポーターさんやポスターが貼られている飲食店のオーナーさんにご挨拶し、
チームと地域の距離の近さを実感し、
スタジアムに到着してからは
スタジアムのピッチを整えるグランドキーパーの方のお仕事を遠くから眺め、
ロッカールームやメディア席やベンチ、
そしてゴール裏を見学させて頂きました。
改めて
新たなシーズンに向けて
チームに関わる皆さんのモチベーションをあげる為の
最初のツールである日程ポスターのビジュアルの重要さと、
スローガンの「挑む」の意味に
大きな責任を感じながら、
気を引き締めて福岡に戻りました。
■ポスター完成
そして数週間後、
何度かのやり取りを経て
ポスターが完成しました!
家長選手を中心に、
スタジアムから高みへ未来へ駆け上がる選手たちを表現したポスターは、
商店街をはじめ大宮の街にたくさん掲示されました。
この年の大宮アルディージャの成績は年間5位(過去最高順位)!!
最高のシーズンで締めくくったおかげで
このビジュアルを今も覚えてくださっているサポーターさんもいて
本当に嬉しいです!
あらためまして、
行けるはずのなかった場所を訪れることが出来、
会えるはずのなかった方々に出会うことが出来、
食べられるはずのなかったラーメンを食べることが出来、
今までではあり得なかった経験がたくさん出来て、
初めてのサッカーのお仕事は本当に楽しくて幸せでした。
そして、
ヒロキさんと呼ばれるのも新鮮でした(普段は苗字で呼ばれてるので)
描き続けて本当に良かった!
そしてこの大宮アルディージャ様の案件で
大宮を訪れたことが思わぬきっかけとなり、
後々の展開に大きく関わってくることになるとは
この時は知るよしもなかったのでした。
(vol.7 連鎖編 に続きます)
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