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「米国医学物理学会 タスクグループ 100 レポート 放射線治療の品質マネジメントへのリスク解析法の適用 日本語訳」を読んで ~第2, 3章~

TG-100 日本語訳を読んで」の総目次はこちら ↓

はじめに ~第2, 3章~

第1章に引き続いて「第2, 3章」を読んでみたいと思います。

まずは、引用の記述の仕方を説明いたします。

TG-100 日本語訳からの引用は、

「・・・・・・」
(TG-100 日本語訳)

ChatGPTの要約分の場合は、

・・・・・・

※ 何も書かない

という風に記述しております。

感想 ~2. レポートの担当と範囲~

〇 医学物理士は放射線治療の物理的な精度、有効性、安全性を保証する役割を担っています。
〇 技術の進歩により、放射線治療の複雑さは増大し、その対応にはリソースが不足しています。また、放射線治療事故に対する安全対策の必要性が認識されています。
〇 TG-100は、高度な技術と物理的QAの必要性に対応するために設立されました。
〇 治療方法の急速な発展を踏まえて、TG-100ではQAプログラムの設立とハザード解析の実施に焦点を当てることが決定されました。
〇 TGは産業工学的リスク評価とリスク軽減ツールの中から、プロセスマッピング、故障モード、FMEA、FTAを選択しました。これらの選択理由は、信頼性の高い業界で広く受け入れられているからです。
〇 TGレポートでは、放射線治療の品質管理の従来のアプローチの問題評価、品質改善ツールの説明、放射線治療のQMプログラムの設計方法の説明などを行いました。
〇 効果的なプロセスQMには、放射線腫瘍チームメンバー(医学物理士、医師、セラピスト、看護師、ドシメトリスト、事務担当者など)の積極的な協力が必要です。
〇 本レポートは、放射線腫瘍QMプログラムの設計と実施に関与する人々に広範な考察を与え、臨床業務への適用を容易にする情報と指針を提供することを目的としています。規範や規制を目的とするものではありません。

「過去の放射線治療事故を解析すると,単独のハードウエアあるいは従来のQAで検出可能な治療計画装置の計算エラーよりも,受診から治療終了までの全体的なプロセスにおけるエラーを原因とするものが非常に多かった.」
(TG-100 日本語訳)

プロセスにおけるエラーが多かったということですね。対策は難しいということでしょうか?

「TGレポートでは,まず放射線治療の品質管理への従来のアプローチ(セクション 3)に伴ういくつかの問題を評価し,続いてプロセスマッピング,FMEA,FTAなどの用語および業界で使用されているいくつかの主な品質改善ツールについて簡単な説明を行っている(セクション 4および5).
また,放射線治療におけるQMプログラムの設計方法の説明についても記載している(セクション6).これらの方法と従来法との比較,今後の研究および開発への提言およびまとめの勧告をセクション 7および8に記載した. セクション 9では,一般的な方法の適用例を紹介している.」
(TG-100 日本語訳)

第3章から第9章までの説明ですね。

感想 ~3. 放射線治療の品質マネジメントに対する従来のアプローチに伴う問題~

放射線治療の品質マネジメントの問題
〇 従来のアプローチは、機器ごとの確認に焦点を当てるため、プロセス設計の不適切さやトレーニング不足、機器の脆弱性に対する個別の確認の不適合などが見過ごされる傾向があります。
〇 医学物理的リソースへの過度な要求も問題です。治療法が多様化・複雑化し、技術が集約されると、医学物理士に対する要求が高まり、精神的・身体的負荷が増大します。これが重大なエラーにつながることもあります。
〇 放射線治療の複雑さから、全ての作業手順をカバーするQMプロトコルの開発が難しいです。治療法や治療装置の多様性を一つのプロトコルでカバーするのは困難です。
〇 新技術やプロセスに対する確立されたQMプロトコルの遅れも問題となります。新たな臨床技術が使用可能になるまでには長い時間がかかり、それに追いつくようなプロトコルの確立が難しいのです。
これらの問題を解決するための新しいアプローチが必要であり、それによってエラーの頻度を安全に減らし、不十分な領域を特定できると考えられます。

「放射線治療QMへの従来のアプローチは,患者に使用する機器それぞれについて治療期間を通して関連する許容レベルおよび決まった頻度で確認することを義務付けている.このアプローチの主な欠点は,不適切なプロセス設計に関するエラー,情報フロー,トレーニング不足,文書化,および機器の脆弱性に対する患者個別の確認の適合不備などのエラーをなおざりにして,機器特有のQAに重点を置いていることである.」
(TG-100 日本語訳)

装置固有のQAばっかり重要視して、それ以外のエラーをなくす対策は出来てないじゃん。という風に私は捉えました。

「IMRT治療の詳細は,疾患部位,診療科の経験,使用可能な技術,個々の医師の好みなどによって異なる.」
(TG-100 日本語訳)

個々の医師の好み等・・・わかるなぁ。

「しかし残念ながら,合意の得られた勧告を作成するためには非常に長い時間を要する.そのため,新たな治療技術が臨床において使用可能になった時,必要に迫られる診療にとってはその時間スケールは非常に長い.このような状況に対してTG100が提示する手法は,安全で効率的なプロセスおよびQMプログラムの開発に役に立つと思われる.」
(TG-100 日本語訳)

私は、「これがTG-100のメリットかな」と思っています。

感想まとめ ~第2,3章~

TG-100を元に効果的な品質管理を行うのなら放射線業務に携わる職種のチームで取り組む方が良い点、新しい手法であるTG-100が必要なわけ等を知ることができました。
第4章に続きます。

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Jun 18, 2023

#学問への愛を語ろう #医学物理がすき

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