URL
https://doi.org/10.1002/acm2.13641
読んでみたきっかけ
私の勤めている病院でリニアックの更新が本格的に始まると上司から聞いています。その前に、具体的な最新のガイドラインでコミッショニング要件を考えておかないとやばい、と思ったから読んでみました。
読んだ後の感想
業務に直結した内容だったので「興味があって読む」のとは違い、一語一句(言い過ぎか?)丁寧に読むと結構しんどいなと思いました。
論文の要旨
治療計画システム(TPS)は、外部ビーム放射線療法のキーコンポーネントで、最適な線量分布を提供します。その精度が治療の成功に重要で、システムの適切なモデリングと検証が求められます。これらの実践ガイドラインは、TPSの適切な設定と使用を支援します。
現場でやっている医学物理士の感想
最近のガイダンスで述べられている項目が気になります。
これをどこまで追求するか。やりすぎても時間ばかりかかるし、やらないのもどーかなって思うし。
ここでの1から3の項目は、ガイドラインの著者たちが経験した知恵が入っているんでしょう。
ギリギリで満足するな、上を目指せ、ということですね。
どういう原理で線量計算するのか、それがある程度理解できれば精度の限界も想像がつくでしょう。(たぶん)
スケジュール策定、これをやらないといけないですね。
「放射線治療装置導入に関するコミッショニング必要期間について」(平成 20 年4月 放射線治療品質管理機構)によると合計8 週~12 週。これに、高精度治療+電子線のコミッショニングを合わせると、、、わからないなぁ
時間が与えられればいいんですけど。理解してもらえるように途中経過を報告しつつ、努力するしかないかな。今使っているリニアックよりも大幅な機能を有すから、それのコミッショニングはわからないなぁ。経験豊富なメーカーさんにも聞いてみよう。
なんか日本だと「楽ばっかりすんな!」と怒られるイメージがあるんですけど、合理的に進めることが必要なんですね。
大型イオンチャンバーはどうなんでしょうか?あればいいんですけど、予算がねぇ。
TG106は日本語でも訳されているので、一回は読んだけどまた参考にさせて頂きます。
2×2cm2以下まで測る必要があるのですね。
失敗することも想定して測定を行う必要があるので、常にグラフで確認する癖をつけてないと時間のロスになるかもしれないですね。
メーカーさんの持っているデータ、本レポートで参考文献に挙げられているデータを評価に使いたいですね。
今のところ、「TPSにインポートしたデータをグラフとか複数人で眺める」、とかが考えられるかな。
メーカーさんにお願いしよう。
例えば、「照射野5x5cm^2はあってるけど15×15cm^2はいまいちで、変更できるパラメータは1つのみ。どちらを取りますか?」、的な感じでしょうか?
「ゴールデンデータにマシンを合わせる」というやつですね。どこの施設でも同じ治療ができるのは、合理的で安心すね。技術の向上があるからそれらのことができるんでしょうね。
確か7年前にコミッショニングを行ったときこんな感じの試験を行いました(マニュアルに載ってた)。その時「これ、やってもいいけど意味あるんかな?」と思ったことがあるけど、IROC訪問でエラーがあったんですね。
5.1 から5.3は、メーカーさんにも聞いてみよう。
アレイ検出器(MapCHECKとか)を使おう。
5.4 から5.9は、メーカーさんにも聞いてみよう。IAEA TRS 430も読まないといけないですね。
はい、善処します。
PB ≪ CC < GBBS ≒ MC ということですね。ペンシルビームはもはや不均質補正アルゴリズムに入っていないんですね。
例、(1) 肺野内、(2) 肺野と実質の境界、(3) チタンメッシュ? という感じなのかな。TG-85とIAEA TRS 430を参考にしよう。
以前Noteで記事にしたAAPM Task Group 329ですね。GBBSとMCのアルゴリズムは他のものに比べて正確ということですよね。
Adaptive Radiotherapy(ART)は今はやらないと思いますが、5年後、10年後はやるかもしれないですね。
10年以上前の肺等価板ファントムはあったと思いますが。
不均質物質の線量評価は興味がありますね。今の最新の機種でどの程度の誤差があるか、その原因は考察できるように準備したいと思います。
水等価/(骨等価)/水等価/肺等価+線量計/水等価/、みたいなジオメトリで測定し、TPSの計算値と測定値の差がが3%未満になるかどうか、ですかね。
これは衝撃でしたね。決められた手順を踏む、気を引き締める、ということを肝に銘じてコミッショニングを行いたいと思います。
疲れてくると見たつもりがミスをスルーしてしまうこともあるので、複数人でチェックを行う体制を作らないといけないかなと、今のところは思います。
うちの病院は予算がないから、同じ装置(二次元検出器)になるかもしれない。フィルムは初めの方は使うと思いますが、ある程度軌道に乗ったら、二次元検出器のみになるかもです。
なるほど、コピペしてからエネルギーだけ変更するんですね。
具体的に記述されていますね。助かります。
本ガイドラインの参考文献67(DOI: 10.1002/mp.13892)を参考にさせて頂きます。
そーなんですね。参考になります。
2×2cm2以下まで出力係数を測定+比較、ですね。
”http://www.aapm.org/pubs/MPPG/TPS/”からサンプルデータをゲットできるんですね。うれしいです。
医用原子力技術研究振興財団においてIMRT郵送調査がありますね。是非とも参加したいと思います。
「Recommendations for clinical electron beam dosimetry: Supplement to the recommendations of Task Group 25」 も読まないといけないですね。
モンテカルロは今のシステムにも入っています。”Monte Carlo algorithms are recommended.”なんですね。
今の治療計画装置も、空中で測定したデータをテキストエディタで決められたフォーマットに書き換えてTPSに入れました。
へー、2次元検出器も電子線で測定できるんですね。またメーカーさんに確認してみます。
斜めにするときは工夫が要りそうですね。例えば、16cm角の板ファントムを片方だけ4cmのアクリル棒でかさ上げする。そうすると、sinh (x)=4/16、x=14.5 deg。あってるかな?
なんか夏休みの工作と自由研究を思い出しますね。
今使用しているTPSは、計画レポートに「20YY/MM/DDにアプルーブしたAAAアルゴリズム」と書いてある。その辺のデータの確認ということなんでしょう。
測定は不要なんですね。
ボーラスを忘れるところだった。あぶねー。
はい。承知いたしました。
これも重要ですね。無料でチェックしてもらえればいいんですけど。(そんな人はいないか。)
これからの課題
私の課題としては、新機種導入に向けたコミッショニングの内容精査、必要人員・期間の見積もり、追加の文献・ガイドラインを読む、TG100に従ったリスクマネジメント、といったところでしょうか。
新しい技術があって実機がないうちは想像できないこともあると思いますが、想像力を膨らませながらできることから段取っていきたいと思います。
May 25, 2023
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