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Nintendo Laboから読み解く「意味」の視点

Nintendo Laboが金曜日についに発売。すごい反響です。

Twitterとか見てると早速色々と新しい遊び方開発したりしてて、子供の創造性教育に大きなインパクトを与えそう。
(微妙に研究領域の範疇だったりするのもあって、本当にすごいとしか思えない)

(ねじさんのお子さん本当すごい。。。)


そんなこんなで開発に至った経緯の記事も沢山出てきています。

この記事がむちゃくちゃよくて、全クリエイターを目指す学生は読むべきです。。これこそものづくりの現場って感じで、この記事だけでも生み出していただいた任天堂さんすごいとなってしまいます。

そんな記事を読んだ上で、ちょうど研究している「意味」に関して、いい事例があったので、その視点から読み解いてみようと思います。その視点から読み解いてみようと思います。


面白くない、が生んだ面白さへの気づき

先ほど紹介した記事の2つ目、試作・開発編から

(注意:タイトルが記事のタイトルになっていないです)

ジャイロセンサーとか、モーションIRカメラ、物理フィードバックのあたりのシーズから、どうオリジナリティのある切り口を創って行ったかっていうプロトタイピングのプロセスも唸らされる所ばかりです。

まず試作を作っていく中では、あくまでSwitchの特徴を生かした新たな何かができないかという試行錯誤をずっとしているわけですが、あるタイミングで「これって売れるのか?」という壁にぶち当たってしまいます。

最初からダンボールを使った教育コンテンツを作っていたわけでなく、新しいゲームとのインタラクションとしての関わり方を模索していたわけです。周辺機器として売り出す方向に行ってもおそらくそんなに売れなかったと思います。(ポケットカメラのように、昔からそういうアプローチ自体はされていますね)


そういった経験もあって、「これ売れるのか?」という1つの壁に当たるわけですが、そこで出てきたのが、引用したところにもある「作る感じ」を形にするという切り口です。

「面白そうなものができたのはいいんですけど、「これ・・・本当に売ります?」って話になったんですよね。
ここが『Labo』の開発の大事な局面で、次の段階へ進むきっかけは、僕が覚えている限りだと、2つありました。
1つは、河本さんと「この“作る感じ”含めて、何か商品にできひんかなぁ」という話をしたのと、もう1つは・・・すっごく面白くない試作ができたんですよ。


作る感じ含めて、何か商品にできないかっていうところでいえば、ちょうどSonyのMESHやtoioなどに代表されるように、すでに実例も生まれてきているところでした。レゴも昔からある代表例ですね。


僕が特にいいなと思ったのは、2つめの面白くない試作ができた、というところです。

この「オルゴール」っていうヤツが・・・全然、面白くない。
これ、理髪店のカンバンみたいに、筒に斜めにシールを貼っていて、クルクル回すんです。
理髪店のカンバンって、回転運動が縦に移動しているように変換されるんですけど、カメラでその移動を読みとれば回転速度をBGMの再生速度に変換できる。
仕組み自体は割と面白いなぁと思って、僕らはちょっとテンション上がってたんですけど・・・。

でもこれ、いざお客さんに遊んでもらうことを考えたら、どうなんやろ?」と。
そのときは、(外からは仕組みが見えない)ブラックボックス化されたアタッチメントを用意するイメージだったんですけど、Joy-Conに何か、クルクルしたヤツをつけて、それで音が鳴って・・・。「これ、おもろいんか?」って思ってしまったんですよね(笑)。

前半では、技術の新しい使い方を見つけてテンションが上がっています。これはエンジニアっぽいことしてる人なら、結構な人が経験したことのある感覚ではないでしょうか。

一方後半では、仕組みが見えないブラックボックス化されたアタッチメントを用意して遊んでもらっても、くるくる回って音がなって、、、これは本当に面白い?となってます。

ここで、くるくる回って音がなる部分を楽しい体験にしよう、というようなアイデアを形にするというアプローチもあったと思います。

しかしここで考えたのは、おそらく、なぜ自分たちは面白いと思ったのか、という切り口でした。

「オルゴール」は、「構造が見えていること」と、それを「自分たちが思いついた」っていうところが楽しいのであって、それはこのままではお客さんには届かない部分なんです。だから「こういう風になったらあかんのやな」って、「あかんポイント」がわかったんですよ。
それを踏まえて、どうやって製品化するのか?って考えたときに、「段ボールで、自分で作る」ってことにしたら・・・「弱点を強みにできる」と考えたんです。

材質も、段ボールなら自分で組み立てることができるし、直すこともできる。作り変えることもできるし、自在だなと。なにより仕組みが「わかる」喜びがうまれる。
この考えかたは、Toy-Conガレージの発想のもとにもなっています。

この部分の記事の前のページでも書かれていますが、「仕組みって、楽しい」という自分たちが面白いと感じていた部分の本質を見つけ、それをどうお客さんに届けるか、というのを突き詰めて生まれたのが Nintendo Labo なんだと思います。

こちらの記事が、そういった面白さを非常にわかりやくす解読してくれています。


「意味」はギフトとして届けるもの

ミラノ工科大のベルガンティ教授が昨年来日され、その講演会にも出席していたのですが、

ベルガンティ教授が本などで使われている例えの中に、誰かにプレゼントをするという状況、ギフトについて考える、というものがあります。

恋人や友人、はたまた仕事で移動してしまう人などにプレゼントを渡すシーンは誰しもが経験があると思います。


どうやってその「ギフト」を選ぶか。何が欲しい?と聞いてしまえば、簡単ですが、それだとオリジナリティのあるギフトにはなりません。だからあーでもないこうでもないと考えて、大事な人であればあるほど、ドキドキしながら渡すわけですが、少なくとも自分が欲しいと思わないものを選ぶ人はいないのではないでしょうか?

そうはいっても、自分が欲しいもの=相手も欲しいものだ、というわけではありません。だから悩みます。

でも、自分がいいなと思うものを渡すからこそ、相手にとってはその人からもらった意味が生まれてくるはず。そこにオリジナリティが生まれてくるのだと思います。


Nintendo Laboの事例でいえば、開発する人たちは新しい遊びをプレゼントしたいとずっと考えているはずです。

Switchが持つ技術を使った新しい遊び方を色々と試行錯誤し、どうしたら面白いと思ってもらえるか考えていく中で、自分たちが面白がっていることの根幹にあった、新しい仕組みがわかる喜びに気がつきます。これがNintendo Laboに見出した、ギフトに込めた意味となり、他で任天堂が生み出したからこその意味になっていったんだと思います。

その後の意味を実際に届けるまでの過程の苦悩の話もすごいです。本当にどうにかしてこの面白さを届けたいという風に考えていたんだなと思わされます。


意味のイノベーションではHowではなく、Whyを突き詰めることが重視されています。
Nintendo Laboは、売れるかどうかや、面白いと思ってもらえないのでは?という局面に立った時、どうやったら面白いと思ってもらえるか(How)の観点で考えたのではなく、なぜ自分たちは面白いと感じたのか(Why)を突き詰めて考えたことで、新しい意味が生まれ、それが新たな価値に繋がっていったんだと思います。

自分たちは何を面白いと考えるのか、なぜ面白いと感じるのか。ぜひみなさんのチームでもそうした対話を広げてみてはいかがでしょうか?



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Hirokazu Oda (Dan)
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