人生で最も痛かった注射と怖かった注射
またまた注射の話しになりそうです.わたしはつくづく注射が嫌いなのだと思います.
ある女性のタレントさんが背中の粉瘤(ふんりゅう)を切除されたという記事を見ました.例によって勝手な解釈ですが,粉瘤というのは,ま,いわゆる「おでき」の一種と言えるものでしょう.皮膚の中に袋状のものができていて,その中にいろいろいらないものが溜まったりして皮膚の表面が盛り上がってくるもののようです.誰にでもいろんな部位にできる可能性のあるようですが,おでこや背中などが多いようです.
自分もしばらく背中に粉瘤を持っていたことがあります.女性のタレントさんはブラジャーのひもがそれに当たって痛かったそうです.自分は男性ですし,ブラを着用するような趣味もありませんが,椅子の背もたれに当たると痛くてたまらなくなっていました.
初めは右の肩甲骨の下あたりに小さな膨らみを見つけただけでした.やがてそれが大きく,赤黒くなって,触れると痛くなってきたのでした.結局医師に診てもらい,切り取ってもらったのでした.
やり方はいくつかあるようで,数ミリ程度の小さな穴を開けて中身を押し出し,元凶である袋状のものを引っ張り出すような方式もあるようです.わたしの場合は,一旦その部分をそぎ落とし,1か月ほどでその傷を治し,改めて切り開いて袋を取り出して縫合するというようなものでした.なにしろ見えない部位ですので,医師の説明をもとに想像するしかありません.
説明を聞いただけであまりに痛そうなので泣きそうになりました.麻酔を打つとのことでしたが,「背中の注射は痛いですよ」と言われました.実際に上半身裸で施術台に腹ばいになって麻酔の注射を受けてみますと,これがもう,想像をはるかに超えた激烈な痛さでした.もちろん「痛い!」と口に出せる余裕などはありません.確か「ギギギッ」といった異音を喉から絞り出しつつ,ひたすら施術台を掻きむしっていました.これでは麻酔の意味がないと感じました.
女性のタレントさんも同じ痛みを感じられたのかと思うと,特にファンでもなんでもありませんが少しは親近感も沸こうかというものです.
その後予定どおりに事は進み,時間がかかりましたが傷はきれいになくなりました.
人生で最も怖かった注射は,やはり目の注射です.目に針を刺すなんてタチの悪い恐怖映画の世界です.当初は失神しそうな恐怖でしたが,もうすでに10数回は打たれ…,いや,打っていただいてきました.痛みは,わたしの注射の場合はほとんど何も感じずにすみます.もうすっかり慣れた感じです.
恐怖というと,厳密には注射ではありませんが,幼稚園の時に肩に受けた種痘はとても怖かったのを覚えています.注射よりももっと痛そうな見慣れない刃物が使われていて,未知の恐怖がありました.先に受けた子は肩からダラリと血を流して泣いていたりしているのを見て,わたしは本当にちびって逃げ出しそうでした.後の世代の人たちは,わたしたちのこうした恐怖のおかげもあって,もう種痘を受けずにすんでいるようですね.ま,復活するかもしれませんが.
直近では,麻疹の抗体の有無を調べるべく,血液を抜いていただきました.抜かれる場合も「注射」と言うのですかね.7,000円の対価を支払った換わりに恐怖と痛みをいただきました.これで「抗体なし」と言われたら,次はワクチンの接種が待っています.小学生のころの,ツベルクリン反応の死刑宣告を思い出します.あれで不公平に耐えることを学んだものです.
結果は十分に高い数値で「抗体あり」とのことで胸をなで下ろしました.
いろいろ医療も進歩しているようですが,注射の代わりはだれも発明してくれないのかと思うと悲しくなります.そんなことを医師にに言いますと「昔と比べて針が細くなったからラクなはず」などと言われて終わるのです.
(ひろかべ)
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