ものづくり補助金、政府の意図とは?
目的・目標・手段について書きましたが、政府の意図もこの3つで分けて考えるといいかもしれません。
■目的‥‥日本経済の発展
■目標・・・中小企業の生産性向上・
中小企業は既存顧客に固執する傾向にあるから積極的に新規顧客開拓をするように促す
■手段・・・補助金を出すことにより、生産性の向上や革新性のある取り組みを応援する。
本音と建前も大事
■建前・・・・・・革新性、生産性向上に取り組む日本の中小企業を応援する
■本音・・・・・・倒産の可能性のある赤字の会社には、補助金あげたくないよな。国会で「税金の無駄遣い」って野党からなじられるし、計画倒産して、補助金で買った機械を現金化されたりしたら困る(社長の隠し財産となる)し。
本当の革新性のある事業計画を書くのはNG
私の雑感です。
でも、本当にそう思います。
例えば、回転寿司。
大阪で昭和33年に考案されたのが元祖だそうです。
私が初めて見たのは小学4年生の時。国旗の立ったメロンが回ってきて度肝を抜かれたのを覚えています。
昭和30年当時に
「ベルトコンベアーに載せて寿司を回すことにより、生産性の向上を図る。寿司と一緒にプリンやポテトなど子供受けするものも併せて回すことにより、従来の寿司店の主要顧客である成人男性ではなく、ファミリー層をターゲットとする。そのために1500万円の投資を行う」という事業計画書を書いたとしましょう。
大多数の寿司屋が、おじ様方をターゲットにしていた時代に、子供をターゲットに。(ターゲットの変更)
飲食店の客席にベルトコンベアー。(提供方式の変更)
注文を受けて握っていた寿司を、店主側が判断して勝手に握ってお客は流れている寿司の中から食べたい寿司を選ぶ。(生産方式の変更)
革新性だらけです。地域で唯一どころか世界初の取り組み。でも補助金の採択は難しかったと思います。
儲かるという裏付けがないからです。
また、読む人がイメージできない。
別記事で書いてますが、この記事(↓)の中の、馬車の時代の自動車や、30年前のSNSサービスなどもそうです。
読む人がイメージできないことは書いても伝わらない。
もう一つの例を挙げてみましょう。
私の友人に中国人の女性がいます。
彼女は1977年生まれ。
彼女と飲んでいた時、ヘビの話になりました。
友人「私、ヘビにトラウマがあるの。朝起きたらヘビと目が合ってね。私が動けなくて固まっていたら、にょろにょろ~って窓からでていったの。夏はそういうことが良くあってね」
もう一人の中国人「うちにはヘビ入らなかったな~高台だったからかな?」これ、意味わかりますか?私の頭の中は????でいっぱいでした。
話をよく聞くと
彼女が子供のころは中国全体が貧しかった。布団は高級品だったため、ワラを山盛りにして、その上にシーツをかけることでベッドや布団の代わりにしていた。
夏、クーラーがないから窓は開けっぱなし。
夏、外気温が高いから、ひんやりした場所を求めてヘビが家の中に侵入、ワラに入る。そういうのが珍しくなかった。
2021年の現在では、彼女の実家は発展を遂げ、日本の生活水準よりも上。彼女の両親もこんな感じのタワーマンションに住んでいらっしゃいます。
なので、二人の中国人は「昔はそういうことあったね~若い子たちは知らないよね、そんな時代のこと」というノリで盛り上がっている。
二人が盛り上がれるのは、1980年代の中国で子供時代を過ごした経験があるから。
私がその盛り上がりに参加できなかったのは、1970年代の中国の生活が全く想像できなかったからです。
また、彼女の両親が現在タワマンに住んでいるという情報を先に知っていたため、まさか、たった40年前に、電気も通っていない集落の掘っ立て小屋に住むような生活をしていたとは想像つかなかったのもあります。
まとめるよ~!
読み手が知らないことは、いくら上手に書いても伝わらない。
読み手が何を知っていて、何を知らないか?を意識して事業計画を書くといいと思う。
有識者と言えば、きっと毎日日経新聞読んでるはず!
日経新聞に書いてあることを自社に当てはめて書けばきっと、伝わっているはず。
逆に日経新聞に書いてないことは、一生懸命書いても伝わらない。
補助金をつかって導入予定の工作機械のこととか、自社の強みの技術は、日経新聞に書いてないよね?
これを「有識者に分かりやすく説明する」ことを目指すとドツボにハマるよ。
何となく分かってもらうことを目指そう。この記事(↓)にテクニックを書いてます。興味あれば読んでみてくださいね
余談
回転寿司もfacebookも、元祖創始者が成功した数年後なら、ものづくり補助金の趣旨に沿う事業計画がかけます。
例えば、昭和33年に大阪で回転寿司が大ヒット。昭和35年にものづくり補助金が存在したとして・・・
◆◆◆
2年前の昭和33年に、大阪で回転寿司という新しい試みの寿司店がオープンした。
この提供方式の最大の強みは提供時間が0秒であること。料理の提供が待てない幼児のいるファミリー層を中心に需要が高く、週末はもちろん、平日の夜も8割また、回転率が良い為安く提供しても採算が取れる。
広島県は主要漁港が3つもあるため、新鮮な魚介類を安くまた安定して仕入れることができる。この強みを生かして、広島県内初の提供方式を採用した回転寿司をオープンさせる。
中国地方最大の都市である広島市は、単身者が多いため、本取り組みの主要ターゲットである幼児のいる家庭が少ない。
一方隣接する鯉川市はベッドタウンとして人口が急増している。直近の国税調査では0~10歳の子供の人数はxxxx万人であるため、鯉川市駅前に店舗を準備することとした。
◆◆◆
こんな感じでしょうか?
ビジネスモデル的には、初めてやる会社に強みがあり、二番煎じはなかなか成功しません。
一方、資金調達(融資や補助金)のために事業計画を書く場合は、「すでに試みた結果、成功している」という実績が有効です。
この実績にプラスして「本事業では、新たに○○(上記の例なら広島の漁港)という強みを活かして行うため、(すでに試みた結果)よりも、1.3倍の利益が見込めます」という書き方なら、「定量的に、具体的に計算できているね」ということになります。
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