人事評価者研修の前にコレやっとこうよという話
2020年ごろから人事評価制度ってどう作るの?とかどう運用するといいの?などのご質問をいただいたりしています。
そんな中、ウチの会社、人事制度も人事評価制度も古いまんまだから作り直したいんだよね。お願いできる?みたいな流れで複数の企業で制度構築をやっています。
そーゆー仕事をしていると不思議なもので
ってお話もいただけます。この辺りは半分あってて半分違うと思っています。そこにはいくつかの理由がありますが、作ったことのない人にとっては「制度作ってる」=「ウチの制度も解説できる」…となっちゃうのかもしれません。
で今日の記事は「作ってる側の視点で言わせてもらうとね…」を書いておこうと思った次第です。ちなみに記事の更新が久しぶりすぎて操作方法が自然消滅してました。これもまた学び直しです。
学術的に内容がずれていたりする部分はあるかもですが、イチ現場の声ってことでご容赦ください。
評価者研修をやるとき、大きく分けると2つのトピックがあると思っています。1つがこの人事評価制度のキモは?というもの。もう1つが評価者面談ってどうやったらいいの?…です。
最初のトピックの結論から言うと人事評価制度作った人が1次評価者研修もやるのが1番いい となります。
その理由は制度を作った人が一番、その制度のその背景や狙い、会社をどうしたいか?まで知っているから。
作っていない人間にはその辺りが結構見えないことが多くて、一つ一つの解釈に時間がかかるケースがあります。そういう意味で半分 合っていて半分違ってるということですね。
ただ、外部に作ってもらった…、制度を作った人はもうすでに退職している…などのケースもあるため、その場合はヒアリングや質問を重ねた上で再解釈して研修を作ったりします。
また、解釈の上書きに時間を要するケースがままあります。
それと評価者研修をご依頼される研修企画部門の方が考えがちなのがモチベーション上げよう!…ってやつです。
人事評価制度で社員のモチベーション上げようってちょっとズレてる
いきなりそれかよって思われるかもしれませんが、人事評価制度なんぞで人のモチベーションなんて上がらねーよというのが作っている側の本音です。
一般社員ナメんなよ…と。
せっかくなのでもう少し丁寧に言うと、会社の業績を上げるほどの効果はないと言うことです。
少し専門的な話をすると、評価制度って動機づけ要因ではなくて衛生要因の範囲です。今や。少し古い話ですが、広く知られているお話しです。衛生要因と動機づけ要因の話です。知ってる人はスルーしてください。
なぜか多くの経営者や管理職は評価制度や評価することそのものを動機づけ要因に置きたがります。評価制度そのものを構築したり社内で使えるようにするためにはそれなりに時間やお金がかかりますから、その気持ちはわからないでもないです。
そして、仕事によって評価を得たい、昇級昇格に見合う働きをしたい、遠くない将来に管理職になりたい…という方であればそれに当てはまるだろうし、経営者や今の管理職の皆さんはそうした思いを抱いて組織人を生きてきているから、それがスタンダードです。
問題なのは昇級昇格したいかって言われたらした方がいいですけど頑張りたくありませんとか仕事としてやってるだけなんで評価とかいらないですっていう部下への対応。
このタイプの部下を今の会社の評価の枠組みに入れるのは結構難しいケースが多いと言うのが私の考えです。
でも、管理職の皆さんはそういった部下にも結果を出してもらわないといけない。なぜならば①会社は年齢や在籍期間に応じて給与額が逓増していく給料制度(職能給制)を採用していて、②人材を抱えている以上、部門の業務量か質か両方か…は増えるはずだから。
ホンネを言えば評価者研修の講師として登壇する時、あんまり頑張りたくないんですけどって部下を抱えている組織に向けて研修やるのが最も難しい。期末で評価が確定する直前…とか期末面談の直前…みたいなタイミングだとさらに難しい(苦笑&滝汗)
なぜか?
期末ってことは、もうほぼ全てが修正の施しようがないレベルで終わっていて、もう通知表つける段階です。その頃の1次評価者の頭の中といえば
…みたいなほぼ真っ黒に近いダークグレーな思いで充満してるわけで。そんな状態の管理職に評価業務の中でできることなんてほぼない。
評価面談に至るまでの段階で意欲を引き出せていないのだから評価のしようがない、フィードバックしようにも本人に意欲がない、傾聴しろって言われたって本人から何も出てこないのに傾聴するのはただの苦行じゃないか…などなど。
結果、面談時間のほぼ全てが管理職の言葉で埋め尽くされ、本人は「はぁ…。そうですね。わかりました。頑張ります」などと芯を外したコメントだけを残して会議室を後にし、残された管理職には徒労感だけが残る…。
現場にはさまざまな実態が埋もれています。
だからこそ、そこそこやってくれている部下、チームの中でいい成果を上げている部下の意欲を削がないためにも彼らの評価は適正にしてやりたい。
一方で、全然パフォーマンスの低い部下はD評定にしたい…けれど、採用難の中いなくなられるのも困る…仕方がないからB-くらいにしておかないと…なんて2次評価者の部長から言われるとそこは逆らえない…。
よくある評価尺度の場合、B-評定くらいだと給料や賞与に影響しないケースがほとんど。そこで仕方なくB-評定をつける。
事業年度が変わり賃金も改訂されると成果出してくれた部下の不満が溜まります。
あんなに仕事しない奴と自分らが同じってどーゆーことですか?(怒)
って。
パフォーマンス低い部下さんは初期設定が全て
パフォーマンス低い部下さんは期首面談が勝負。ここでふんわりやんわりした面談をしたり、配慮<<<遠慮の面談を実施すると、管理職は1年間手足を縛られた状態になります。
本人による前期の振り返りはもちろん、管理職による配慮はあるけど遠慮のないフィードバックは必須です。
※この辺りを書き始めるとまた長いのでまた別の機会に。
人のマネジメントを身につけてみる
多くの管理職さんは仕事の実績が評価され、晴れて管理職に就いていると仮定します。
そうした皆さんはマネジメントといえばOKRとかKPIとか顧客管理とか予実管理、売掛回収などのワークマネジメント系を思い浮かべると思います。ですが、それやるのは人間なので本来は人のマネジメント(ピープルマネジメントと言ったりします)を優先させた方がいいです。
とりわけ、人材獲得に困難を抱える中小企業、零細企業、地方企業や低パフォーマンス部下を抱える管理職ほどピープルマネジメントの優先度と重要度が高くなります。
具体的にピープルマネジメントとは何か?といえば多岐に渡るのですが簡単なものだけでも
人材育成(教え方を体系的に整える)
つまりは1人前へのロードマップとフォローマップ作り
育成手法の策定と育成者を育成する
各従業員層(管理職、非管理職双方)との質の高いコミュニケーションを図って各自の働く動機や価値観を把握しておく
…などがあります。1次評価者研修をご依頼くださる企業の多くでこの部分が大きく手抜きされているっていうのが実情です。まぁ、確かにメンドくさい部分なので「いいからやれ」的な指示になる気持ちはわかるんですけどね。
でもそれだと組織がうまく回らないのが今なんですよね。
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