第4次メディア革命の展望 混沌と無秩序がもたらすもの

 メディア・コミュニケーション発達史では、3つの重要な出来事を「革命」と位置づける。ひとつは、15世紀半ば、活版印刷の実用化、普及による階級社会の転換、資本主義経済の萌芽である。書物の大量複製、流通が実現、中下層階級の啓蒙とともに、経済構造変革へと結びついた。これが「第1次メディア革命」「印刷革命」である。
 次に、19世紀半ば、電信技術を応用した、情報伝達における輸送と通信の分離、その発展形、ラジオの普及によって生じた、通信と放送の分離である。無線電気通信技術の実用化によって、情報は、紙に印刷するなどの有形化を経て人力で運び届ける時代から、無形の電気信号のまま、同時かつ一斉に伝送される時代へと変わった。これが「第2次メディア革命」「電気通信(電信)革命」である。
 そして、20世紀末、インターネットの加速度的普及によって 、活字(輸送)メディアと放送(通信)メディアの垣根、パーソナル、マスに分けられていたコミュニケーション形態の垣根が事実上取り払われた激変である。印刷、電気通信革命は、情報受容者の多様化を促したが、インターネットは情報発信者の多様化を実現、「いつでもどこでも誰でも」情報を発信、伝達できる社会が到来した。これが「第3次メディア革命」「(インター)ネット革命」である。
 それでは、次の第4次メディア革命は、いつどのようにして起こり、さらなる社会構造の転換を促すのか。筆者は、第4次革命が既に始まったと考えている。それは、前3次の革命と異なり、必ずしも社会の成熟化につながるとは限らない。むしろ、混沌と無秩序が深刻化していく可能性が高い。
 混沌と無秩序の革命は、多様化したはずの情報、言論空間を、逆に狭小、偏向へと向かわせる。そして、メディア事業体を淘汰し、一極集中を加速させていく。すなわち、「自由平等で開かれた言論空間」公共圏は形骸化、あるいは未成立のまま終焉する。

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