夏季オリンピック東京2020大会とは何だったのか?~東北大学全学教育講義ノートから1~

夏季オリンピック東京2020大会開催から1年が経つ。COVID-19禍の中、1年延期の上、大半の会場を無観客とし、強行開催に踏み切った「異例の大会」である。「異例の大会」は、オリンピックの「異常、異型」を顕在化した。民主主義システムから外れた、特権階級ともいうべき、役員、選手による商業イベントであることを、(今更ながら)私たちは思い知らされた。
2022年6月、大会組織委員会は「公式報告書(OFFICIAL REPORT)」を公表。大会の特色として、「コロナ禍での開催となったが、世界中のアスリートが一堂に会し、競い合うことで、オリンピック・パラリンピック競技大会の持つ平和、多様性、持続可能性、参画といった重要なメッセージを世界に届けることができた」(p14)と自画自賛している。
極言すれば、同報告書は全編自画自賛に溢れているが、同意しかねる向きもあろう。私もその一人だ。いったい、東京2020大会とは何だったのか?疑問を拭うことができないまま、1年が経過した。
それでも、大会閉幕直後から、自分なりの検証を試みてきた。そして、非常勤講師を務めていた、宮城県仙台市の国立大学法人東北大学の全学教育「法・政治と社会~メディア・スポーツ・政治」で、2回にわたり(2022年1月17日、24日。履修者112名)、大会検証をテーマに講義を行った。その講義ノートを、1部と2部に分け、公開する。

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