147.ここに来た意味は、あった。
(時折急勾配。平坦ではない道はまだ続く)
修了試験を開催した日の夜、参加した子のお母さんから、所属長へ電話がありました。
曰く、英語力が伸びて自信になったことはもちろんのこと、「あの子が変わったことが何よりも嬉しい」とのこと。
詳しく聞くと、複雑な事情がありました。
彼女は養子で、産みの親は物心つかないうちに難民として欧州に渡り、彼女は取り残されてしまったそうです。
縁あって今の両親が引き取ることになったものの、周囲には馴染めず、肌の色が少し違うことから心ない扱いを受けることも。
そのため、学校でも仲の良い子が居らず、いつも同じ境遇のお兄さんと一緒に居ました。
そんな彼女は、私のクラブに参加したことがきっかけで、既に常連だった子と知り合い、仲良くなっていきました。
そして、学校にも楽しく通えるようになったとのこと。
それを聞いて、私も自分のことのように嬉しくなりました。
彼女の変化には、彼女を温かく迎え入れた友達の人柄や、彼女自身の行動によるものが大きく、私がしたことは微々たるものです。
要因があるとすれば、毎日のように活動する「居場所」を作ったこと、会話を重視した活動で参加者同士で会話が生まれたこと、見た目から違う外国人だったこと、などでしょうか。
一言で言えば、きっかけに過ぎません。
それでも、私の活動で一人の子が変わることができた。
それだけで、私はここに来た意味があったな、と思える話でした。