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秋の暮

写真と俳句 その二十八


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この道や 行く人なしに 秋の暮 芭蕉
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笈の小文


「笈の小文」 序文
風羅坊/芭蕉


人文学オープンデータ共同利用センター
日本古典籍画像より
http://codh.rois.ac.jp/


笈の小文
           風羅坊芭蕉
百骸九竅の中に物有、かりに名付て風羅坊といふ。誠にうすものゝのかぜに破れやすからん事をいふにやあらむ。かれ狂句を好こと久し。 終に生涯のはかりごとゝなす。ある時は倦で放擲せん事をおもひ、ある時はすゝむで人にかたむ事をほこり、是非胸中にたゝかふて、是が為に身安からず。しばらく身を立むことをねがへども、これが為にさへられ、暫ク學で愚を曉ン事をおもへども、是が為に破られ、つひに無能無藝にして只此一筋に繫る。西行の和歌における、宋祇の連歌における、雪舟の繪における、利休の茶における、其貫道する物は一なり。しかも風雅におけるもの、造化にしたがひて四時を友とす。見る處花にあらずといふ事なし。おもふ所月にあらずといふ事なし。像花にあらざる時は夷狄にひとし。心花にあらざる時は鳥獣に類ス。夷狄を出、鳥獣を離れて、造化にしたがひ、造化にかへれとなり。

笈の小文
序文
風羅坊/芭蕉

おいのこぶみ
           風羅坊芭蕉
荘子が言うように身体は「百骸九竅六臓」であり、その身体の中に心がある。仮に名付けて風羅坊という。実際に薄い羅の衣のように、風に破れやすいことを言っているのであろうか。男は狂句を自由闊達に好むことに久しい。遂に、生涯において、俳諧に取り組むこととなった。ある時は飽きて俳諧などやめてしまおうと思い、ある時は人気がでて人より勝っているように思い誇ってみたが、心中は思い煩って悩み、そのため休まらない。時には立身出世も願ったが俳諧のために妨げられ、しばらく学んで愚を悟ろうとも思ったが俳諧に固執して自己を悟ることもできず、遂には他には無能無芸にして、ただこの俳諧にだけ、一筋に繋がる。西行の和歌、宗祇の連歌、雪舟の絵、利休の茶における、その貫く道の心は一つである。しかも風雅なもの、万物を創造する神や自然に従って、四季を友とする。見るものは美しくないということはないのである。想ってみれば月ではないということはないのである。森羅万象に美を見出さないのであれば、それは無知蒙昧な人々のようだ。心を美しく保たなければ畜生に等しい。無知蒙昧な人々から脱却し、畜生から離れて、神や自然に従い、神や自然に帰るのだ。

筆者訳


月山
2017年9月2日 撮影


湯殿山
2017年9月3日 撮影


月山にて
2017年9月2日 撮影



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言葉なき 親に添ひて 秋の暮 広在
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