伊邪那岐の遺書12
その帰り道に、クマのぬいぐるみを買ってもらいました。
かわいらしい、とぼけた表情をしたそのクマに、わたしは日子(ひるこ)という名前をつけました。生まれ来るはずだった子供が女の子だったら、つけたいと思っていた名前でした。
それこそ本当の子供のように愛情をもって、ぬいぐるみの日子に接しました。
あなたはうす気味悪く思っていたかもしれませんが、熱心に語りかけていると不思議なもので、ぬいぐるみと本当に話ができるようになるんですよ。布団の中で、子守唄を歌って頭を撫でてあげると、お母さん、お母さんと言って甘えてきたりするんです。
いま思えば、夢かまぼろしだったのかもしれません。
しかし、わたしには、この世に生まれるはずだった日子の魂が本当に宿ったかのようで、うれしくて、気がつくと、朝まで子守唄を歌っていたこともありました。
伊邪那岐の遺書13
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