『余命10年』週刊たろじい通信第24号
はじめに
今日紹介するのは『余命10年』(小坂流加)です。最初にタイトルを見たとき、「なんだ、私と同じじゃない」と思いました。
以前にも書きましたが、統合失調症患者の平均寿命は健康な人と比べて10~20%短い。男性の平均寿命を80歳とすれば70~64歳で亡くなることになります。
私は今61歳。ほらね、長くても10年でしょう。主人公は20歳代女性。難病で余命10年といわれます。
そしてコスプレやらアニメの話が出てきますが、この時点では、それらに興味のない私はちっとも惹かれませんでした。Kindle Unlimitedで0円です。
今週の読書
私は「明日死ぬかもしれない」という死生観にたっています。ただ、ふだん生活していく中で、リアルに死を意識したことはありません。そして毎朝生きていることに感謝します。
本書の主人公も「死ぬのが怖い」「怖くない」と揺れ動きます。そしてラブストーリー。
あなたは人を愛したことがありますか。私の最大の恋愛相手は、今の妻です。若さゆえ、といってしまえばそれまでですが、後にも先にも、あんなに人を愛したことはありませんでした。
本書に話を戻します。読み進めてラブストーリーのところまでくると、読む前に皮肉な気持ちになったことはすっかり忘れたのです。話にぐいぐいとひきこまれ、時折、涙をこらえるのに苦労しました。
「泣ける小説を読みたい」と思った方には、この本をおすすめします。最後は本当に涙があふれました。泣くことはカタルシス(浄化)につながります。
おわりに
私はこの本を1日で読み終えました。1日で10年分の話を読んだことになります。
著者は、この本の編集が終わったあと病状が悪化したとのことです。そしてWikipediaで「小坂流加」と「余命10年」を確認したら以下のような趣旨が書いてあったのです。
「文庫化が完成するのを待つことなく、原発性肺高血圧症で2017年2月に38歳という若さで亡くなりました」
神様はなんとむごいことをするのでしょう。この記事を読んでいる方、お互いに今日一日生きられることに感謝しましょう。
私は泌尿器科系の病気が悪化し、継続通院を余儀なくされました。
しかしそれも「死」に比べれば軽いことです。
こんなときにいつものセリフで終えるのもどうかと思いますので、やめておきます。