「北京遭遇近四十年来最大降雨」 【世界旅行記007】
2012年7月21日(土) 中国 北京
天気予報が雨だったので、万里の長城へ行く計画を中止して、天安門と故宮を見学することにした。宿を出るときはまだ降っていなかったので、安心していた。それがこのあと、まさか想像を絶する豪雨になろうとは……。
昼から降りはじめた雨は、最初は小ぶりだったが、時間とともに勢いを増す一方だった。あれよあれよという間に大粒の雨になり、故宮見学の後半には全身びしょ濡れになってしまった。土曜ということもあって観光客でごった返していた故宮は、あらゆる庇の下に大勢の人たちが身を寄せ合う始末。雨宿りしようにも、寸分の隙も残っていない。これには参ってしまった。雨宿りをあきらめ、一刻もはやく故宮を出ることにする。洪水さながらの道路を駆けぬけ、なんとかバスに飛び乗り、地下鉄の駅までたどりついたときには、もう放心状態。とにかく宿に戻ることしか考えられなかった。
あとでニュースでわかったことだが、今日はこの40年でいちばんの大雨だったらしい。宿周辺の道路も洪水状態、半地下にある部屋も廊下まで浸水していた。スタッフがドアの隙間をタオルでせき止めておいてくれたおかげで、部屋のなかまでは浸水しなかったが、あわや荷物が全部水浸しになるところだった。
それにしても……。雨よりなにより言いたいことがある。中国に「効率化」という言葉は存在するのだろうか。天安門へ登るには、チケットを購入し、荷物を預け、入場券を見せ、セキュリティチェックを受ける、という4つのステップが必要だった(結果的に判明したことであって最初はわからなかったが)。ところが、これらはすべて別個の窓口になっており、どれもが大行列になっている。荷物については受け取るプロセスも必要だが、預ける窓口と受け取る窓口は同じなので、よけい混雑する。しかも、たとえ最後は1列でも、途中までは3列にも4列にも勝手に連なるのが中国人の並び方。見るからに改善の余地はあるが、彼らはおおらかなのか、苛立つそぶりをほとんど見せない。不思議だ。
(追記)豪雨のニュースは、翌朝には「61年ぶり」に更新され、死者10名以上の大災害だったことが判明した。
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