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はじめての南米大陸 パタゴニア編 〜旅のまとめ〜 【世界旅行記108】
2013年2月20日(水)
マレーシアでヴィパッサナー瞑想を終え、その足で空港へ向かった。翌日、オーストラリアで妻と再会し、その日のうちに、ふたたび飛行機に飛び乗った。こうしてわたしは、いつになく慌ただしく、はじめての大陸へと足を踏み入れた。
その時点で、南米についての知識は、ほとんど持ち合わせていなかった。「なんとなく危なそう」という、漠然とした負のイメージが強かった。
ヴィパッサナー瞑想で一緒だったブラジル人に、「南米をどのくらいでまわる予定なのか?」と訊かれ、適当に「1か月くらいかな」と答えたら、「とんでもない! 最低でも2、3か月は必要だよ!」と諭された。追い打ちをかけるように、南米では、ほとんどスペイン語しか通じないことを告げられ、とりあえず「水はアグア(Agua)」と言うのだと教えられた。
南米の旅の前半は、ブエノスアイレスから出発し、パタゴニア地方をめぐった。旅のプランニングも、現地の人とのやり取りも、スペイン語のできる妻にまかせきりだった。わたしは心をアジアに残して引きずったまま、なかなか南米の空気に慣れずにいた。ヴィパッサナー瞑想の影響が、ことのほか大きかったこともある。この旅はじまって以来の物価の高さに、気がめいってしまっていたこともある。
しかし、それ以上に大きかったのは、「なんだ、南米はヨーロッパもどきじゃないか」という発見であった。アルゼンチンもチリも、スペイン人が乗っ取ってつくった国であり、すくなくとも大都市はどこでも、人、文化、街並み、どれを取ってもヨーロッパと見まごうものだった。それで、どうやらわたしの心は醒めてしまったようだった。
それでも、パタゴニアの大自然は、どれを取ってもスケールが大きく、見ごたえのあるものだった。ただ、バスに乗って移動しているあいだは、延々と乾いた荒野がつづく。最初からパタゴニアの大自然に憧れて来たなら、この荒涼とした「なにもない」風景も、また違った印象を持って見えたかもしれない。「南米は暑い」という勝手なイメージとは裏腹に、南へ進むほど寒くなるこの厳しい大地の上で、わたしは、この「なにもない」風景に何を見いだせばいいのか、わからなくなっていた。まるで、わたしの心まで乾いてしまったかのようだった。
2013年1月20日(日)〜21日(月) マレーシア クアラルンプール → オーストラリア シドニー(エアアジア)
2013年1月21日(月) シドニー → アルゼンチン ブエノスアイレス(アルゼンチン航空)
夏を追いかけて 【世界旅行記100】
2013年1月28日(月)〜29日(火) ブエノスアイレス → プエルト・マドリン(夜行バス)
パタゴニアの大自然(1) プエルト・マドリンからバルデス半島へ 【世界旅行記101】
2013年1月31日(木)〜2月1日(金) プエルト・マドリン → エル・カラファテ(夜行バス)
パタゴニアの大自然(2) エル・カラファテから巨大な氷河へ 【世界旅行記102】
2013年2月5日(火)〜6日(水) エル・カラファテ → バリローチェ(夜行バス)
パタゴニアの大自然(3) バリローチェの湖に思う 【世界旅行記103】
キッチン争奪戦 【世界旅行記104】
2013年2月9日(土) バリローチェ → チリ プエルト・モン(バス)
アルゼンチンあれこれ 【世界旅行記105】
これを名物料理と呼ぶのはいかがなものか 【世界旅行記106】
2013年2月11日(月)〜12日(火) プエルト・モン → サンティアゴ(夜行バス)
サンティアゴに雨は降らない 【世界旅行記107】
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Travelife Log 2012-2013
世界一周の旅に出てから12年。十二支ひとまわりの節目を迎えた今年、当時の冒険や感動をみなさんに共有したいという思いから、過去のブログを再発信することにしました。12年前の今日、わたしはどんな場所にいて、何を感じていたのか? リアルタイムで今日のつぶやきを記しながら、タイムレスな旅の一コマをお届けします。