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上海・豫園〜ボッタクリのその後 【世界旅行記011】

2012年7月25日(水) 中国 上海

上海は、華やかなバンドのあるエリアもよいが、宿のあった老西門付近の下町風情の残る裏町が特によかった。夜など一見暗くて怖そうに感じるが、住宅が多くて暗いだけ。そこに住む人々が利用する屋台やお店が軒を連ねている。人が息づいているのがよくわかり、見て回るだけで楽しい。

今日は豫園を観光するため、昨日ボッタクリに遭った豫園駅へもう一度向かった。するとあろうことか、昨日の男女が同じところに立っている。まさかと思ったら、わたしの姿を見つけた女性が逃げようとするのが見えた。わたしは追いかけた。追いかけて問い詰めた。「昨日わたしのこと騙したでしょう? インターネットでぜんぶ調べましたよ。お金を返してください」。日本語で穏やかにまくしたてたところ、女性はおどおどしている。男性は「English, please.」を繰り返すだけ。昨日、簡単な日本語は理解していたから、わかっているに決まっている。無視して日本語で文句を続けた。「インターネットにぜんぶ情報をばらまきますからね」と言い捨てて、その場を離れた。お金は返ってこないが、スッキリした。これでしばらくは被害者も減るだろう。

もともとは個人の庭園だったという「豫園(よえん)」。
その周辺は常に観光客でごった返している。

豫園を見たあと、ふと、昨日連れて行かれた店を写真に収めておこうと、店の前まで行ってみた。すると欧米人の若者2人がちょうど店から出てくるところだった。同じように男女2人に連れられて、全員が同じお土産を持っている。彼らもやられてしまったのだ。しかもいちばん高いやつだ。そう思いながら、店の写真をカメラに収めていると、なかから女性がわたしを覗いているのが見えた。わたしは店を離れ、欧米人たちのあとを歩いた。すると男性の携帯電話が鳴り、わたしの方をしょっちゅう振り返る。いけない、店の女性が電話して、「うしろから付けられているから注意しろ」とでも言ったのだろう。これ以上かかわると危ない目に遭う。わたしは彼らに気づかれないように駅へと逃げた。

これが犯行現場の豫園駅。上海へ行かれる方はご注意を。
(まんまとひっかかるのは、わたしくらいかもしれない)

2024年7月25日(木)のつぶやき
今でもインターネットで「豫園 詐欺」と検索すると、わたしと同様にお茶詐欺に遭った旅日記がわんさか出てくるので、「これでしばらくは被害者も減るだろう」というわたしの目論見は、まったくの見当違いだったことがわかる。当時のわたしは、探偵気分でなにをイキがっていたのだろう。海外では危なすぎる行動だ。

昨夜の会食は「これからの時代のコミュニティとは? サードプレイスとは?」というテーマで、クライアントと大いに盛り上がった。盛り上がりすぎて、徹夜明けであることをすっかり忘れていた。深夜に帰宅後、一気に電池が切れた。まるで躁鬱病患者のようだ。原稿締切地獄は、今日もまだ続いている。

最近考えていること。「ウェルビーイング」の次に訪れる概念は、なんだろうか。働く、暮らす、遊ぶ、くつろぐ、学ぶ……そういったライフスタイルの枠組みを定義する考え方が一巡して、いよいよ企業も「生き方」を本気で問う時代になると思う。快・不快や心地よさといった「個人の感情」が、いずれ企業が価値を図るモノサシになるかもしれない。昨夜のディスカッションでは、「個の充足と集団の充足をいかに両立させるかが、これからのビジネスの肝になるだろう」という仮説が立った。うーん、難しい。

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Travelife Log 2012-2013
世界一周の旅に出てから12年。十二支ひとまわりの節目を迎えた今年、当時の冒険や感動をみなさんに共有したいという思いから、過去のブログを再発信することにしました。12年前の今日、わたしはどんな場所にいて、何を感じていたのか? リアルタイムで今日のつぶやきを記しながら、タイムレスな旅の一コマをお届けします。


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