城壁の町、ジャイプルとウダイプルにて 【世界旅行記062】
2012年10月30日(火) リシケシュ → ハリドワール(リクシャー)
2012年10月31日(水) ハリドワール → ニューデリー(列車 Ndls Janshatabd)
2012年11月3日(土) ニューデリー → ジャイプル(列車 Shatabdi Exp)
2012年11月5日(月) ジャイプル → ウダイプル(列車 Jp-Udz Exp)
2012年11月6日(火) ウダイプル
騒々しいニューデリーを抜け、砂漠のあるラジャスターン州にやってきた。ここでは、城壁の町、ジャイプルとウダイプルに2泊ずつ滞在する(「プル」は城壁に囲まれた町を意味する)。リシケシュでもニューデリーでも、ほとんど観光はしていなかったので、ひさしぶりに観光目的の旅となった。
同じ城壁の町といっても、ジャイプルとウダイプルではスケールが違う。州都であるジャイプルは、10キロ以上に及ぶ城壁に囲まれており、その内側が旧市街として栄えている。一方、ウダイプルの城壁は、その半分以下、しかもピチョラ湖という人工湖に面して造られている。だから、両者の景観はだいぶ異なる。わたしは水のある町が好きなので、ウダイプルの方が気に入った。ちなみに、ウダイプルでは日本人観光客をひとりも見かけなかった。その美しい町並みを目当てに訪れる欧米人が多く、観光客の半分はフランス人だという。
ジャイプルでは、マハラジャの宮殿であるシティ・パレスを見学した。現在もマハラジャが住んでいるらしい。そこには、いままで見てきたインドとはまったく違う世界が広がっていた。豪奢をきわめたマハラジャの生活は、どちらかと言えば貧しい人々、貧しいエリアを多く見てきた身からすると、「ふーん、そう」という感じでしか受け止められなかった。
それに、マハラジャのような格好をしたスタッフが一緒に写真を撮ってくれるというので、それに乗じたら、撮り終わったあとに耳もとで「チップ、チップ」と恫喝するようにささやいてきて、すっかり興ざめした。高い入場料を払っているのだから、せめてそのなかでは大人しくしていてほしい。そう思うのは、チップに慣れていない日本人の発想だろうか。
ジャイプルでいちばん楽しみにしていたのは、「風の宮殿」を意味するハワ・マハルの建物だった。こちらも、たしかに建物自体はすばらしく、一見の価値はあった。ところが、建物の周辺は汚いインドの町そのもので、ハワ・マハルの写真を見て想起される町並みとは程遠く、残念な思いがした。概して観光地というのは、写真で見るときれいでも、実際に見てみると周囲の環境がイメージと違ってガッカリすることが多い。ここは、その典型のような場所だった。「勝手にきれいな町並みを想像していた方が間違っている」と言われれば、それまでなのだが……。
このジャイプルで、わたしは体調を崩してしまった。インドへ来て以来、2回目のノックアウトである。おそらく前回と同じく食あたりだと思う。食べ物がすっかり胃で止まり、消化されなくなってしまう。おかしいなと思っていると、そのまま発熱してダウン。1回こうなると、なかなかもとに戻らず、何を食べても調子を崩してしまう。結局、胃の調子が完全復活するまでに、4、5日を要した。原因はおそらく、屋台のような店で食べた料理の油ではないかと思う。あるいは、おいしくて2杯も飲んだラッシーが原因かもしれない。それに、ニューデリーにいるあいだに汚い空気のせいで喉をやられ、そもそも体調が万全でなかったことも影響しているかもしれない。今度は、妻には何の影響もなかった。
今回、ジャイプルとウダイプルでは、すこし高めのホテルに泊まってみた。宮殿風の古い建物を改装したホテルが多く、そういうところに泊まってみたかったのだ。特にウダイプルでいま泊まっているホテルは、ピチョラ湖に面しており、部屋から湖を眺めながら過ごせるという絶好のロケーション。インドの物価から考えれば相当高い宿代だが、日本円で換算すれば充分おトクと考えて、大いに満足した。1泊4,000ルピー(約6,000円)で、ハネムーンのような贅沢を味わった。インドでは往々にして、このように都合のよいときだけ日本基準でモノの値段を考えてしまう。
ちなみに、ピチョラ湖の上に浮かぶ超高級ホテル、レイク・パレスに泊まろうとすると、1泊5万円はする。さすがにこれは日本円でも高く、わたしたちの金銭感覚では、とても手が出ない。
せっかくこんなベストロケーションのホテルにいながら、体調が万全でないことが悔やまれてならない。もしかしたら、快適な環境にホッと安心し、気が緩んで体調を崩してしまったのかもしれない。実は、このまえ体調を崩したのも、ニューデリーで1泊だけ高いホテルに泊まったときだったのだ。高級ホテルには、なかなかいい思い出ができない。
← 前の旅日記:People in YOGA NIKETAN
→ 次の旅日記:旅の記録帳