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瀧原隧道のこと

 有田郡広川町下津木に新旧二つのトンネルが並んでいるところがある。今は「ほたるの湯」を訪れる客がひんぱんに行き来しているが、その古いほうのトンネルが開通したのは昭和3年(1928)のことだった。

左が旧トンネルで金網が張られている


 トンネルは、わずか100メートルほどの距離だが、開通するまでは、寺杣地区から奥の滝原、岩渕地区との往来は、谷口入り口から、地奥谷に入り込み、途中からつづら折りの急坂を上って、峠の道を進んで、滝原に下るという難儀の多い道しかなかった。

赤い線がトンネル開通までの通行路

 そこで、岩渕森林組合と滝原地区で工事費を分担してトンネルを掘ることになったが、巨額の工事費に住民は苦しんだ。その折に、この地出身で大阪に出て事業で成功していた谷口又吉氏が、三千円の大金を拠出して完成し、住民の交通の苦労は激減した。

 昭和3年9月に滝原区により頌徳碑が建立され、平成22年(2010)3月には顔写真入りの説明看板が設置されている。

左の石碑が昭和3年のもの

 さて、ここに平成26年(2014)に撮影された木製の地図がある。よく見ると、耐久大学郷土研究部によって作成されたものだ。この苦難の道を残そうと学長が先導して作られたようだ。 

あるブロガーが2014年に撮影したもの

 上記の写真をもとにイラストに書き起こしたのがこちら。

 私がこれを見つけたのが2021年2月のことで、すでに朽ちかけていて、2024年には残念ながら消失してしまっている。

2021年の発見当時

まがさん






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