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モルトケ元帥の話

社長になってみて気付いた事の一つにリーダーの任命基準があります。出来る限り判断を間違わない組織を造るには、これは人事の仕事ですが、自分自身の事も含めてリーダーの選び方には気を配らねばなりません。またリーダーになった人は自分の感情や意欲をコントロールすべきだと自覚すれば間違いを減らす事が出来ると思います。

自分自身の野望、すなわち自分一代の立身出世を第一目標に掲げる事で直属の上司だけに忖度し、部下や取引先の事など全く意に介さない典型的な大企業病に罹った中間管理職の生き方になります。結果として組織の仕事全体が内向きになり組織の活力を低下させてしまいます。

自分に忖度してくれる部下をかわいいと思い、昇進させて重要なポストに付ける事が一般的になるとこれが大企業病蔓延に繋がります。プーチンさんはこれに罹ったのではないかと思います。

戦闘する組織の中でリーダーを決める時に特に気を付けるべきは能力と意欲の関係です。これは戦争という特殊な環境の時だけでなく、会社や役所で業務上のリーダーを決める上でも当てはまる事です。

モルトケ元帥の話

19世紀後半鉄血宰相ビスマルクの下で参謀総長を30年間務めたモルトケという元帥がいました。このモルトケ元帥、ドイツ帝国が成立した後で引退するに際して、これからの参謀人事はどうあるべきかの基準を能力と意欲という二つの視点から書き残したと言われています。

それによれば一番の要職に付けるべきは『能力が高くて意欲のない人間』だといいました。その次は『能力も意欲もない人間』こう言う人なら無理をせずに次席の人に任せるから害になりません。三番目は『能力も意欲もある人間』こういう人は時として意欲が能力を上回り、何事かにこだわる危険があります。

そして、絶対に要職に就けてはならないのが『能力が無くて、意欲のある人間』と言いました。

次にリーダーが有効な作戦を立てるには現場の状況を熟知する必要があります。現場にいないと言葉や報告書だけに頼っていては表現しきれていない事象は多くあります。これではいいアイデアは出てきません。

現場から生の情報を得ましょう

司令官たるもの前線で指揮を取れ

エルウィン・ロンメルは砂漠の狐と呼ばれたドイツの軍人です。第二次世界大戦において様々な奇策で敵軍を翻弄し、イギリスのチャーチル首相をして『きわめて勇敢な、きわめて巧みな敵将』と言わしめました。

ロンメル率いるドイツ機甲軍が戦車部隊の通過が困難とされていたアルデンヌの森林地帯を敢えて奇襲し、第一次大戦で5年かけても倒せなかったフランスを倒したのは、語り草となっていました。

また1941年、イタリア軍救援の為に派遣された北アフリカ戦線では神出鬼没の機動戦によって兵力を大きく上回るイギリス軍相手に大勝を果たしました。誰よりもヒトラーから寵愛を受けながら最後までナチス党員にならなかった名将の誇り高き言葉です。

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