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効果的な英語会話の練習について

大学1年生の終わりごろ、子供の頃からの夢であったパイロットになる事に挑戦しようと決心しました。その為には試験科目のひとつである英語会話が出来るようになる必要がありました。当時それは自分にとって苦手科目でしたので、アルバイトで貯めたお金で英会話学校に入校しました。

そこでは教室で週に3回外人講師が教科書を元に様々な状況に対応する時の会話を暗記して、発音を直してもらうのが主な授業内容でした。日本語にない発音をするのが苦手で何回も言い直しました。特にWとRの発音が苦手でいくら練習してもコツがつかめず、段々嫌になってきました。3か月が過ぎたころ進級試験があってやはり落第でした。

これは習い方が悪いのではないかと思い、別の学校の初級クラスに入校しました。そこでもやっている事は同じで、子供でもホームレスの人でもその国にいる人は普通にできる会話が、すでに6年間英語を勉強してきた大学生の自分ができないのは不思議だと思いました。

これは会話を練習する時の環境のせいかも知れないと思い、会話学校に行きながら外人観光客が大勢いる観光寺院に行って、手あたり次第に話しかけました。当時オートバイで通学していたので、大学の授業の空き時間に学校から近い龍安寺や金閣寺に何回も行きました。特に龍安寺は一度入場料を払って一周回ってくるとまた入口を入った所に戻るので、資金効率が大変よかった。

別の人と同じところを何回も回るのでその場所によって案内する内容のトレーニングを視覚に同期して行う事ができ、そのうち苦手な発音も自然に直っていったみたいです。この方法はやっていて楽しく約半年続けると耳の訓練が進み、基本的な会話はできるようになりました。

また京都に滞在中に食事に誘われたり文通をしたり英会話のテープを送ってもらったり、色々なメリットもありました。特に大学4年生の夏休みに2か月を掛けてバックパックでヨーロッパ12か国を旅行した時は自宅に泊めてもらったり、レストランに食事に連れて行って頂いたり、思いがけない様な豪華な経験をいっぱいさせて頂きました。

今になって思う事は、会話力は文法や暗記によって身に付くものでは無く、視覚や聴覚、触覚など五感と脳を直結させて自然にそれぞれの引き出しに入れておくべきものです。つまり英語で考える癖が付かないと上達しません。私が学校で受けてきたような文法と暗記から入るという日本の教育方法は明らかに根本的に下手であったと断言できます。

ウォーミングアップ

このトレーニングを始めた頃は面識のない外国人観光客に話しかけるのは、初めの一言のハードルが高かった事を思い出します。自分なりにこれを克服した内容が、

『Where are you from ?』でした。次に『How long do you stay in Kyoto?』でそのつぎが、『What is your job?』と続けました。考えてみれば、これらは初めから相手に自分の事を話す機会を作るもので、これによってまずお互いに打ち解ける事ができます。またこれらの質問を投げる事により、返ってくる返事の予測がつきます。そしてそれらは自分にとって理解しやすい内容です。

相手の得意な話題を探す必要はありません。自分の事を話してもらえばいいからです。どんな人でも『自分』というテーマについては第一人者です。会話はきっかけが大事です。いきなり盛り上がろうとはせずに、最初は簡単なやり取りでいいのです。ウォーミングアップによってまずリラックスしました。

利口な事や有意義な事を言う為に知恵を絞る必要はありません。周囲を観察して、感想を述べて簡単な質問をします。『Today, it’s hot, isn’t it?』また飛行機に乗っている時に始めるのは『What time this plane arrives in Osaka?』など少々文法が間違っていても気にする事はありません。ほとんどの人が会話のきっかけをつかめないのは難しく考えすぎているからです。

会話が上手になるコツは発音や文法よりも相手の話を理解して、タイミングよく自分の考えを伝える事が優先です。まずは相手の心を開いて話をしてもらう事です。自分の話を中心にするのではなく、相手に質問して、話を聞き出す事です。

結果として大学4年生になる前の春休みにパイロットの入社試験を受け、英語会話を含む学問の試験は合格しましたが、身体検査で左耳の難聴が発覚し、夢は叶いませんでした。しかし、5月の連休前に商社を受験して英語会話力のお陰で級友達より早く就職が内定しました。


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