得意な仕事
ビジネスでは『どれだけ結果を出せるか』が全てです。つまり何か一つでもすごい実績を上げられる人が重要視されます。もちろん技術と経理と営業の『掛け算』で仕事ができればなおいいでしょうが、すでに何らかの仕事をしていて、その中で『これだけは誰にも負けない』ものをつくるには捨てなければならない要素が出てきます。学業でも、もし数学一本で勝負をしようと思ったら他の科目は捨てなければなりません。
その時に大切なのは『何を捨てるか』です。自分の『得意とするところ』以外を捨てる事で得意なところをより伸ばす事ができます。医者や弁護士といった自分の専門分野を仕事にしている人と同じように会社の中でも『この分野だと、この人がすごいね』と言われるようになるかどうかです。キャリアがスタートするのは、ある意味、自分の得意分野が確立できた時。40歳までずっとジェネラリストでいて、そこから独自の分野に絞ってすごい仕事ができるようになる人はあまりいません。
『ワクワクする事』と『得意な事』の掛け算の計算式が見つかるまではまずは『得意な事』を中心に自分のウリを作っていくのがいいでしょう。自分だけの『勝負できる何か』を持っていなければ『誰にでもできる仕事』にしか就く事ができません。『何を捨てるか』の見極めが成功には重要です。
昭和30年代、私が幼稚園児だった頃、街には畳屋さん・酒屋さん・お米屋さん・履物屋さんなどの地域の専門店で商品を買っていました。今それらの店はどうなっているでしょう。実際に街を歩いてみますと、多くの酒屋さんはコンビニになっています。畳屋さんも履物屋さんもいつのまにかみかけなくなってしまいました。
今は畳の部屋がない家も多いと思いますが、畳の需要が無くなれば、畳屋さんは仕事になりません。そのようにして『無くなっていった職業』はたくさんあります。
企業の場合、のれん(ブランド)は確かに重要です。一朝一夕で築けるものではありません。その重みは皆が知っています。しかし時代の変化は激しい。お客様は商品とサービスは買いますが、それが時代に合わなくなったら、どんなブランドのある会社でもおかしくなります。就活生に大人気の有名企業でも潰れます。
常に環境は変化しています。ブランドがあろうとなかろうと環境や社会のニーズに対応する柔軟さがないといけません。今お客様が何を求めているかを考え続け、企業も人も変化し続けなければならないのです。
例えば百年以上の歴史がある写真用品の世界的名門企業であったKODAKが倒産しました。実は世界で一番最初にデジタルカメラを開発したのはコダックです。デジタルカメラ時代に移行するのに最も有利だったはずです。けれどコダックは彼らが持っている主力商品のフィルム市場が無くなるのを恐れて、デジタルカメラの進化に対応しなかったのです。自分たちがリードできる環境に固執してしまったのです。そして変化についていけず、倒産してしまったのです。
超名門企業でも社会の変化に対応して商品やサービスを変えていかない限り生き残る事はできません。松下幸之助さんは素直な心と同じくらい『日に新た』という言葉を大事にしていました。『僕わね、この世にある物は絶えず変わりつつあると思うのです。古いものが滅び、新しいものが次々生まれてくる。だから我々は日に新たでなくてはならないと思うのですね』
中生代にあれほど栄えた恐竜が隕石の衝突による環境の激変により滅びてしまった。変わって出てきた哺乳類は決して大きくもなく強くもなかったが、ただ一点、種として環境の変化に対応する力があった。それにより氷河期を乗り越え我々に繋がったと言われています。
コンピューターが発明されインターネットが発展した事を早く察知し対応した会社が遅れをとった会社に対して大きな優位性を持ったことは言うまでもありません。今度はその状況で次に社会に求められているものは何かという事を察知し、一歩だけ早い対応を心掛けるべきだと思います。
一方ではユーチューバーなどの新しい職業も生まれています。これから5年後も、今は想像できないような職業が生まれていると思います。コロナ禍蔓延の為、仕事の仕方もかなり変わりました。5年後、『自分が今いる業界はどうなっているだろう?自分の働き方はどうなっているのだろう?収入源はどうなっていくのだろう?』
通信手段にしても以前は電話やFAXやメールでやり取りしていた事をいつのまにかChatworkやline等でやり取りする事が多くなっている。私が初めて就職した頃はテレックスというのもありましたが、今は影も形もありません。
今後は更に、新しい方法やアプリも出てくるでしょう。その実情を理解した上でIT難民と言われようとも、得意な仕事を続けるには世間または組織の中で若い人たちを中心とした自分の不得意分野を助けてもらえるサポート部隊が必要です。
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