サービスの値段
3か月ぶりの散髪で
昨日、久しぶりに3か月振りに理容室にいけた。
もさもさの剛毛をひっさげて、、、
神田の理容室から独立して浜松町大門で頑張っておられる、
「The TRADITIONAL」を訪れた。
店の名前から連想できるように、
質実剛健なサービスを提供してくれる2席のみのお店で、
男性客のみを対象というのも特徴です。
インテリアは店の名前にふさわしく調度品、照明なども統一された、
思想に基づいて作られている、心地よい場所です。
スタイリストは、質実剛健なコンセプトとは真逆の
物腰の柔らかいさわやかな青年。
独立したころは週末や平日問わずに1週間以内に予約がとれていたが、
それから2年余り、固定客、飛び込み含めて全く予約が取れない!
喜ばしい状況になっている。
基本的に独立して(リスク背負って)誠実に頑張っている人を
すごく応援したいと思っているし、会話も楽しいので通わせてもらってきたし、これからも通わせていただくつもり。
多分20回目くらいの訪店。
いつも仕事の話などたわいもない話をしながら過ごす1.5時間。
今回は少し面白い話になってので、それを反芻しながら考えてみた。
スキルを磨く
これは、手に職を身に着けサービスを提供している方なら
多くの人が心がけていることだと思いますし、
自分もそうありたいと思っています。
スタイリストの彼は、休みの日に興味のある理容室を訪れ、
できればその店のオーナースタイリストのサービスを受け、
取り入れたいことは日々サービスに反映している。
そのことは、以前から知っていたしその姿勢には尊敬の念を抱いてます。
日々変化を恐れずに学び続ける姿勢は真似をしたい。
昨日気づいた変化は、シャンプーのやり方でした。
いつもの強さや指使いと異なることがあったので、
「今日は違いましたね。」と、話を始めました。
「どこかで盗んできたんですか?」と、重ねる。
(よく気づいていただきました!というリアクションには変化に気づかない客がいるのか?!と、驚きつつ。気づかないのならばこの店のサービスを受ける意味はそんなにないのではないだろうかと少なからず思ってしまった。)
今までは興味のあるお店に行っていただけで、若手にあたることもあったけど、最近は店のオーナースタイリストを指名していくようにした。と、
そこでの気づきを自分のサービスに反映していたのかもしれない。
そこで思う。
日々成長するサービスが常に同じ金額で受けられるのは当たり前なのか?
「違うだろ!」
年功序列で給料が自動的に増えるシステムでもなく、
借金背負って(多分)独立して勉強しながらスキルを磨く人の
サービスが常に同じ金額であっていいはずがないと思う。
顧客情報は基本デジタル化しているので、
何度来たか、どんな要望を出したかはすべてデータ化できている。
個別の料金の設定も全く問題ないし、会計処理も容易だ。
予約が取れない店になるまで、スキル向上や丁寧な接客を続けてきたから、
その今がある。
それならば、リピーターは彼のファンである。それはほぼ間違いない。
であるならば、ライバーに課金したり、趣味やゲームに課金する。
同じように課金されることに何の不自然があるのだろうか?と思った。
「何の不自然もない!」
そこで、彼に提案をした。
日々スキルを上げているのであれば、
「1回来ることに料金を100円ずつ上げていったらどうか?」と、
100円を毎月上げていけば1年後には1200円料金が上がる。
年間で7,800円の増益になる。
日々の努力とそのための投資からすれば全く問題ないし、
試したいオプション(ヘッドスパなど)を年に1,2回タダで提供したとしても店として損はないし、そのオプションを気に入ってくれたら別料金で次回以降依頼してくれるかもしれない。そうすれは、別料金だから要らないと思っていた客のニーズを新規開拓する可能性も上がる。
逆に言えば、スキルが上がった自分が年々たっても毎回同じ金額でサービスを提供するのは、実質的にサービスの単価を下げていることになる。
これは、スキルを上げる覚悟があり責任をもってサービスを提供する人に限りできることで、日々考えもせず提供しているサービスだとすれば絶対に不可能だ。
彼はそのスキルを日々上げていると思う。
もし、100回行ったとしたら、50,500円の追加料金になるけれど、
それが嫌であれば他の店に行くか、まだ安いけどサービスが低いスタイリストに依頼する選択をすればいい。客側にも選択肢は容易されている。
「料金を上げることに抵抗あるんですよね。。。」
直接聞いたことはなかったが、原材料費が上がった飲食店の店主がインタビューに答えている姿はよく目にする。
(※かの、うまい棒もこの4月から12円に値上げが決まったらしい。)
いいものを生み出しているのであれば、自信をもって値上げしてほしい。
(※いつのまにか、容量が減っているパックのジュースは金額も20円上がっていて、実質3割程度あがっていることに最近気づいた。)
蛇足が過ぎたが、、、とにかく自信が必要だ。(自分にも!)
クーポンとの違い
彼は、面白がって聞いてくれたが、
「普通なら来てくれた回数でたまったポイントで還元ですよね」と言った。
「それはちが~う!!」
ポイントやクーポンの価格設計については詳しくないが、
もともとポイントやクーポンの金額を含んだ設定になっているか、
そもそもサービスに自信がなく他との表面的な競争に対する恐れが
そのようなシステムを想起されるのだと思う(あくまでも推察)
誰がやっても同じようなサービスであれば、ポイント還元的な発想でいいのかもしれないが、誰がどんなサービスを提供するかが決定的に重要なのだから考え方としては全く逆の発想をした方がいい!と、思い、やんわりと伝えさせていただいた。
私で実験をしてもらいたかったけど、すぐには決断できなかったので、
料金増加制度は見送ったがぜひとも実験してもらいたい。
少しは興味を持っていただとは思う。
最後に
自分も、仕事を依頼される際に工数(働いた日数)と単価(その会社の発注単価)で算出してくれと依頼を受けるが、あなたが他に依頼する会社の質とは全く違うのだからその算出方法には同意しない。と伝えさせていただく。
単価が変えられないのであれば、工数を増やさせてもらう。当たり前のことだ。
安くやってもらいたいのであれば他の会社に依頼していただいて問題ないし、私の質が必要であればその分は支払うべき。
その代わり、自分の効率悪かったり、損失があれば自分で補填をする。
その責任と自由の中を自在に泳げるように緊張感が好きだ。
当たり前のことを当たり前に言えるように。
まだまだ彼から見習うことは多い。