映画『君たちはどう生きるか』の宣伝なしから考える、現代の流行が生まれる構造とは?

ついに、映画『君たちはどう生きるか』が、今週末に公開されます。

今回は、関係者の試写会さえ一切行っていないようです。そして、パンフレットでさえも、事前に情報が流出してしまわないようにという配慮から後日販売という徹底ぶりです。

ジブリの制作者以外の国民全員が14日になって初めて、その映像を観るという異例の状況。

これは本当に、現代に対するものすごいアンチテーゼだなあと僕は思います。

今は、インフルエンサーマーケティングのようなものが一般的となり、発信力にあるひとたちに先に観てもらい、その待遇と引き換えに、事前に告知や口コミを生んでもらうような構造があたりまえとなってしまっている。

ある種の特権的な地位をそこに作り出して、上から下に流れるような告知構造を生み出し、半強制的に認知を広げていく手法が一般的です。

でも確かに、そろそろこの特権階級的な不公平感みたいなものに萎える気持ちが出てきているのも間違いないですし、今回のやり方は、本当に英断だなあと思います。

この手法が、映画そのものの成功に結びつくかどうかは、本当に五分五分だとは思います。でもだからこそ、いまこの時代に実験してみて欲しいと思うことでもある。

その期待に応えてくれている時点で、すでに映画の良し悪しとは一切関係なく、全く新しい社会実験を成功させてくれているなあと思います。

しかも、宮崎駿作品という国民的な作品で、それをやってみてくれるのは感謝してもしきれないなあと。

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