お父さんとお母さんがつくった おじいちゃんとおばあちゃんの家②-窓18ギャラリー
事務所で打ち合わせをしていたら
「メロン切ったわよ」という内線があって
「快適なオフィスだね」といわれました
うれしかったです
義両親の終の棲家を設計することになった、私たち夫婦
妙齢でコミュニティを一新する、ハードルの高さを考えた結果
私たちの仕事場を、くっつけることに。
住宅にアトリエをつけることで、住宅の予算をあげ
より有利な条件の敷地を探しはじめた結果
ついに「気」の良い敷地を発見し、設計スタート。
二世帯住宅ほど気疲れせず
困ったときには、お互い手をさしのべることのできる
家族みんなの心地良い距離感を探した、職住近接住宅のお話です
商い含めた「くらし」をまるごと受けとめる
現代版京町家の試み
仕事場(はなれ)
できたてほやほやの15年前から、ご案内します。
*右の白丸の→をクリックすると10枚の写真がみられます(一部重複)
竣工写真 撮影:入交佐妃
道路に一番近い、駐車場上の私たちの事務所
入口は完全に別で、はなれは、ミニキッチンとトイレ付き。
広さ10畳ほどですが、
開口部が大きいので、体感的には、もっと広い。
庭の向こうに、公園が見えます。
東お隣さんの朝日を奪わないよう、決めた配置。
打ち合わせスペースからおもやを見ると、こんな感じです。
道路を歩く人への圧迫感をおさえるため
車がギリギリ入る高さに、はなれレベルを設定。
トップを、二階の手摺高さとしました。
結果、おもやとは半階ずれて。
採光を確保しつつ、おもやのプライバシーを守る形に
事務所床は厚みをおさえるため、コンクリート打ちっ放しですが
反響音も大きいこともあり
音と光のバランスを考えて
壁と天井に和紙(伊予の菊池さんの漉いた泉貨紙)をDIYしました。
道路の上で打ち合わせの感覚。
夜はこんな風に。
義実家(おもや)
結婚して半世紀近くのお義父さんとお義母さん。
いまだに仲良しで、テレビを観る時もソファー隣り合わせ。
そんな二人の要望は「ワンルーム」
……退職後、ずっと2人で家にいたら、一人になりたいことも?と
個室も提案しましたが
「いらない」と言われました。
お義母さんの希望は、リビングと庭の間の大きなテラス。
限りあるリビングを、広々と感じさせる効果があります。
*こちらもシュッとすると10枚でてきます。
少し落ち着いた北側にダイニング。明るさが心配でした。
だったら高窓的に、二階からの光をひっぱれば、 と
かくんかくんと のばした吹き抜け。
光だけでなく、熱も循環させます(暖房には、電気式暖炉を採用)
南に大きい開口でも、軒を深くとっているので
直接の日差しは入りにくい
吹き抜けのまわりに、家具的な腰壁をめぐらせて
寝室・書斎・ゲストルームの3つのコーナーをつくりました
自分のつくった仕事場で働き
傍らに義両親が住むリアリティ
実際に新生活がスタートすると、山あり谷ありで
生活が軌道に乗るまでには、長い年月がかかりました。
転機となったのは、娘の誕生。
子はかすがいといいますが、孫は、もっとかすがいです。
娘が生まれて、関係が変化し
子どもの成長とともに、ありがたさを実感しています。
①「ちょっと預かって」が最短
数時間打ち合わせのときに
子どもを預かってくれる義両親がそばにいるのは
とてもありがたい。
逆に、義両親に何かあったときにもお手伝いしやすく
持ちつ持たれつの関係にあります。
②「リモートワーク」でもそばにいる安心感
昨年の緊急事態宣言時にも
姿は見えているので、お互い安心でした。
リモートワークが進む中、
郊外への買い替えブームだとか。
……でも、ちょっと待って!!
……実家を仕事場にするって選択肢もあります!!
子育て世帯が巣立った今
老人街と揶揄される、郊外型新興住宅地の過疎化が問題になっていますが。
もし、通える範囲に実家があるなら
買い替え前に「実家に仕事場」の選択肢を検討してみては?
友人(フリーランス)が実家にアトリエをつくって
そこに通勤しているのですが
作業中、バタンと音がして、お父さんが倒れていたとか。
私たちみたいなアクロバティックな仕様にしなくても
実家には、まだまだ可能性があると思います。
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