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銅版画愛好日記と上野東照宮ダリア展

◆銅版画愛好日記

銅版画を習い始めて2年になります。花をテーマに作品を作っています。今年のテーマは「ダリア」です。昨年秋に訪れた「上野東照宮ダリア展」で、ダリアの美しさに魅了され、今年はこの花を選びました。

子供の頃から花を育てる園芸とお絵描きが好きでしたので、版画の面倒な作業もなんとか乗り越えているのだと思います。作業の手順はこんな感じです。

⚫︎下絵の転写
左右が反転する版画の世界は、その仕組みがわかっていてもやっぱり頭が混乱します。
初めに下絵を銅板に転写する段階から、逆さまの作業が始まります。銅は柔らかく表面は傷つきやすいため直接下絵を描かず、トレーシングペーパーに鉛筆で描いた下絵を裏返して銅板に転写します。

⚫︎防蝕とエッチング
下の写真は、銅板に転写した下絵をエッチングした様子です。銅板全体が黒いのは、防蝕液のグランドを表面全体に引いているためです。白っぽく映る線が銅板の色です。防蝕のグランドがニードルで削られ、その下の銅板が見えた状態です。

下絵転写後のエッチング

⚫︎腐蝕
その後、腐食液の塩化二鉄液に銅板を浸し、時間の長さに応じて削った溝が深くなり、作品の濃淡となって現れます。防蝕と腐蝕の組み合わせと繰り返しで、版が完成します。
作品の完成は一瞬で、あっという間にプレス機で紙に印刷されます。版画制作は、銅板の作業が中心です。

◆上野東照宮ぼたん苑のダリア展

上野動物園の隣りにある「牡丹苑」をご存知ですか?私は、何度もこの辺りを歩いていたのですが、今まで全く気づきませんでした。風情のある入口も素敵です。

上野東照宮ぼたん苑

昨年秋、たまたま美術館の帰りに、こちらの看板ポスターが目に入り立ち寄ってみました。
ちょっと紛らわしいのですが、ぼたん苑の「牡丹」ではなくて「ダリア」です。

2023-10月、ぼたん苑のダリア展

牡丹の開花は4〜6月頃。概ね春の開花。
ダリアの開花は6〜11月で、9月以降の秋の開花が一般的だそうです。
春の牡丹と秋のダリア。
効率良く一年を花で楽しめる組み合わせに、なるほどなあと感心してしまいました。
花の種類も多く、隅々まで手入れの行き届いたお庭を散策するのは、大変気持ちがよいものです。

お庭の生け花



そして、現在の私のダリア。。
銅版画の進み具合は、こんな感じです。筋彫りが済んで、花びらなどの面の部分に濃淡を作る作業に入りました。インクの色は、もう少し明るくしたいと考えているところです。

2024-1月 試し刷り



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