物語をひねる
ゲンロンでのもうひとつのご質問「ひねるってどうやればいいんでしょう」に、お答えしていきます。
「膨らませる」と「ひねる」は違う
ひねりが足りない、とお伝えすると、中には加筆して膨らませてしまう人がいます。
足りない、というところに反応してしまうんでしょうかね?
膨らませる、というのは、乱暴に言うと「詳しく書く」「周辺事情を足す」です。
ひねる、というのは、これも乱暴に言うと「単調な物語を複雑にする」です。
乱暴すぎるので付け足すと「もっと意外性を持たせる」ということでもあります。
膨らませるのは「詳しく書く(詳細)」で補足することであり、ひねるというのは「意外性で価値観などを反転させる(実は~だった)」ということなんです。
ですから、例に挙げた民話「桃太郎」の場合、左側のオレンジ色の部分のようにいくら詳しく書いても、ひねったことにはなりません。
「好きを表現できますか?」でやったシンデレラ曲線=起伏は変わらず、ただ読者に「なるほど、よく判った」と思わせるだけの効果です。
仮に「動物たちがキビダンゴに惹かれる様子」ではなく「惹かれる理由」であれば、ひねりっぽく見えるかもしれません。
「おっ(意外性の感嘆詞)、そういうことで団子がほしかったのか」と思えますからね。
「とてもお腹がすいていた」程度では、まだ「なるほど」の域を出ませんが。
起伏を反転させて読者を引っ張る
ヒーローが悪をやっつけた。
スパーーーーーーーン。
ドがつくストレートな話ですよね。
そこに、「桃から生まれた」「キビダンゴに惹かれてサル・キジ・イヌが仲間になり」という彩りが加えられ、
・桃から生まれた←川流れ。どんぶらこ、の魅力的な擬音
・キビダンゴ
・サル・キジ・イヌ
・「鬼ヶ島」←魅力的な固有名詞
上記が、桃太郎を桃太郎の物語として成立させている特徴となっています。
ここにひねりを加えるとしましょう。
単純すぎる例ですが、ふたつほど要素を足します。
ここから先は
¥ 200
みなさまのお心次第で、この活動を続けられます。積極的なサポートをよろしくお願いします。