原稿を書くときの一応の決まり
閲覧数ご支援ともに低迷していますが、もうちょっと続けてみます。
今回は基本的な原稿体裁のお話。
好き勝手に書く時代
原稿用紙を使わなくなって久しいですね。
みんなワープロソフトやブラウザのテキストボックスに直接書くようになりました。
ブログ全盛時代にはたっぷり行間をあけて、文字の大きさや色もダイナミックに変化させて、まるでコミックの書き文字のような臨場感を文章に持ちこんだ人たちがいました。
強い
強いっ!
つ……
つ、強いぃぃぃっ!!!
noteは文字の大きさも色文字も使えないので、この程度の差ですが、スクロールしていくと、今で言う縦読みマンガのように文字が変化していって、読者の気持ちをビジュアル的にも持ち上げる、というワザがはやっていたわけです。
なろう系サイトの反映で、一文一段落のような体裁も多々見られます。
悪くないですよ。読みやすいですから。
ウェブ上で文字がびっちり、より、よほど快適。
けれど、いざ、応募原稿や公式文書を書くときには、基本的な原稿体裁で書くのが吉だと思います。
小学校で習ってたのと違う
文科省でいつもけんか腰になり、最近はすっかり諦めてしまったのことのひとつに、低学年の「原稿の書き方」があります。
覚えてますか? 「これはセリフです。」と、閉じカッコの前にも句点を入れて書いていたのを。しかも同じマスに入れる。
小学校用の教材を作るところは、わざわざ外字でこの〈一マスに句点と閉じカッコ〉という文字を作っています。
一般流通している書籍を読むようになると、みんなきっと「あれっ?」ってなると思います。「そんなことしてねえよ」。閉じカッコの前に句点なんか入れませんからね。
同じことが、
「始まりカッコ」
にも言えます。
このように段落を変えても一マス空けずに行頭から書くのが基本なのに、大段落が変わったりするタイミングなのか、たまにこんなのが見受けられます。
「なんでカッコの前が一マス空いてるのよ!」
「しかたないじゃん。そう教えてる教科書があるんだから。段落が変わるときにはこうしろってさ」
「わけわかんない! 常識ってなに?」
と、ふたりはとてもこまりました。
この最後の「 と、ふたりは~」も、一マス空けて段落が変わったことを伝える場合と、ツメちゃって行頭から書き、前を承ける形にする場合がある。
始まりカッコの例として、昔スニーカー文庫で書いた原稿を見てみましょう。
「なんという~」は、段落が変わっているので少~し落ちています。確か〈二分サゲ〉とかなんとかいう方法だったかと記憶します。
次の行の「そうですわ~」は、改行なしなので、〈天から〉とかなんとかそういうふうに呼んでたような。
こういう細かいところは校閲者さんや編集さんに任せていますので、書き手が気にすることではないのですが、字面をみて「なんだろう、この差は」と首を捻るハメになりますね。
出版社によってはここらへんの作法が違っていますし、最近はこの二分サゲを使わないところも多いかと思います。
実用文に振ってきた教科書内容
私が教科書にかかわるようになった頃の改訂で、国語教科で「実用文」的なことを積極的に教えるようになりました。
社会人としてきちんと文が書けるように。
小論文を確実に理解できるように。
もちろんこれ、大事です。
けれど、教科書会社によって書くことに対するコンセンサスが取れてなくて、新米(ルーキー)だった私は無駄な戦いをしてしまいました。
まず、原稿を手直しする時の記号が、初めて見るようなモノだったりしました。
さすがに見逃せない。一応慣用ルールがあるのに新しい手段を開発されては〈句読点つき閉じカッコ〉のように妙なものが定着してしまいます。
で、戦いの時に出してきたのが JIS規格の「印刷校正記号」。
ちゃんと決まりがあるんだってば!
小野印刷というところがPDFにしてくれているので、リンク付けておきます。
ほかにも、〈封書の差出人住所氏名は、封筒の裏の下ど真ん中に書く〉というのもあった。これは私が敗れた。
私的には、差出人住所は左側に書くのが常識であり、郵便番号枠もそこらへんにあったりするのだけれど、ど真ん中が常識外れだという証拠を発見できなかったのです。
もしかしたら私や数多くの封筒屋さんのほうが常識外れなのかもしれず、ここは教科書会社の自由裁量を妨げないように、という結果となりました。
というわけで、学校で教えてもらったことと世間に流通している出版物とは書式が違うし、発表の場はデカ文字余白使いたい放題の〈コミック書き文字文化〉の影響を受けているし、で、関わっている作家養成関連の応募原稿でも野放図にマイルールで書いてくる人が多くて、さすがにどうかなあと思ったのが、今回の執筆のいきさつだったりします。
お行儀よく書け、とは言わない。
伝わればいい、とも思う。
けど、さすがにちょっと前にはやった〈三点リーダー問題〉をいまだに
・・・
...
とか書いちゃうのはいかがなものか。
プロを目指すのであれば、校正さんがいちいちアカ(本来は「朱(筆)を入れる」が慣用句だが、最近はアカで通っている)を入れなくてすむようにしておくのがいいと思うのです。
次回へ続く
てなところで、今回は寸止めしておきます。すみません。
上記の創作講座というのは、2021/04/22にあるゲンロンのこと。
こんなふうな書式で書いてる人がいる、というのを例を挙げたいのですが、この段階では04/21なので、掲載許可をもらってきます!
みなさまのお心次第で、この活動を続けられます。積極的なサポートをよろしくお願いします。