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カスタマーサクセスなど、お客様志向を表す言葉たち

お客様第一お客様満足志向など、お客様を中心とした言葉はたくさんあるが、ここ数年、サブスクリプションモデルとともにカスタマーサクセスという言葉をよく見聞きする。また、それとともに、カスタマー〇〇な言葉が使われる機会が増えているように感じている。

お客様志向は当たり前で、お客様のことを考えていない企業や組織は無いと思うが、モノやサービスを作れば売れた時代ではなく、変動性や不確実性、多様性の高いVUCAの時代に、改めて、お客様を中心とした企業の取り組みが重要性を増し、また、サブスクリプションモデルなど新たな収益モデルで成長するためにも、お客様とどう向き合うべきかを考えるべく、改めて、お客様との向き合い方が議論されている状況なのかもしれない。

ビジネスの源泉は間違いなくお客様であり、お客様からサービスや商品を利用してもらい、お金をいただかないと企業は存続も成長もできない。
従って、お客様を中心として事業戦略や組織づくりを行うことが重要であることは言うまでもない。

ここで、改めて、お客様を中心とした言葉、カスタマー〇〇について、その言葉の意味やそれぞれの関係性を再確認し、今後の事業戦略や組織づくりへに活かしていきたい。

カスタマーサクセス

『お客様の成功体験』
お客様が商品やサービスを利用することで、期待した成果、成功を手に入れること。

企業側から見れば、LTV(Life Time Value)の最大化を目的として、お客様が商品、サービスを通じて成功できるように行う全ての活動。お客様における真の目標達成は何かを理解し、中期的に、連続性を持って、お客様とつながり続けるために企てる戦略。

サブスクリプションモデルにおけるカスタマーサクセスは、商品やサービス購入後のお客様とのコミュニケーションについて使われるケースが多い。そのタイミングでしっかりお客様をフォローし、サポートすることで、継続して商品やサービスを利用してもらうことにつながり、結果として、LTVが最大化するという考え方。戦略。

カスタマーサクセスはリテンションモデルとも共通するところがあり、リレーションシップ経済として、買ってもらってからが勝負、手放せなくなる商品・サービスであることが重要など、アフターサービスや商品開発とも連動して考える。

また、商品・サービス購入後のリレーションが重要という点でよく似ているカスタマーサポートは、積極的か、受動的かで、意味合いが変わってくる。

○カスタマーサクセス=プロアクティブ
(積極的に、前向きなコミュニケーション)
○カスタマーサポート=リアクティブ
(受動的な、反応的なコミュニケーション)

カスタマージャーニー

『お客様の購入プロセス』
お客様が商品やサービスを知り、購買するまでの、お客様の「動き」「思考」「感情」などのプロセス。

バリューチェーン分析にも近いが、お客様がどのように商品やサービスと接点を持って認知し、関心を持って、購入意欲を喚起され、購入までに至るかを、プロセスごとに分析する考え方。

購入に至るプロセスを旅に例え、時系列で可視化したものを、「カスタマージャーニーマップ」と言い、お客様とのタッチポイント別の行動や心理について視える化し、そのタッチポイント毎にどのようにアプローチするべきを企てるために活用する。

カスタマーエクスペリエンス(CX)

『お客様の体験』
お客様が商品やサービスを購入し、利用することにより感じる顧客視点での体験。

お客様が商品・サービスを購入する際の体験に留まらず、購入の前段階から購入後のサポートまでを通じた、購入プロセスをとりまく体験全般が対象。つまり、プロモーションだけでなく、営業、提案やアフターサービスなども含めた経験の満足度を表す意味で活用される。また、商品・サービス購入後のアフターサービスや企業そのもののイメージなど、非直接的な体験も含んで考えることが多い。

そして、このカスタマーエクスペリエンスについて、定量的に評価するため、ネットプロモータースコア(NPS)などを活用するケースも多い。お客様が企業や商品・サービスに対して、どういう印象をもっているか、ロイヤリティを感じているかを定量的に計測することで、お客様とのタッチポイントにおいて、どこに課題があるのかなど分析し、改善、強化につなげるように心がける。

カスタマーサティスファクション(CS)

『お客様満足』
お客様が商品やサービスを購入して得られた満足度。

お客様が商品やサービスを購入することで、どれぐらい満足いただけるのか、あるいは満足いただけなかったお客様は何が原因だったのかを分析する。または、お客様満足度の向上をめざす活動や志向そのものを表すためにCS活動、CS向上などとして使われることも多く改善活動につなげるために使われる。

また、お客様満足度を上げるためには、どうするべきか。

まずはお客様の期待値を正しく理解することが重要。また、その期待値を超える満足をめざすことが大切。満足度は、その期待値よりどの程度上回ったかによって決められる。期待値は、企業や商品ブランドのイメージ、価格などにも左右される。自社の商品やサービスへの期待値はどの程度なのか、同業他社のものと比べて違いがあるのかなどを把握したうえで、お客様の期待を超えるサービスを提供することで、満足度を高めることができる。

また、満足度を計測、数値化するためにはカスタマーエクスペリエンスと同様、NPSやSNS、ハガキなどのアンケートにより定期的にアンケートを行うことで調査、分析する。

カスタマーファースト(CF)

『お客様第一志向』
「お客様志向」とは「常にお客様の立場で考え、それを最優先すること」。
「お客様本位」というケースもある。

お客様のことを考えて行動するための基本的な企業理念やサービス開発ポリシーなどに使われることも多い。

カスタマーファーストは、お客様が本当に必要な商品やサービスを提供するために重要な考え方。モノをつくれば売れる時代ではない現在、多種多様な商品やサービスが生まれる中、お客様のことを考えぬいたもののみが、選ばれる。お客様に選ばれ続け、生き残るための戦略としてもカスタマーファーストの考え方は重要。

また、カスタマーファーストを商品やサービス、コミュニケーションに反映させるためには、まず全社員に理念を共有、浸透させることも大切

お客様とのコミュニケーションをとるメンバーだけでなく、全社員に「お客様のために商品やサービスを提供している」と理念を浸透させることで、全社を上げてお客様のことを考え商品やサービスをつくることができる。また、理念が浸透することで、目先の目標のために働くのではなく、お客様のことを考えて理念を達成するために何をするべきか本質を考えて行動できるようになる。

カスタマーオリエンテッド

『お客様志向』
カスタマーファースト(お客様志向)とほぼ同じ使われ方をされることが多く、お客様の立場を第一に考え行動すること。

カスタマーディライト

『お客様の喜び』
「ディライト」(delight)は「大喜び」や「歓喜」などを意味する。期待を超えた「満足」ではなく、期待を大きく超えて、「大喜び」してもらえる経験を提供してもらいたいとする考え方。多種多様な商品やサービスが乱立し、お客様の移り気も激しい時代だからこそ、お客様が商品やサービス、ブランドに対して強いロイヤリティを感じていただけることが大切であり、そのために満足を超えた、大喜びをめざすために使われる。

「心が動かされる」という表現がありますが、人は、何かに対して自分の期待以上の体験をすると、心が揺り動かされ、自然とその対象に対してポジティブな反応を示します。

ただの満足では物足りない。そういったお客様にも選んでいただき、長く使っていただけるよう、そしてLTVを最大化するためにも重要な考え方と言える。期待以上の商品やサービスを提供し、お客様の心を動かして初めて、お客様のポジティブな継続的なアクションが得られるのです。

期待 > 商品・サービスの評価が下回る (お客様は不満足)
期待 ≦ 商品・サービスの評価が同じかやや上回る (お客様は満足)
期待 < 商品・サービスの評価が期待を大きく上回る(お客様は大喜び)

カスタマーサポート(CS)

『お客様サポート』
商品やサービスを購入いただいたお客様へのアフターフォローサービス。

お客様相談や問い合わせ受付、故障修理など、お客様が便利に長くご利用いただくため、あるいはお客様の疑問や不安を解消するための機能として、使われることが多い言葉。

カスタマーサクセスという言葉が出だしてからは、カスタマーサクセスがお客様へ積極的にコミュニケーションする機能として重要視されることから、やや消極的な印象があるが、お客様が不安やお困りになったタイミングで適切に対応することはもちろん重要。継続的なサービスの場合、お客様離れを食い止め、購入する商品においては継続購入につながる。LTVの最大化のためにはカスタマーサポートは欠かせられない機能である。

カスタマーソリューション

『お客様の課題解決』
お客様のお困りごとや(経営)課題を解決するための、解決策(ソリューション)を提案し、提供する考え方。

すでに困っている顕在的な課題だけでなく、潜在的な課題をいかに掘り起こし、その解決のためのソリューションを提供できるかがポイント。お客様の声や(経営)状況をしっかり聴いて、課題を抽出し、その解決につながる最適なソリューションを提案することが重要。その提案の際には、お客様の期待を上回る提案を行い、アフターフォローも含めたカスタマーサクセスを提供することを心がけたい。

お客様志向を表す言葉の相関・ポジショニング

お客様志向を表す言葉たちを全体的に俯瞰すると以下のようなイメージになる。

カスタマーファースト・カスタマーオリエンティッドをベースとして、それぞれのプロセスやお客様とのタッチポイントで、お客様志向をもってコミュニケーションに取り組み、商品・サービス、そして企業へのロイヤリティを高めることが、VUCAの時代を生き抜くためには重要だ。

全社員にその思いを発信し、浸透させることで、組織として、企業として、お客様志向を徹底したい。

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