#2 小学校
小学校入学するころには私はもうN のことが好きだった。
その時の感情はあまり覚えていないけど、入学式の後クラス発表があり、
同じクラスだったことに喜んだ。
そして隣の席だったことに歓喜したことをよく覚えている。
お母さんに「席が隣で嬉しい!」と言っていた。
隣の席に座っている写真もばっちりアルバムにあって、実家に帰るたびに思い出している。
当時はずっと一緒にいた存在だったので、家族と同じくらいの「好き」という感情があったんだろう。
もちろん学校へ行く登校班も同じだったし、彼のお父さんお母さんも私によくしてくれていたし、本当に家族ぐるみで仲が良く、彼のお父さんがクジラが好きという、謎な情報まで知っていた。
私達はよくお互いの家を行き来していた。
私の家では、ポケモンの指人形でよく一緒にあそんでいた。
ある時、私は「チューしよう」とNに言った。
Nは「いいよ」と言った。
出来なかった。
恥ずかしかった。
今でも私達の会話で話題に出る面白話がある。
Nの家ではよくテレビゲームをしたりピアノを弾いて遊んでいた。
ある日、私は手土産に「小枝」のチョコレート菓子をもって行き、
その日はぷよぷよで遊んでいた。
小枝を食べながらプレイしていると、口の中に違和感があった。
歯が抜けた。
小学校2年生は歯が抜ける時期。
その前も、近所のミスドでカレーパンを食べているときに抜けた。
Nのお母さんがティッシュで押さえてくれた。Nは驚いていた。
また別の日、懲りずに小枝をもって遊びに行った。
また抜けた。
2回目はさすがにみんな笑った。
Nと遊ぶのは楽しかった。
だけど、2年生の冬、Nは遠いところに引っ越してしまった。
とても悲しかった。
同じマンションのお友達家族でお別れディズニーランドへ行った。
あまり記憶はないけど、アルバムに、たくさん写真があって、とても楽しそうな私たちがうつっていた。
楽しかったんだな。泣いてる写真はなかった。
悲しかったけど、あまり実感がなかったのかもしれない。
そしてNはいなくなってしまった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?