#7 気づいてない?
高校受験を控え部活は引退、私は塾に通い詰めていた。
私は親の希望する公立の高校が第一志望。
Nは私立を志望していた。
塾は一緒だった。私が行っていた塾にNがやってきた。
親同士のつながりが強かったので。
しかも同じ先生が担当だった。個別塾だったので、先生1人を間に挟んで2人でそれぞれ勉強を教わっていた。
また同じ狭い空間にいることになってしまった。
部活を辞めてから、Nは少しだけ話すようになった。短い会話。
塾の帰りが一緒だったときは自転車で横並びに帰った。
Nが唐突に音楽をかけた。
当時はやっていたYUIのC.H.E.R.R.Y
恋しちゃったんだ たぶん
気づいてないでしょう?
「気づいてないんだって。」
と言われた。
意味が分からず「そうなんだね」と返した。
数年後にふと思い出して、
「あれ?」と思った。もしかしてあの時返事を間違えたのかもしれない。
中3も終わりかけの頃、私は別の人を好きになった。
Nにはそれまで何回か告白をしていたが、全てのらりくらりとかわされた。
何回も諦めようと思ったが、諦めようとするとしょーもない話題を話しかけてくる。
「俺、こいつのことならなんでも知ってるよ。」
どんな感情をもってそんなこと言ってんだてめぇ。と思った。
HYのNAOを泣きながら歌った日もあった。
報われない片思い。
想い続けるだけ無駄。向こうは私の事なんか何も思ってないんだ。
諦める努力をした末にできた新しい好きな人だった。
クラスメイトのやんちゃ集団の一人。
みんなから好かれていた。優しい彼に私も好きになった。
その年は初めてNの誕生日を祝わなかった。
卒業の年のバレンタインは別の人にあげた。
結局私の恋は実らなかったけど、ちゃんと別の人を好きになれてよかったと思った。
そのまま私たちは中学を卒業して、別々の高校に行った。
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