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#3 遠距離

彼が引っ越してしまってからは、本当に寂しかった。
でもNの家族は、元のマンションに帰ることは決まっていたが、いつかはわからないという状況だった。
それからずっと、親同士が電話をしているときは「Nくん帰ってくるって?」と必ず聞いていた。

私は手紙をよく書いたけど、Nはなかなか返事はしなかった。

たまに来る手紙には彼が今はまっていることを書いてくれていた。
大体はサッカーの話。

そして「最近NARUTO」にはまっている、と書いてあった。
私は急いで本屋さんに行って、お小遣いでNARUTOの漫画を買って読み始めた。

Nがいつ帰ってきても、共通の話題ができるように。

彼の家族は家をそのままにしていたので、我が家でお部屋の管理をしていた。
母親と一緒に窓を開けて、少し掃除をしにいく時間がとても好きだった。
彼の家の匂いをかぐのが好きだった。

(この頃から性癖が見え隠れしている。。。)

Nはなかなか帰ってこなかった。

バレンタインは毎年手作りして送っていた。
小学校2年生のNの誕生日にはマフラーも編んだ。

(この頃から私の愛は激重い)

バレンタインに送ったクッキーはハート型にした。
チョコペンで文字も書いた。

「N君大好き。」
と書いたクッキーだけはNは食べれなくて、ずっと大切にしていたそうだ。
ご両親から「食べないと腐っちゃうよ」と言われていたそうだ。

それは親から聞いた。
死ぬかと思った。

わからない。もしかしたら全部私の夢かもしれない。


でもこの愛は決して一方通行ではなかった。

Nは手紙の頻度はとても低かったけど、たまに返事をくれた。
そして一番最後に鉛筆でぐるぐるにされたところがあって、
その下に

「けしごむで消して!」
と書いてあった。

消しゴムで消したら「好き」って書いてあった。

息ができないくらい嬉しかった。

小学生ながらに当時は一応「両想い」だった。


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