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2.ただの主婦がレ・ミゼラブルを読解していくだけのnote


まずはこちら

 読むに至ったいきさつなど、最初の話はこちら。

前回 第一編 1 ミリエル氏

 前回はミリエル氏の生い立ちなどでした。

読んでいくのはこちら

青空文庫
レ・ミゼラブル LES MISERABLES
第一部 ファンティーヌ
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo
豊島与志雄訳

 こちらより今回は
第一編 正しき人
2 ミリエル氏ビヤンヴニュ閣下となる
 を読んでいきます。縦読み用リーダーアプリで1489頁中15~40頁の部分です。

第一編 2 ミリエル氏ビヤンヴニュ閣下となる

調べた言葉など

メモ①本文15~30頁
メモ②本文30~40頁

考察のような感想のようなもの

 まず、この節はだいぶ読みやすかった。なぜならセリフが増えたから。初回にも書いたが、これが訳された時代「文語」と「口語」とが分かれていて、書き言葉はとにかく難しいが話し言葉はわりと今と変わらないのでセリフが増えるとぐっと読みやすくなった。
 立派な司教邸と、その隣の粗末な施療院(貧民のための病院)を交換したよっていう話なのだが、立派な司教邸の描写に出てくる「迫持揃い」なんて言葉は今までの私であれば「ん~よくわからないけど豪華な部屋の話してるんでしょ~」とスルーしていたところだが、しっかり読むと気合を入れていたので調べてみるとアーチ橋のような構造のことと知ることができた。ああ、それ、好き。一気に光景が目に浮かんだ。調べてよかった。
 住まいを交換した後は、ミリエル氏の家計の話が続く。ページ数は多いがひたすら「何にいくら、何にいくら」と箇条書きしてある。読みやすい。
 最後のほうに手紙の引用が出てくるのだが、これがまた非常に読みづらかった。書き言葉だから。お願いだから全編会話文にしてください。
 そしてタイトルから「???」だった「ビヤンヴニュ」については、訳者注で歓待の意とかかれていて、英語で言うところのwelcomeに該当する単語なのはわかったが、じゃあそれを日本語で「ようこそ閣下」とかにしちゃうとなんか違うので「ビヤンヴニュ閣下」になってるんでしょうね。街の人から歓迎されてニックネームつけられてたよって感じが伝われば十分なところでしょう。

超意訳あらすじ

 第一編(2)を私なりにまとめた超意訳あらすじがこちら。


 ミリエル氏はディーニュという街の司教に就任しました。代々司教さんが住むお屋敷というのがあって、とっても立派な建物です。その隣には貧しい人々のための病院が併設されていましたがそっちは狭い2階建てでその中に26人の患者が入院していました。それを見たミリエル氏は病院の院長に「私にあなたの家をあけていただきましょう。あなたの家はここです」と司教邸を病院を交換する提案をします。
 ミリエル氏は亡命していたので財産はありませんでした。妹は年500フランの年金をもらっていました。司教としての年間の手当1万5千フランのうち千フランのみ家計とし他はすべて慈善に使うと定め、妹は兄であるミリエル氏を尊敬していたので文句は言いませんでした。お手伝いさんはちょっと不満げだったけど上手に節約して暮らしていました。が、さすがに苦しい!と司教が言うとお手伝いさんは「仕事上の交通費を県に申請してないからだわよ、今までの司教はみんなしてたわよ」と言い、そりゃそうかと申請して追加で年3千フランもらうこととなります。中にはそのことについて「お前も結局今までの司教と同じか!法王を倒せ!」と過激派からクレームの手紙が来たりしますが、お手伝いさんは「知るもんですか!人のことの前に自分のこと!」と追加の3千フランは全部家計にと言います。しかしミリエル氏はその3千フランも慈善に充てるよう定めたのでした。
 ミリエル氏は教会の仕事の収入(結婚式とか)は富めるものからは多くとり、それを貧しい人々に与えました。金持ちからは寄付が入り、それを貧しい人へ与える窓口となりますがミリエル氏はもちろん中抜きすることなく質素な生活を変えず、それどころかたいてい寄付よりも貧しい人が多いので身銭を切ることもありました。人々は歓迎と親しみを込めてミリエル司教を「ビヤンヴニュ閣下」と呼び、ミリエル氏もそれを気に入っていました。


 こんな感じ。家と病院の交換と、収入のほとんどを慈善活動につかって本人は質素な暮らしをしていた…くらいにまとめちゃってもいいけど、個人的にはお手伝いさんと交通費とクレーマーのくだりは好きなので入れました。いつの時代も無茶苦茶なクレーマーや過激派はいるよね…っていうね。あと中抜きする政治家とかもいるよね、っていう。
 作品全体を通して、これって現代社会にもあるよねっていうことが多いのもレ・ミゼラブルが好きな理由の1つだったりします。ユゴーによる「序」にも「地上に無知と悲惨がある間は、本書のごとき性質の書物も、おそらく無益ではないであろう」と記されています。

序はこちら。前書きかな、短いです。

次回 第一編 3 良司教に難司教区

 良司教はミリエル氏のことなので、この節では司教区、ディーニュという地方について書かれるのかな。


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