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ランダムエンカウントの面白さを再確認『真・女神転生Ⅲ NOCTURNE HD』【ゲーム感想】

ATLASを代表するRPGシリーズの三作目

NOCTURNEとは日本語で「夜想曲」
クラシック音楽の型の一つでピアノ一台で演奏された短い曲であり、
曲調としては夜を想うような儚くて寂しくて切ない、そんな曲
そして、本作はそんなゲームだった。

ノクターンと言えばこの曲。
ショパンの「ノクターン2番 変ホ長調 Op.9 No.2」が有名ですね

これ聴いてもらえばもうゲームの内容は大体伝わったかぁ~(笑)

さて、書こう


ゲームの舞台は現代の東京
それがある男により一瞬にして人類は滅亡、悪魔だけの世界になる
その中で生き残った主人公は謎の老女により人から悪魔へと改造され
他の悪魔と会話ができるようになる。
その悪魔たちと交渉し仲間となる契約を結び一緒になって元の世界を取り戻すために主人公が紛争する物語
古今東西の日本文化をシグネチャーとするところが本シリーズの特徴だ

メガテン3

個人的に本作がシリーズ初プレイ
クリアまでには30時間くらいかかった。
ざっくりとの感想は「買って満足。プレイしてよかった」

●雑魚に苦しむダンジョン

バトルシステムは「プレスターンバトル」
このシステムは本作で確立し次回作やペルソナ作品のバトルのベースにもなっているくらい出来が良い。
こちらについては以前ペルソナ4Gの感想で書いている。

ポイントは相手の弱点を突くともう一度行動できるところ

本作のプレイ時間の8割~9割くらいがダンジョン攻略になる。
その中で印象的だったことを2つ挙げたいと思う。

・ランダムエンカウントバトル
まずこれに驚いた!!
元がPS2のゲームのため冷静に考えれば当時としては珍しくもないが
あのポケモンですら最新作ではシンボルエンカウントになった時代
そんな時代にプレイすると同じターンベースバトルでもランダムエンカウントであるが故の面白さが発見できた。


まず前提として本作は通常戦の雑魚敵が強い(雑魚じゃないもうサメ🦈)
気を抜いていると割とあっさりやられてゲームオーバーになる。
ランダムエンカウントの場合、ダンジョン内で常に戦闘が発生する可能性があるため、アイテムやMPのリソース管理が非常に重要となる。
シビアだがその緊張感はシンボルエンカウントには無い楽しさだった

ボス手前には必ずセーブポイントがあり、毎回厳しい戦いになる。
場合によってはレベル上げが必要になるのだが、
ランダムエンカウントの場合はその辺を徘徊していれば連続で戦闘ができるためこれが楽だった。
シンボルエンカウントの場合、見えている敵を倒し切るとエリアを移動してリスポーンさせる手間が発生する。

BGMはHR/HM系の曲が多いイメージ
「強制戦闘」はもろに Rage Against the Machine

・バフ、デバフが非常に重要なバトル
本作のバトルではバフデバフ(能力変化)が重要な戦術になっていた
序盤のマタドールは戦闘開始時に自身の回避率を最大まで上げてくるため
こちらの攻撃がなかなかヒットしなくなり非常に苦戦を強いられる。
ここでプレイヤーは嫌が応でもバフデバフの重要性を学ぶ
中盤ボスのモイライ3姉妹は攻撃,補助,回復で役割分担しているボスで
他のRPGのセオリー通りであれば最初に狙うべきは回復役なるが
本作ではまず補助役を狙い行く戦術が正攻法となる。

マタドール

序盤の強敵マタドールは発売直後Twitterで話題になってました。
私も最初手も足もでずゲームオーバーしましたよ😅

●失われた世界を取り戻す王道シナリオ

本作はプレイヤーの選択肢によってエンディングが分岐する。
私の1周目はGOODエンディングだった。
「失われた世界を取り戻す」
ストーリーとしては王道だがニヒロとマントラの二大勢力抗争
同じ人間で生き残りの勇や千晶とのやりとりは興味深く
最後まで物語に退屈することなく楽しめた。

シナリオ ~ここからネタバレあり~

特にニヒロのマネカタ達の存在が非常に興味深かった。
本作はニヒロとマントラという二大勢力が存在し
マントラのオニ達は実力主義の社会を提唱しており
逆にニヒロは皆が平等で幸福になる社会を理想としている集団だ。
そのニヒロのリーダーであるフトミミは未来がみえる預言者であり
他のマネカタ達はそれに絶対服従する。

真・女神転生Ⅲ NOCTURNE HD REMASTER_20201105003208


彼らは白い服に身を包み常に目がうつろでたまに痙攣をおこしている。
これは90年代初頭に日本を震撼させるテロ事件を起こした
某新興宗教を彷彿とする。そう、どこか狂気を感じる集団なのだ。

真・女神転生Ⅲ NOCTURNE HD REMASTER_20201108204731

ちょっと言葉もおかしい。


そんなマネカタ達でもう一人名前のあるキャラが「サカハギ」
彼はそんな理想郷のような世界に疑問を持ち仲間であるマネカタを
片っ端からぶっ殺す異分子として登場し主人公の前に立ちはだかる。
最期は主人公に倒されることになるが、他のマネカタ達がリーダーに絶対服従の中で唯一反抗する自由なキャラとして描かれておりカッコよかった。

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ニヒロはその後リーダーの死によりあっけなく瓦解することになるが
その結末も良かった。

・ラストはついて
顛末は良かったがそれまでの過程があっさりしていたのが残念だった。
事件の発端となった男を倒し、親友の二人も倒し、それでも取り戻したい世界。最期にカグツチと対峙する場面で私の興奮はピークに達していた


だがそこでのやり取りは他のボスと同様でカグツチが淡々としゃべるだけ。
そのまま戦闘に入って20分近くかけて倒すと主人公が光に包まれて目を開けると自宅のベットの上。元の世界に戻って事件前のオープニングに戻る。


本作は主人公が喋らないタイプの所謂ドラクエ型とはいえ最後はもう少し感情を表すアクションが欲しかった。
例えばカグツチに「なんだ?その目は?」みたいなことを言わせて主人公の顔をアップでぬくとか、これはちょっと飛躍しているかもしれないが、
スタート画面の主人公と大量の悪魔たちがこちらを見ている絵を差し込んで
カグツチにとどめを刺すとか、それをすれば伏線回収にもなって良かったのではないだろうか。
いきなり世界が滅亡し訳の分からないまま悪魔に改造されてそのあとも一人孤独に解決しようとした主人公。ラスボスとの闘いではそのカタルシスをもう少し感じたかった。

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ボスへのとどめはこの画面が出て一斉攻撃みたいな展開。熱くない??

●HDの恩恵が大きいトゥーンシェード

PS2版をプレイしていないのでどのくらい良くなっているか分からないが
画質はかなり良いと感じた。
一部のカットシーンが4:3になるところ以外は正直現行機向けに開発されたゲームといわれても気が付かないレベルだった。
私はペルソナ5を同じPS4でプレイしたが、
これと比較しても悪魔のグラフィックレベルは全く見劣りしないと思う。
これは本作が元々フォトリアルというよりもトゥーンシェードのゲームのためだと思う。
同じPS2タイトルでフォトリアル寄りのFF10より画質の向上が感じられた。

●総評

本作をプレイして非常に満足しているが、PS4の数ある名作RPGを差し置いてオススメするかというと悩ましい。
当たり前だが本作は過去の女神転生作品の流れをしっかりと汲んだタイトルでありそれなりにクセが強かった。
つまり本作がダンジョンRPGだということ。

私は本作のトレーラーを見たときに主人公が3D のエリアを自由に歩き回っていたので、ドラクエのようなRPGをイメージしていた。
実際プレイすると8割方ダンジョン攻略でNPCとの会話は必要最低限レベル。
その会話内容もダンジョンの攻略ヒントが多く看板を読んでいる感覚に近いものが多かった。
もちろんそれが女神転生作品最大の特徴であり魅力なのでそういう意味で素晴らしい出来のタイトルだったと思う。
ただ普遍的なRPG好きの私の好みに合わなかっただけ。

冒頭で書いた「買って満足」というのは個性的で良質なRPGをプレイできた喜びであり、まだ女神転生作品を未プレイの方にはその魅力が十分詰まった本作はオススメです。

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