【建築】 建築ファンなら訪れるべき超エリート大学MIT(後編)
アメリカの公園にはリスが多い。現地の人は見向きもしないが、私は思わず写真を撮ってしまう。いつか私のリスコレクション in USAも紹介しよう。
後編はその中の1枚、MITのキャンパスに物憂げに佇むリスからスタート。
ちなみに前編はコチラ。
MIT Chapel (Building W15)
エーロ・サーリネンによるチャペルである。
シンプルなフォルムに、アルミの尖塔(彫刻家 Theodore Roszak)がアクセントになっている。この日は芝生とレンガと空の色が絶妙にマッチしていた。
使われているレンガは、前編で紹介したアールトのBaker Houseと同じゴツゴツした粗いレンガ。このチャペルの竣工は1955年、Baker Houseはそれより前の1949年なので、サーリネンのアールトに対するオマージュなのかもしれない。
こちらがBaker Houseのレンガ。
エントランスへのアプローチ。
チャペルの近くには学生センターやスポーツ施設があり、多くの学生が通り抜けるエリアに建っている。周囲の木々は、そうした喧騒と切り離すために植えられている。もちろんサーリネンの意図によるものだ。
右手にある塀も同じく周囲と隔てるために設けられている。
実はこの建築の真骨頂は、ファサードではなく内部の礼拝堂。ココを見なければ”建築探訪”の意味はない!
彫刻家 Harry Bertoiaによる吊るされた金属片が、天窓から差し込む光によって美しくキラキラ輝く!
その中で真っ白な大理石の祭壇が浮かび上がる!
でも周囲の池の水面から反射して入る光は微妙だなあ。時間帯や明るさによっては効果的なのかもしれないが...。
Kresge Auditorium (Building W16)
同じくエーロ・サーリネンによる講堂。チャペルと芝生広場を挟んで建つ。
サーリネンは作品ごとに作風をかえているが、そうした中でも優美な曲線が使われているこの構造はサーリネンらしさが表れていると言えるだろう。
見た目にも分かりやすく、シェル構造の屋根をわずか3点で支えている。
支えているポイント。(向こうにはチャペルが見える)
しかしやはり少々無理があったようで、後の改修時に、ガラスのファサードに沿って一部補強された。内側から見ると、所々に太めの柱があるのが分かる。
MIT Media Lab
MITメディアラボと言えば、私のような一般人でもよく耳にする世界的なデジタル技術の研究機関だ。
メディアラボの建物は、I.M.ペイによる本館(Wiesner building)と槇文彦さんによる新館から構成されている。茶色のビルの奥にある2棟並んだ建物がそうだ。(川向こうにはフェンウェイパークもチラリと見える)
Wiesner building (Building E15)
ペイの設計による本館はシンプルな箱状のフォルム。
このデザインはアーティストとのコラボでもある。マトリックスグリッドやグラフ用紙をモチーフとした格子状のパネルで構成されている。
中に入るとペイお得意のアトリウムが広がる!
内部も同じく格子状のパネル仕上げだが、こちらは一部カラーが入る。
エントランスにはアレクサンダー・カルダーの彫刻。
MIT Media Lab Extension (Building E14)
槇文彦さんによる新館(増築)は、建築ファンにも有名だろう。
槇さんらしい洗練された建築であり、MITキャンパスの中でも最も美しい建築ではないだろうか?
ペイの本館は窓が少なめであったのに対し、こちらは(アルミパイプルーバーで覆っているが)ファサードがガラスとなっており、光が充分過ぎるほど入る。
階段も美しい。
エントランスの天井はやや低めに抑えているが、ここを通り抜けると...
明るいアトリウムが広がる!
このラボは研究グループ間の垣根を低くするため、建築的には出来るだけ間仕切りを少なく、またはガラスの間仕切りになっているらしい。つまりこのアトリウムは、視覚的にも音的にもフロアを超えて、お互いが何をしているのか何となく分かる空間になっているのだ。
最上階からはボストンの街並みがよく見える。気持ち良さげだ。
One more thing...
Carpenter Center for the Visual Arts
MITからほんの3kmの場所にあのハーバード大学がある。こちらは300年以上の歴史があり、キャンパスも絵に描いたようなアイビー・リーグの風景が広がる。
歴史ある校舎が多いが、現代建築もある。その一つがル・コルビュジエによる北米唯一の作品、Carpenter Center for the Visual Artsだ。(写真では季節が突然変わっているが、夏は生い茂る木の葉で建物が隠れてあまり見えないので、その前に訪問した時の、比較的見えやすい写真を使っている)
高低差のある二本の道路に挟まれた場所に建てられており、それらの道路を結ぶ通路が建物を貫いている。
コルビュジエが提唱する近代建築の五原則やブリーズ・ソレイユも備えている。
ということでコルビュジエらしい建築なのであるが、私が訪問とした時は、たまたまかもしれないが、館内は少し雑然としていた。せっかくコルビュジエの作品なのでキレイに整備して、一般の人も見学出来れば良いのにとも思った。(まあアメリカ人のほとんどはコルビュジエと言われても分からないと思うが)
最後はやっぱハーバード大学のリスで!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?