
『倉俣史朗のデザイン― 記憶のなかの小宇宙』展
事務所スタッフと一緒に世田谷美術館の
『倉俣史朗のデザイン―記憶のなかの小宇宙』展に。
少しリアルタイムを経験している自分と、
今、新鮮な目で見るスタッフの感じ方はきっと違う。
あえて余計な予備知識をスタッフ達の頭には入れずにいきました。

展示室の最初のコーナー(内井昭蔵建築の特徴的なRの展示室)には、撮影可能な家具が置かれています。ガラスを埋め込んだテラゾー。メッシュ素材、スチールパイプの椅子など、それぞれのタームで挑まれた結果がここからも感じ取れる。
最後の展示室では薔薇の造花をアクリルに封入した有名な「ミスブランチ」が3台も。
56脚限定で当時200万で販売されたこの椅子は、いまではオークションに出ると数千万の値が付くそうです。


展示は時系列に近いかたちで展開されていきますが、蔵書や良く聴かれていたレコードなども。キース・ジャレットの「サンベアコンサート」もあったことが印象に残ります。即興のソロピアノは共に旅するように聞き手に語りかけてくる。
そのインスピレーションはつくり手にも刺激を与えただろうか、と想像してみる。

ドローイング集にあるスケッチや夢日記など、家具などと共にかなりの肉筆が展示されていましたが、設計検討的なスケッチはほとんどない。
頭の中で考えてから、結果をスケッチしていたからなのか…と気付く。

実際、ほとんど描かれなかったそうで、展示されているものも書籍用に描かれたものが多いそうです。
夢かうつつか、の世界観は境界線が曖昧なところから
世に現れたということなのでしょう。
その神秘をいつまでも感じさせる作家だったのだろうと、あらためて。

会期:
2023年11月18日(土)~2024年1月28日(日)
開館時間:
10:00~18:00(入場は17:30まで)
休館日:
毎週月曜日、12月29日(金)~1月3日(水) ※1月8日(月・祝)は開館、翌1月9日(火)は休館
会場:
世田谷美術館 1階展示室
主催:
世田谷美術館(公益財団法人せたがや文化財団)、朝日新聞社
後援:
世田谷区、世田谷区教育委員会
助成:
公益財団法人花王 芸術・科学財団
特別協力:
クラマタデザイン事務所