近未来予測とシナリオ・プランニング

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 この小説は、近未来予測をした上で創作した物語になっています。近未来予測はデルファイ法などの方法がありますが、シナリオ・プランニングはその結果の表現方法の一つとして使っています。  近未来予測、デルファイ法、シナリオ・プランニング、ドライビングフォースなど、詳細を書くと多量の文章になりますが、今回は本書との関係を示すために、以下に「著者あとがき」の部分を転載します。


著者あとがき

 本作は、人類文明の未来についてのシナリオ・プランニングを行い、その未来の一つの世界における物語を描いたものになります。登場する技術は、何らかの研究論文、研究成果が背景にあり、それなりに可能性がある未来社会となっているはずです。とは言え、実現時期として早すぎるものありますし、多少のホラ話も織り込まれています。フィクションとしてご容赦ください。  シナリオ・プランニングとしては、ドライビングフォースとして技術発展、社会体制変化を二軸とし、その作る平面の四象限を、それぞれの四つのシナリオで考えています。

【一】 楽観シナリオ(技術発展が進み、社会体制は変化しない) : 奇跡的な技術発展により、百億人が快適な住環境、食糧、水、エネルギー、健康、教育、娯楽、安全、平等を得て、現在の先進国の中間層以上の生活をする……あまりに楽観的すぎて、それを実現する技術を思いつきません。多くの人が期待しているシナリオでしょうが、そのような未来が訪れるのは奇跡でしょう。

【二】 理想シナリオ(技術発展が進み、社会体制も変化する) : 技術発展により、快適な住環境、食糧、水、エネルギー、健康、教育、娯楽、安全、平等を得ることが可能になる。しかし、格差是正と安定的な世界を作るために、大きな社会体制の変化も必要となる。それに遅れる人々もしばらくは多く残る。

【三】 破綻シナリオ(技術発展が遅れ、社会体制も変化しない) : 技術発展も遅れ、百億人の中での格差は広がるばかりとなる。そのために、世界規模での紛争、戦争、経済問題、環境破壊を繰り返していくが、どこかで大きな破綻を招く。現在、一番可能性が高いシナリオと思われる。

【四】 衰退シナリオ(技術発展が遅れ、社会体制の変化がおきる) : 技術発展も遅れ、百億人の中で格差を是正、あるいは無視するために大胆な社会体制の変化が行こなわれる。それに伴い、ゆっくりとした衰退がおこる。

 本作品は、個人的にあるべき姿だと思う、理想シナリオの世界を描いています。  また人類文明のシナリオ・プランニングと同等に、心脳問題(Mind-Brain Problem)、人工知能創発についても大きなテーマとなっているのは、ご理解いただけると思います。

 このような世界を描いていますが、多くの方に読んでいただくために、出来るだけエンターテイメントにしようと考え、映画を想定し、シナリオを書いてから、シーンを書き込んで小説にしています。  また、当初は脚注を書こうと思いましたが、多量になり本文を超えてしまうので、他にまとめて書くことにしました。

 ドンソン国は架空の国であり、その歴史や地理も架空のものになります。その他の、二〇二二年以前の歴史は、ほぼ現実のものになります。


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