バリ島葬儀事情#02
世界のお葬式に関する話題をお伝えしています。
※2012年にバリ島の葬儀を視察した際の内容を業界誌で「特集して頂いた内容の抜粋となります。記載されている数値は当時のものになります。
モンキーフォレスト
商社の方に紹介して頂いたバリの宗教に詳しいT氏とウブドのモンキーフォレストで待ち合わせです。
モンキーフォレストとは、野生猿の自然保護区になっています。ウブドの中心部モンキーフォレスト通りの南の突き当たりにあり、約200頭の猿が生息しています。森の奥にはシヴァ神を祭る寺院プラダルム・アグン・パダントゥガル寺院があり、森はプラ(ヒンズー寺院)の鎮守の森として聖域とされています。
ヒンドゥーの寺院には3種類あり、先祖を祀る「プラデサ」、集会所をかねた「プラプセ」、葬儀を行う「プラダルム」と分けられています。
プラダルム・アグン・パダントゥガル寺院は「死者の寺」として葬儀を行う寺院ということになります。
敷地内にはたくさんの猿がいますが、人間を恐れずに近寄ってきます。時々いたずらなサルたちがカバンや、メガネなど狙ってとびついてきたりしますので、注意しながらT氏のお話を伺います。
ちなみに森の中にはこうしたサルたちのいたずらを制してくれる地元スタッフがいるから安心です。いたずらサルが近づいてきたら、追っ払ってくれます。
緑にかこまれたとても清々しい場所ですし、観光地として多くの観光客がいますが、きっと葬儀のための場所とは思われていないんだろうなと思いながら敷地内を進むと墓地に遭遇。
簡素な墓標があるだけの墓地です。
魔除けの布を求めて
後にこの場所が今回の旅で最も重要な場所になるとは思いもしませんでした。 魔除けの布を求めて案内をしてくれたT氏と別れて、次は「魔除けの布 グリンシン」を求めて商社のWさんと合流。 一路トゥガナン村を目指します。
舗装された道路から、脇道に入るとどんどん道が細く荒れていきます。ウブドから約1時間の車で移動。ようやく到着しました。 トゥガナン村は風葬の村トルニアン村と同じBali Aga(バリアゴ)と呼ばれる原住民の村です。以前は商人ですら村に立ち入る事はできず、村人以外と結婚した者は村を去らねばならないなど、厳しい戒律が数年前まで頑ななまでに守られ続けていたということです。
村の入口前にある駐車場周辺には、工芸品のアタや織物を販売するショップが軒を並べています。「原住民の村」のイメージとは少し違う感じでしたが、話を聞くとバリ雑貨のバイヤーさんも多く訪れる場所だそうです。
ショップでは私たちが望むグリンシンがなかったので、村内でいくつかの家にあるグリンシンを譲ってもらう交渉をすることに。
村には観光客用の入口(入場料が必要)があるのですが裏口から案内されて村内に潜入です。
細い小道を進むと村の中央部へ。「ガサガサ!」と茂みから音がしたかと思うと豚が飛び出して来たり、道の向こうには放し飼いの水牛の群れが!
グリンシンを製作しているお宅を訪問。実際の作業を見学させてもらいました。
今、織っているグリンシンも完成は1年以上先とのこと。
話を聞くとグリンシンは、昔は血で染めたとも言われている説もあるが、実際は血で染める事はしていないそうで魔除け、病気が治ると言われ、グリンシンを小さく切って、水に入れ、5分位浸した水を飲むと病気が治るとも言われるそうです。
現地の言葉で”災いが無い・病気が無い・無病息災”などを意味し、彼らが人生の節目でのみ纏う伝統の布です。産まれた時に体を包まれ、死した時、棺に掛けられるグリンシンは、一枚の製作にかかる年月は実に3年以上、場合によっては10年を要するものもあり、親から子へ、子から孫へと技術が受け継がれています。言い伝えによると、インドラ神がトゥガナン村の女性に織り方を授けたということで、現在でも聖性が保たれており、時間が掛かる理由は、暦に沿って作業を進める為とのことで、限られた日にしか作業ができないからということでした。
現地で交渉してくださった方:クトュ(ketut)さん。
伺った日はクトュさんのお子さんの誕生パーティーで賑やかでした!
交渉の末、「グリンシン」をようやく1枚ゲットです。
せっかくなので、葬儀や埋葬の事を聞くと、墓地を案内してくれることに。
葬儀・供養の事の勉強が目的で来て、Bali Aga(バリアゴ)の村の埋葬が見れるなんてまたとないチャンスです。
残念ながらサロン(腰に巻く布)が無いので寺院には入れないという事でしたが、墓地に向けて出発!
村の中にあるということで、牛や豚をよけながら山の方へ向かいます。
進むと建物が無くなり木や草の生い茂った、比較的ゆるやかな山の斜面に到着。
案内してくれた、クトュさんが「ここだよ」。
私達「・・・」
何もありません。
草が生えていない、楕円形のスペースが数か所。
「ここが3か月前の人」と指を指します。
バリヒンドゥーでは火葬が基本ですが、トゥガナン村では埋葬をするということです。
当然、私が立っているところも草は生えていますが、どなたか埋葬されているんだろうなぁと思いながら死生観の違いを感じる場面となりました。
トゥガナン村に別れを告げて、旅の目的の一つであるグリンシンのゲットに安堵していると問題発生。
モンキーフォレストでT氏にも言われていたのですが、もう一つの目的地である風葬の村トルニアン村には行かない方が良いのではないかとWさんとガイドさんが心配しています。
実は私も日本で読んだ本の中で、トルニアン村は入村の際(湖を船で渡らなければいけない)や見学の際に金銭のトラブルが多いところで地元のガイドさんも行きたがらない所だそうです。
帰国の日程や女性スタッフも同行していますので、何かあってはいけないと思い(私一人だったら絶対に行ってますが)、泣く泣く断念することになりました。
直後、T氏から電話が。
「ガベンが見れるかもよ」
バリ島葬儀事情#03に続きます。
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