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「競争と段階的な変化に関する研究〜イノベーションのジレンマ〜」葬儀業に関係する先行研究#5

あまり知られていないお葬式の業界について経営学の視点からお伝えしています。葬儀業に関係する研究をいくつか紹介します。

イノベーションのジレンマ

 イノベーションのジレンマとは、クレイトン・クリステンセン[2001]([1])が提唱した、業界内でも上位の優良企業が、高品質の製品・サービスを提供することで、新規参入企業などが起こす破壊的イノベーションによって市場を奪われる、という考えである。

 優良企業は、顧客のニーズを綿密に調査し、製品・サービスの開発・改良を常に続けていく。このために、持続的イノベーションに積極的に投資を行い、生産コストの低下や特異性の獲得など、競争優位性を生み出して成長する。これに対し、従来の製品・サービスの機能を切り捨て低価格、操作性の簡便さ、小型化など別の価値を加えたローエンド型の破壊的技術が生じることがある。

 当初は、市場の中でも主流となる顧客は、従来の高性能な製品・サービスを支持しており、ローエンド型の製品・サービスには流れない。そのため、優良企業は持続的イノベーションを続け、収益性の低い破壊的技術を導入することはないが、ローエンド型の製品・サービスを好む層も必ず一定層存在するため、業界内の主流な企業が導入しなくとも、ローエンド勢が市場の中である程度の地位を築く。

 ローエンド製品・サービスが市場に定着した後に、持続的イノベーションが顧客のニーズ変化のペースを追い越してしまい、顧客が望む以上の性能を搭載するようになると、ローエンド製品・サービスが市場の主流に取って代わってしまう。この段階で優良企業が破壊的技術を取り入れようとしても、既に手遅れになっている、という現象が起こりうる。

図3-6技術とイノベーションのジレンマ
(出所)クレイトン・クリステンセン.「C.クリステンセン経営論」.2013年,ダイヤモンド社.

([1])Clayton M. Christensen (著),伊豆原弓 (翻訳)『イノベーションのジレンマ』翔泳社, 2001年
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