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「競争と段階的な変化に関する研究〜立地型サービス産業の競争ステージ論〜」葬儀業に関係する先行研究#7

あまり知られていないお葬式の業界について経営学の視点からお伝えしています。葬儀業に関係する研究をいくつか紹介します。

立地型サービス産業の競争ステージ論

 永井2014は、「店舗や施設を構えてそこに顧客を吸引する業態はすべからく立地型サービス産業といえる」としている。また、永井2014は、「多店舗展開の時期によって競争ステージ(次元)が異なり、それによって店舗のコンセプトそのものから競争上の強みまでが異なることこそ大問題であろう」として、多店舗展開の時期によって競争のステージが存在し、それにより競争上の強みまで変化するとしている。
 同論文では、「立地型サービス産業には、(中略)競争ステージが存在する。立地型サービス産業の多店舗展開競争の第一ステージは既存業態に対抗する新業態の誕生期であり、新業態の「空白地出店型店舗の構築競争」の段階である。早い者勝ち的な出店競争の時代といってもよい。この段階では店舗数が競争上の強みとなる。どれだけ多くの店舗を早い者勝ち型で出店できるかが鍵となる」として、競争のステージの、第一ステージは、早いもの勝ち的な出店競争の時代であり、店舗数が競争上の強みであるとしている。
 次に第二ステージについては、「競争の第2ステージは「空白地出店型店舗vs多店舗淘汰型店舗の競争」の時代である。競争の第1ステージで作られた空白地出店型の店舗の近くに ―同規模の店舗を出店させれば競争は第2ステージに移行しないが― 圧倒的規模の他店舗淘汰型店舗(地域一番店)を出店させる競争である」として、同一商圏内における相対的な店舗規模が競争上の強みになるとしている。また、第2ステージの競争上の特徴について以下の通り述べている。
「競争の第2ステージの競争上の強みは、同一商圏エリア内における相対的な店舗規模である。そして、競争の第1ステージの小規模の店舗を一番多く持っていることが―競争の第一ステージにおける最大の強みが―第2ステージでは最大の弱みとなる」。
 また、第三ステージについては、「競争の第3ステージは他店舗淘汰型店舗vs他店舗淘汰型店舗の競争」という、従来の競争とは若干次元の異なる競争状況が控えている」として、新業態(ディスカウンター、カテゴリーキラー)としてディスラプターの成長を競争ステージの特徴として挙げている。


表3-4 流通業における新業態の競争ステージと競争上の強み
(出所)永井猛「新しい競争ステージに入った専門店経営」WBS講義資料より筆者作成

 また、同論文では、「全国ベースで多店舗展開をする場合とエリア・ベースで多店舗展開する場合では、たとえ多店舗展開の時期と速度が同じであっても経営成果に大きな差が生じる。その理由は、エリア内の店舗密度の違いにある。極端な事例として他の条件(エリア内の潜在需要、競合状態、店舗規模)が一定であると言う前提を置いて、全国に分散させて1,000店舗保有する場合と首都圏だけで1,000店舗保有する場合を比較すれば(中略)エリア内の店舗密度が高い後者の方が圧倒的に収益が良くなる」として、多店舗展開する場合、展開の時期と速度が同じであれば、エリア内の店舗密度が重要であると指摘している。
この理由としては、「エリア内店舗密度が高くなることによって、先ず第一に、配送効率が良くなる。(中略)第二に、エリア内店舗密度によって広告効果に違いが生じる」として、配送効率や広告効果の違いについて指摘している。
 結果として、下記の通り、「多店舗展開の速度と何よりエリア内の店舗密度が成否の鍵を握ることになる」として、多店舗展開については、展開の速度とエリア内の店舗密度が重要であると指摘している。
 
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