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葬儀業に関係する先行研究「認知と決定プロセス」葬儀業に関係する先行研究#1
あまり知られていないお葬式の業界について経営学の視点からお伝えしています。葬儀業に関係する研究をいくつか紹介します。
認知経路と決定プロセスに関する研究
既存のメディアとインターネットについて、清水、寺本、斎藤、井上[2014]は、「研究広報誌『AD・STUDIES Spesial Issue』([1])」の「第3章 2020年の消費者 循環型マーケティンングへの転換」の中で、「20世紀に入ってからの、消費者とコミュニケーションに関するもっとも大きな変化は、インターネットの本格的な一般消費者への浸透だ」としながら、「全体で見ればインターネットは人々の生活を変えたといえるけれど、すべての人がキャッチアップしているわけではないのである」としている。
図3-1は、大日本印刷が2000年以降行っている「メディアバリュー調査」([2])で、各メディアの利用率の変化を時系列で集計したものである。
これをみると、インターネットの利用率や店舗のサイト、ポータルサイト、携帯インターネットの利用率は急上昇している。しかしテレビ、新聞などの既存のメディアの利用率は2000年と比較しても大きく減っていない。このことから、清水、寺本、斎藤、井上[2014]らは、「実際、インターネットから発せられる情報は、消費者の意思決定に大きな影響を及ぼし、しかも既存メディアと共存していることが、全体を見た場合は指摘できる」としている。
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([2])大日本印刷「メディアバリュー調査」,2000年.
また、同論文では、社団法人日本新聞協会の調査をもとに、消費者の購買に至るまでの意思決定プロセスを「普段利用」「関心きっかけ」「調べる」「購入時参考」の4段階に分け、各段階で重視されるメディアを集計している。その結果、表3-1のような結果となった。これに対して、清水、寺本、斎藤、井上[2014]は、「普段の情報源としては、新聞記事、テレビ番組、テレビCMが過半数の消費者によって利用されているが、関心きっかけの段階になるとテレビCMを利用する割合が高くなり、調べる段階になると、企業のホームページやクチコミサイトなどのネット系の情報を利用する人が増え、購入決定時でも、数値は逆転するが、企業のホームページとクチコミサイトの利用率が高くなっている。消費者は、意思決定の各段階でメディアを使い分けている姿が想像できる。この数字だけ見ると、各メディアは棲み分けされており、共存しているように見える」としている。
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(出所)社団法人日本新聞協会「消費者の購買に置ける意思決定プロセスの調査」より筆者作成
しかしながら、同調査の対象を30歳未満に限定すると数値が大きく変わるとしており、表3-2のような結果になった。これに対して、清水、寺本、斎藤、井上[2014]は、「彼らは普段の利用段階で、テレビ番組、テレビCM、雑誌に加えクチコミサイトを用いる割合が高い。関心きっかけ段階も同様である。買いたい商品について調べる段階では企業のホームページやクチコミサイトが重視され、購入決定時では圧倒的にクチコミサイトの利用率が高くなる。既存メディアで重視されるのはテレビと雑誌であり、他のメディア、特に新聞の役割はインターネットに代替されているわけだ。ここから若い世代では既存メディアとインターネットは共存しておらず、既存メディアの役割をインターネットが代替しているといえる。」としている。
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(出所)社団法人日本新聞協会「消費者の購買に置ける意思決定プロセスの調査」より筆者作成
これらのことから、若い世代はクチコミサイトに偏重した情報収集活動が顕著であることがわかる。今後、若い世代が消費の中心になっていくことでこの傾向がより顕著になることが予想されている。
([1])清水、寺本、斎藤、井上「AD・STUDIES Spesial Issue」公益財団法人吉田秀雄記念事業財団,2014年
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